とても大事なパーツ「猫の舌」
みなさんは愛猫の舌をチェックしていますか? 毛づくろいや水を飲むときなど、猫はほかの動物以上に舌を使って暮らしています。
画像/「ねこのきもち」2018年7月号
フジタ動物病院院長の藤田桂一先生によると、「大事なパーツだからこそ、愛猫の舌の健康について、知っておけるといい」とのこと。
そこでこの記事では、「健康な舌/異変のある舌の見極め方」について、くわしく解説します!
健康な猫の舌の特徴
画像/「ねこのきもち」2018年7月号
猫の健康な舌は、「色・トゲ・形」でわかります。以下でポイントを見ていきましょう。
①色
②トゲ
トゲは舌の中心に集中し、根元に向かって一方向に生えています。
③形
輪郭はUの字。舌の中心〜奥に向かって厚くなります。
異変のある猫の舌の特徴
一方で、異変のある舌には次のような様子が見られます。
①ふだんと色が違う
イラスト/Pata
舌の赤みは、赤血球の色です。舌が白くなるのは、その赤血球が不足しているということなので、色で貧血かどうかの見極めが可能に。
下記の写真で、舌の色の違いの差を見てみましょう。
通常の舌の色 画像/「ねこのきもち」2018年7月号
貧血時の舌の色(※この写真は通常の舌の色を加工し、貧血時の状態を再現しています)画像/「ねこのきもち」2018年7月号
このような舌の異変を含めて、ふだんと色が違うときは要注意! 全体的にだけでなく、まばらに/部分的に色が変わることもあります。
②腫れやただれがある
イラスト/Pata
舌の盛り上がりが左右対照でなかったり、部分的にジュクジュクした様子が見られたりする場合は、舌が炎症を起こしている可能性があります。
③輪郭がなめらかでない
イラスト/Pata
舌の縁がギザギザして、Uの字を描いていないときは、腫瘍ができて部分的に肥大化し、本来の輪郭をゆがめている可能性も。
猫の舌に異変があると、行動にも変化が……!
画像/「ねこのきもち」2018年7月号
舌に異変があるときは、痛みや違和感を伴っている場合が多いです。そのため、異変があると猫はしきりに口元を気にして顔を洗ったり、食事がうまくできなくなったりすることもあります。
愛猫にそうした様子が見られたら、獣医師に相談してみましょう。
愛猫の舌のチェックのしかた
愛猫の舌の状態は、ふだんから飼い主さんがチェックしてあげたいです。ただ、猫の口を開けようとしても、抵抗されてしまって難しいですよね。
次で説明する方法で、ときどき舌をチェックするようにしましょう。まずは、「舌の表面」をチェックするときの手順です。
①猫を背後から腕で挟んで押さえる
画像/「ねこのきもち」2018年7月号
正面から口を開けようとすると、猫は後ろに逃げようとします。猫の動きを制限する意味でも、猫の胴体を背後から腕で挟むようにして保定しましょう。
②犬歯の後ろをつかみ、下あごにも指をかける
猫が落ち着いたら、片手の親指と中指で左右の犬歯の後ろをつかみます。もう片方の腕は肘を床に着けたまま、人差し指を下あごの前歯に引っかけましょう。
③犬歯の後ろを押し、下あごを下げる
画像/「ねこのきもち」2018年7月号
犬歯の後ろを上に引き上げるように、少し強めに押すと猫の口が開きます。さらに下あごも開いて、舌をよく見ましょう。なるべく短時間ですませるように。
続いて、「舌の裏面」をチェックするときの手順です。
①表面を見た流れで、下あごのくぼみに指をあてる
画像/「ねこのきもち」2018年7月号
上記③「犬歯の後ろを押し、下あごを下げる」の流れで、舌の裏面も見てみましょう。下あごにあてている手の親指を、下あごのくぼんでいる部分(上記写真斜線部分)にあてます。
②くぼみを強めに押すと、舌が盛り上がる
画像/「ねこのきもち」2018年7月号
下あごのくぼみを強めに押すと、反動で舌の両側面がすぼまるようにめくれて、舌の裏が見えます。下あごは痛みを感じにくいので、焦らず落ち着いて行って大丈夫です。
※猫によっては、口元を触ると怖がって攻撃してくる場合があるので、無理には行わないようにしましょう!
猫の「こんなしぐさ」でも、舌のチェックができる!
画像/「ねこのきもち」2018年7月号
舌のチェックは、猫のふだんのしぐさでもチェックできます。具体的なしぐさは……
- 毛づくろいをしているとき
- あくびをしているとき
- 舌なめずりをしているとき
猫の暮らしに大事な舌の健康を保つためにも、飼い主さんはぜひ日頃からチェックを心がけてください。
異変があったときには、すぐに気づいてあげられるといいですね!
参考/「ねこのきもち」2018年7月号『健康をつかさどる最重要パーツ!? 今すぐ猫舌チェックをしてみよう』
(監修:哺乳類学者、「ねこの博物館」館長 今泉忠明先生/フジタ動物病院院長、獣医学博士 藤田桂一先生)
イラスト/Pata
文/雨宮カイ