猫と暮らす
UP DATE
病気のサインだから甘く見ないで! 猫の「貧血」の見抜き方
「貧血」と聞くと、私たち人ではとくに女性に身近なもののイメージがありますが、猫にも貧血はあるのでしょうか?
猫の「貧血」に関する飼い主さんの素朴な疑問6つ
猫の貧血について、よくある猫飼いさんの疑問をまとめてみました。Q&A形式で見ていきましょう↓↓
Q1.猫も貧血を起こすの?

A.人と同様に起こします!
血液中に含まれる赤血球の数や濃度が減少し、酸素を全身に充分に送ることができなくなると、猫も貧血を起こします。
人の場合にある「貧血体質」ではなく、病気によって引き起こされることが多いのが特徴に。

貧血が起きる代表的な病気とトラブルは……
・『ウイルス性感染症』(ウイルスの影響により、骨髄で血球成分がうまくつくれなくなる)
→猫白血病ウイルス感染症、猫エイズウイルス感染症、猫伝染性腹膜炎、猫汎白血球減少症 など
・『内臓疾患』(内臓の働きが悪くなり、血液の生産性も低下する)
→腎臓病、肝臓病、悪性腫瘍 など
・『寄生虫に感染』(体の表面や内部に寄生した虫に吸血される)
→ノミの寄生、鉤虫(こうちゅう)の寄生 など
・『中毒』(摂取した成分が猫の赤血球を破壊する)
→ネギ類の摂取、殺虫剤・害獣駆除剤、人の薬の摂取 など
・『ケガ』(傷口から出血し、必要な血液量が不足する)
→事故で大量に出血 など

※病気・トラブルが関係しない、原因不明の難病『免疫介在性溶血性貧血』の場合も。
これは、免疫成分の一部の抗体が赤血球を破壊して、貧血を起こす病気。原因は不明のことが多く、犬ほどではないけれど猫でも見られます。
急に食欲がなくなり、目や口元の粘膜が白くなり、血尿が出る猫もいます。
Q2.どのような猫が貧血を起こしやすいの?

A.持病のある猫、子猫、老猫です。
猫の貧血は病気が関連しているケースが多いため、持病のある猫に多く見られます。
また、体の機能が未熟な子猫や、内臓の働きが低下していて赤血球をつくる能力が衰える老猫も起こしやすいでしょう。
Q3.顔面蒼白になるなど、人のように見た目に出るの?

A.見た目でわかるケースもあります。
赤血球が減少すると、猫も顔や体の一部に変化が起こります。どの猫でもわかりやすいのは、口の中。
また、猫の毛柄によっては、鼻、肉球、耳の内側などに色の変化が見られることもあります。
健康な状態ではピンクなのが、青白くなります。ただし、ほとんど見た目に変化が出ないことも。
Q4.貧血を起こすと、猫もバタッと倒れたりする?

A.初期は目立った症状は出にくい傾向に。
人の貧血といえば、立ちくらみや卒倒する「脳貧血」のイメージがありますよね。猫も急性に生じた場合は失神もありますが、まれなこと。
それよりも、初期は目立った症状が見られないことが多いでしょう。
Q5.どのようにして貧血と診断されるの?

A.動物病院の血液検査で確定できます。
動物病院では、まず猫の身体検査をして、粘膜の色などを確認します。さらに血液検査を行い、赤血球の数などを調べて貧血かどうかを確定させます。
Q6.人のように食生活で改善できるの?

A.栄養不足が原因の貧血は改善できます。
適切な食事を摂っていない猫の場合、鉄分やたんぱく質、葉酸やB12が不足し、栄養欠乏性の貧血を起こすことが。
その場合は、主食を総合栄養食にすることで改善します。
猫が貧血かどうかを、「色」で見極めよう!
さて、ここからは飼い主さんが愛猫の貧血に気づきやすいポイントを紹介します。まずは、「色」で気づけるポイントから。
飼い主さんは、愛猫の口の中の色を見てみよう!

飼い主さんでも気づいやすいのは、口の中の色の変化です。舌や歯茎などの赤みは、赤血球の色。貧血のときは、通常のピンクの箇所が青白いピンクに変化します。
そのため、猫の口の中をのぞけば、色で貧血かどうかの見極めができます。
獣医さんは、目と歯茎の色をチェックします!

獣医師は、目と歯茎の色を見ます。

通常はピンクであるはずの結膜と歯茎が白っぽくなっていると、貧血の可能性があります。
猫が貧血かどうかを、「行動」で見極めよう!
続いて、「行動」から貧血を見極めるためのチェックポイントです。
ふらつきはない?

貧血が進行すると、不自然な足取りになってフラフラしたり、よろめいて倒れることがあります。
呼吸は荒くない?

貧血が進行すると、酸素を取り込もうとして過呼吸に。いつもよりお腹の上下の動きが速くなったり、激しくなったりします。
元気がなかったり、食欲不振ではない?
ほかの病気でもよく見られる症状ですが、初期の貧血のときにも元気がない様子や食欲不振が見られやすいです。
なんとなくだるそうな様子で、いつもと違う場所でうずくまっていたら要注意!
「貧血かな?」と思ったら、獣医師に相談を!

猫の貧血の場合、人のように「鉄分のサプリで補おう」というわけにはいきません。改善させるには、まず貧血を起こしている原因を特定し、その治療を行う必要があります。
とくに持病のある猫は貧血のリスクが上がるので、たかが貧血と甘く見ずに、異変が見られたら早めに獣医師に相談しましょう。
参考/「ねこのきもち」2019年2月号『病気のサインだから甘く見ないで! ねこの貧血』
(監修:東京都杉並区にあるモノカどうぶつ病院院長 小林清佳先生)
イラスト/青山京子
文/Honoka
UP DATE