近年、愛猫が猫カビやあごニキビ、スタッドテイルなどの皮膚病と診断されるケースが増加しています。今回はなぜこのような皮膚病が増えたのかについて、皮膚病の対処法とともに紹介。もしものときのために、皮膚病に関する最新情報を知っておきましょう。
皮膚病に関する最近の傾向とは
室内飼い「だからこそ」皮膚病の発症が増えた?
家の外へ出ていく習慣がある猫は、ウイルスや寄生虫による感染症などの病気にかかる確率が高くなる傾向があります。現在では室内飼いが主流になったため、そういった病気の症例は減少しつつありますが、その一方で皮膚病にかかる確率が増えてきているのもまた事実です。
その理由は、獣医療の発展によって皮膚病の研究が進み、皮膚病と診断されるケースが増えたからだとされています。また人との安定した暮らしのなかにも、猫にとって皮膚病の原因となる要素が多く潜んでいると考えられます。
皮膚病を発症しやすいのは免疫力が弱く体力のない猫
本来皮膚には、異物が体内に入るのを防ぐためのバリア機能がありますが、体力がなく免疫力も弱い子猫やシニア猫などはその機能が低く、病原菌を跳ね返す力も弱いことが多いです。また持病がある猫も体内外の刺激に対して過敏に反応しがちで、健康な猫であれば平気な環境下でもかゆみや違和感を覚え、それを掻いたりすると刺激となって皮膚病の症状が悪化することがあります。
家のなかにある皮膚病の原因となる要素
皮膚病の原因となる要素は、実は普段私たちが暮らしている家のなかにも数多く存在します。たとえば室内にしか生息できないチリダニはアトピー性皮膚炎の原因となり、ジメジメとした密閉空間はあごニキビやスタッドテイルという皮膚病の原因となりやすいです。
さらにカツオやマグロなどの魚肉が入ったフードに反応してアレルギーを起こす猫や、菌をもったほかの猫とじゃれ合って猫カビを発症する猫もいます。
皮膚病の対策として飼い主さんができること
こまめなブラッシングが病気発見のカギに
皮膚病の予防や早期発見には、毎日のこまめなブラッシングが欠かせません。猫の皮膚は被毛に覆われているために病気を見つけにくく、発見したときにはすでに症状が進行している場合も多いです。日頃からきちんとブラッシングをしていれば皮膚病を予防することができ、たとえ発症しても早い段階で見つけることが可能です。
殺菌&換気でしっかりお手入れを行う
猫が皮膚病にかかると、フケや抜け毛が大量に出ます。ダニやカビはそれを餌に繁殖しますので、猫グッズは塩素系の漂白剤で洗濯し、薬剤が残らないようにきちんとすすぐようにしてください。また換気を行い部屋の湿度を下げるのも効果的です。
すべての皮膚病の対策として有効なのは清潔を保つこと
すべての皮膚病から愛猫を守るために大切なのは、猫自身も猫の周りの環境も清潔を保つことです。多くの皮膚病の原因となる物質は、衛生面に配慮すれば除去することができます。さらにリスクが少ない綺麗な環境で暮らせば、猫の免疫力が上がり病気の予防や改善にもつながりますので、今回紹介したことを参考に再度家のなかをチェックしてみてはいかがでしょうか。
参考/「ねこのきもち」2018年7月号『最新情報や気になるワードも 猫医療の現場から』(監修:日本獣医皮膚科学会員 アジア獣医皮膚科学会員 獣医師 関口麻衣子先生)
イラスト/chizuru
文/子狸ぼん
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。