人も猫も高齢化が進む中、問題となっているのが、飼い主さんが高齢で体が不自由になり、猫の飼育が困難になっているケースです。猫のお世話が満足にできないのに飼い続けている姿を見て、その猫を助けたいと思ったら、どのような方法があるのでしょうか。
飼い主さんから無理やり離すことはできない
まず前提として、猫の命に関わる場合であっても、今の日本の法律では、すぐに飼い主さんから猫を保護することはできません。それは、飼い主さんは猫に対する所有権を持っているためです。どんなに助けてあげたいと思っても、強制的に引き離すことは難しいのです。
では、どうやったらこの状況から猫を救うことができるのでしょうか。
その① 保護団体や行政に問い合わせてみる
飼い主さんと話し合い、飼い主さんから了承を得ることができれば、猫を保護施設などの適切な場所に移すことができます。保護団体や一部の行政では、相談に応じてくれるところもあるので、一度、電話などで問い合わせしてみてもいいでしょう。
その② 不十分なお世話が「虐待」とみなされる場合
その猫に対して、虐待や飼育放棄をしたとみなされた場合は、『動物愛護管理法第44条2項』に基づき、飼い主さんに罰則が科せられることもあります。例えば、猫を高温の部屋にずっと閉じ込めている、何日も食事を与えていないなど、猫のお世話を著しく怠った場合がこれに当たります。
知っておきたい法律 <動物の愛護及び管理に関する法律 第44条 2>
「愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であって疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であって自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行った者は、100万円以下の罰金に処する。」
猫好きの人や猫を実際に飼っている人なら、近所に猫のお世話が満足にできてないお年寄りがいると、心配になるでしょう。しかし、いくら「かわいそう」と感じても、所有者である飼い主さんから、猫を勝手に離すことはできないのです。
まずは、そういった相談を受け付けている行政や保護団体に連絡してみるのが良い方法なのかもしれません。
参考/「ねこのきもち」2018年7月号『まさかのトラブルに備える!愛猫のための法律辞典 保存版』(監修:渋谷総合法律事務所 弁護士 ペット法学会事務局長 渋谷寛先生)
イラスト/イデシタタケシ、小泉さよ、ナカオテッペイ、二階堂ひとみ
文/ishikawa_A
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。