実際に猫を飼ってみて、「あれ…イメージしていたのと違う」と思ったことはありませんか?
「ねこのきもち」読者アンケートによると、このところ猫「らしくない」猫が増えて、多くの猫が同じような行動をとっていることが判明。
哺乳動物学者・今泉忠明先生によると、その行動は人との暮らしの中でするようになったものなのだとか。
「本来=野性の猫」と比較しながら、「イマドキ飼い猫」の13の特徴を見ていきましょう!
①目が合うと……イマドキ猫は、見つめる♡
飼い猫は、飼い主さんをじっと見つめ返すことがあります。これは、飼い主さんが「願いを叶えてくれる」とわかっているから。
食事が用意されていたり、なでてもらえたり、呼びかけてもらえたり……こういったことが嬉しくて覚えているのでしょう。
本来であれば、すぐさま目をそらす
一方で、野性の猫にとって目を合わせる行為は、「敵意」の表れ! そのため本来、猫はほかの猫と目が合っても、すぐにそらします。
ただし、母親やきょうだい猫など血縁関係にある猫には細目で見つめ、親愛の気落ちを伝えることも。
②イマドキ猫は、夜に寝て昼に活動!
夜になると寝て、昼間に活動する飼い猫が増えているようですが、これは猫が飼い主さんの生活に合わせているから。
飼い主さんが起きているときのほうがかまってもらえるため、刺激があっておもしろいのかも♪
本来であれば、早朝と夕方狩りに出て、昼は休む
野性の猫はというと、獲物が現れやすい早朝と夕方、狩りに出かけます。それ以外の日中は、狩りでの成功率を上げるために、少しでも体力を温存しようと眠っているのだそう。
③イマドキ猫は、オテをする
「オテ」といえば犬ですが、イマドキ猫もするみたい! 犬は要求があるときにしますが、イマドキ飼い猫も望みがあるときにオテをすることがあるようです。
「オテをするとフードがもらえた」などイイコトを得られると覚えた場合、繰り返すこともあるのだそう。
本来であれば、猫にオテをする習性はない!
野性の猫は基本的に単独で行動するため、ほかの猫になにかを要求することはありません。オテをする相手もいないので、たとえばお腹が空いたときは狩りに出て、自ら獲物を捕らえます。
④イマドキ猫は、触れても起きない
飼い猫が安心してぐっすり眠り続けているのは、安心しきっているから。
猫は「80%の浅い眠りと20%の深い眠りを交互に繰り返す」といわれますが、安心度が高いほど深い眠りの時間は長くなるのかもしれません。
本来であれば、眠っていてもすぐに起きる
野性の猫は自分で身を守らなくてはいけません。そのため眠りが浅く、寝ているときに少しでも何かが触れたり、ちょっとした音が聞こえたらすぐに起きるのが、本来の猫の姿なのです。
⑤イマドキ猫は、足音をさせる
歩くときにバタバタと音を立てたり、高いところから飛び下りるときにドスンと音をさせる飼い猫もいますよね。これは、音を立てても悪いことが起こらないから。
周囲を気にする必要がないのでしょう。
本来であれば、音は立てず気配を消して行動する
本来の猫は、足音を立てないといわれています。音を出すのは敵や狙った獲物に居場所を明かすことになり、野性の猫には死活問題なのです。
⑥イマドキ猫は、排泄してもトイレ砂をかけない
イマドキの飼い猫は、排泄物をそのままにして立ち去ることがあります。ニオイがしても悪いことが起こらず、気にならないのでしょう。
飼い主さんに排泄物をすぐ片付けてもらえるのも理由かも。
本来であれば、排泄物を隠す
野性の猫が気にしているのは、音とニオイ。敵に自分の居場所を特定されるので、縄張り内で自分のニオイを残すことに過敏になります。
排泄物も、排泄したあとに地面に掘って埋めます。
⑦イマドキ猫は、仰向けでごろーん
飼い猫の場合、ごろーんとくつろいでいる姿がよく見られますよね。リビングなど人の出入りが多い床ですらのんびり寝転がっていることも、しばしば。
これは、今の環境に安心し「構える必要がない」と思っているから。警戒心ゼロといっても過言ではありませんね。
本来であれば、お腹なんて絶対に見せない!
