猫の性別はパッと見ではわかりにくいものですが、それぞれ性格や行動などに特徴や傾向があります。そして、体のつくりの違いから性別によってかかりやすい病気も違うのです。
ここでは猫の性別ごとに注意したい病気と去勢・避妊手術についてご紹介します。
オスのかかりやすい病気はコレ!
尿石症
尿石症とはオシッコができるまでの道の途中に、尿中の成分が凝縮されてできた結石ができる病気。尿道が狭く結石が詰まりやすいので重症化することも多い危険な病気です。
チェックポイント
●オシッコをするとき辛そうに鳴く
●トイレに何度も行くが、オシッコが出ない
尿道閉塞
結石が尿道付近に詰まると、尿の出口が完全に塞がれます。これを尿道閉塞といいます。2日間以上この状態が続くと、命にかかわるので、毎日欠かさずオシッコのチェックをして。
オスはあごニキビ・スタッドテイルにも注意
皮脂の分泌が多くなり、体表に変化が出てきます
あごニキビは、猫のあご部分に黒いブツブツしたできモノができ、ひどくなると膿がたまることも。スタッドテイルは皮脂腺が多いしっぽの付け根部分のベタ付きがおもな症状です。
メスのかかりやすい病気はコレ!
乳腺腫瘍
猫の胸からお腹にかけてある乳腺に腫瘍ができます。ほとんどの場合、悪性の腫瘍で、肺やリンパに転移すると命にかかわることも。高齢になるほど発症しやすくなります。
チェックポイント
●おっぱいにしこりや腫れがある
●おっぱいから血や膿が出ている
子宮蓄膿症
子宮内に細菌が入り込んで感染することで炎症がおこり、膿がたまる病気で、猫自身は痛みを感じづらいのが特徴です。とくに発情後期は、発症のリスクが高いと考えられています。
チェックポイント
●水をよく飲むようになった
●お腹が腫れている
●外陰部から血や膿が出ている
去勢・避妊手術のキホンのギモン
オス
去勢手術したほうがいいの?
去勢手術をすると、本来のオスらしい行動を抑えることになりますが、尿スプレーや脱走などの激しい性衝動が減り、攻撃性も弱まります。猫にとっても強いストレスから解放され、人とも暮らしやすくなります。
いつするの?
オスの手術は生後4カ月から可能ですが、性成熟前であれば問題ありません。また、性成熟したあとの手術でも、性衝動はある程度抑えることができます。
どうやって行うの?
メスとは違い、お腹を切ることなく、睾丸の皮膚を切開し精巣を取り出します。1〜2日程度入院が必要な場合もあれば、当日帰宅できる場合もあり、対応は動物病院によって異なります。
避妊手術したほうがいいの?
避妊手術したほうがいいの?
繁殖の予定がないなら手術したほうがいいでしょう。上のような乳腺腫瘍、子宮蓄膿症などの病気は、避妊手術を受けることで発症が抑えられるので、健康や長生きにつながります。
いつするの?
最初の発情時期は猫によって異なりますが、おおむねメスは6〜8カ月頃といわれていますから、その前に行うのがベストでしょう。
どうやってするの?
全身麻酔のあと、お腹の毛を剃り、おへそから下腹部を切開。卵巣や子宮も摘出します。傷口を縫合し、約1週間後に抜糸します。
オスとメスの性別によってかかりやすい病気の違いについてわかりましたか? どちらも生殖器など、それぞれの性別特有の器官で起きやすいようです。可能であれば早い段階で去勢・避妊手術をして、病気の予防をしてあげられるといいですね。
参考/「ねこのきもち」2016年7月号『性格や行動は、性別で違うから…オスメス別 猫が大満足する7つのこと』(監修:マオキャットクリニック院長 高野のり子先生)
撮影/中川文作
イラスト/おがわようこ
文/浪坂一
※この記事で使用している画像は2016年7月号「性格や行動は、性別で違うから…オスメス別 猫が大満足する7つのこと」に掲載されているものです。