お腹には大切な臓器が集まっているため、急所といえます。猫は本来、岩穴などに入り、体を丸めてお腹を隠した状態で休みます。
仰向けに寝て、お腹を丸見えにするようなことはありません。
⑧イマドキ猫は、人の体にのってくる
飼い主さんの体にのるのは、自分の存在をアピールしたいから。飼い猫にとって、日頃お世話をしてくれる飼い主さんは、母猫も同然。
成猫になっても子猫気分で、飼い主さんに甘えたいのかも。
本来であれば、ほかの個体にくっつかない
野性の猫は単独で行動するので、ほかの猫と体をくっつけ合うことはないでしょう。唯一の例外は、血縁関係にある場合。
母猫やきょうだい猫とはくっついて、くつろぐことがあります。
⑨イマドキ猫は、飼い主さんにかまってほしがる♡
1匹で飼われていて、とくに留守番などが多い飼い猫は、飼い主さんにかまってほしがることが多いよう。
1匹でいる時間が長くて持て余しており、刺激を求めているのでしょう。また、寂しいと感じている可能性もあるかも。
本来であれば、かまってほしがることはない!
野性の猫は、単独で狩りに出るので刺激もあり、他者にかまってほしいという欲求はないでしょう。
ただし、子猫時代は猫界のルールを学ぶ一環で、母猫やきょうだい猫にじゃれることもあります。
⑩イマドキ猫は、水もへっちゃら♪
イマドキの猫は、水に濡れるのが平気なコもいます。お風呂場にいる猫も増えたよう。
お風呂場の温もりが心地よいと感じていたり、飼い主さんと一緒にいたかったり、「楽しい場所」だと認識しているため、多少なら濡れることもいとわないのでしょう。
本来であれば、意味もなく濡れるのは好きじゃない
猫の祖先が暮らしていた半砂漠地帯も雨が降ることはありましたが、毛並みに違和感が生じるため、できるだけ濡れないようにしていたようです。
野性の猫も同様で、濡れることは極力避けます。
⑪イマドキ猫は、障害物も気にならない!
謎の置物などがあっても気にせず近くを歩いたり、ときにその上でくつろいでみたり。飼い猫がいつもと違うものに目もくれないのは、警戒心がないからのようですね。
本来であれば、知らないものにはすぐに近づかない
野性の猫は、自分の縄張りに知らないものがあったら、まずは警戒します。そっと近づき前足でつついてみて、さらに鼻で嗅ぎ、自分に危害を及ぼすものではないか念入りに確認します。
⑫イマドキ猫は、大きな音にビクビクしない
大きな音をさせても、何ともない飼い猫が最近増えているようです。最初は怖くても、日々繰り返されるうちに日常の一部となり、慣れてくるからのよう。
本来であれば、音がすればすぐに隠れる
猫は人と比べても、聴覚が優れています。そのため、聞いたことがない音には、すぐに気づくことができるのです。
まずは木の上や岩穴などに身を潜め、様子をうかがうでしょう。
⑬イマドキ猫は、来客があったときに寄って行く
宅配便の配達があったときなど、積極的に寄っていくイマドキ猫もいるようです。飼い猫は、人を「怖くない存在」と認識していて、「誰だろう?」という好奇心で近づいてくるようですね。
本来であれば、正体がわかるまで身を隠す
野性の猫の場合、自分の縄張りに得体の知れない存在が現れたら、正体がわかるまで身を隠して遠くから様子をうかがいます。
危害がないと確信できたときに初めて、ゆっくり近づこうとします。
苦手そうだと思っていたのに意外と平気……というのも、イマドキ飼い猫の特徴のようですね!
あなたの愛猫も、やっぱりイマドキ猫でしょうか?
参考/「ねこのきもち」2018年5月号『「本来の猫」とのギャップがすごい! イマドキ飼い猫の真実』
(監修:哺乳動物学者、「ねこの博物館」館長、日本動物科学研究所所長 今泉忠明先生)
イラスト/二階堂ちはる
文/sorami