愛猫が急に家の中をウロウロとするようになった……などといった行動をすることはないでしょうか? 落ち着かない愛猫の様子を見ると、飼い主さんも不安に思ってしまいますよね。
今回は、猫が部屋の中をウロウロする原因について、ねこのきもち獣医師相談室の先生が解説します。
猫が部屋の中をウロウロする理由と原因
猫は狩りをして食料を得るために、また安心できる寝床を確保するために縄張りを持ちます。
室内飼いの猫にとっては、自由に行き来できる「部屋全体」が安心できる縄張りに。その縄張り内で変化があったり、不安やストレスを感じると、同じ場所を落ち着きなく何回もウロウロ歩き回ることがあります。
よくある原因としては、以下の5つのようなことが挙げられます。
①引っ越し・模様替え
引っ越しや部屋の模様替えによって、部屋の様子が変わったり自分のニオイが消えてしまうと猫は不安になり、ウロウロ歩き回ることがあります。
②猫砂やフードが変わる
猫砂やフードなど、慣れ親しんだものが急に変わってしまうことは、猫にとってストレスになります。
③使いづらいトイレや食器
トイレや食器にこだわりを持つ猫は少なくありません。
トイレや食器が使いづらいものに変わってしまったり、使いづらいままにしているとストレスになって、落ち着きなくウロウロ歩き回る場合があります。
また、猫はきれい好きな動物です。
- 排泄物が長い時間放置されている
- トイレの数が足りない
- 食器が汚れたまま
なども、猫にとってストレスです。
④新入りの猫
猫の数が増えるのは、お気に入りの場所が奪われたり、食事やトイレなど安心してできなくなったりと、先住猫にとって縄張り内が大きく変化することを意味します。
先住猫にウロウロ歩き回る様子が見られたら、ストレスのサインかもしれません。
⑤外猫の訪問
窓から見える庭なども、室内の猫は縄張りと認識していることがあります。そこに外猫の姿を見つけると「侵入者が来た」と考えて、落ち着きがなく室内をウロウロ歩き回ることがあります。
猫がウロウロするときに考えられる病気
不安やストレス以外の原因では、病気の可能性も考えられるでしょう。以下のような病気が原因のこともあるかもしれません。
①泌尿器系の病気
膀胱炎や尿結石等で痛みや残尿感があると、ソワソワしたりウロウロして落ち着きなく歩き回ることがあります。
ほかにも……
といった症状が同時に見られることも多いです。
②甲状腺機能亢進症
高齢猫に多い
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に出されることによって、全身に影響を及ぼす病気。
落ち着きがなくなってウロウロ歩き回るほかには……
などの症状が見られます。また、進行すると……
なども観察されます。
③認知症
猫の寿命は年々延びています。それに伴い増えている病気がいくつかありますが、そのひとつが
認知症です。
認知症では、目的もなくウロウロ歩き回る様子が見られるほか……
- 夜鳴き
- 粗相を繰り返す
- 寝る時間帯の変化
- 周囲への興味や反応の低下
- 食欲の低下、または異常な食欲
など、さまざまな変化が見られるようになります。そのほかにも体に痛みや違和感があったり、神経症状などでもウロウロ歩き回ることがあります。
認知症は動物病院での治療だけではなく、家での介護も大切な病気です。
もしも愛猫に何らかの病気のサインの可能性がある場合は、速やかに受診しましょう。
猫がウロウロするときの対処法
愛猫が不安やストレスによって、同じ場所をウロウロ歩き回っているようであれば、できるだけその原因を取り除く工夫をしたり、その不安やストレスを克服できるまで待ってあげましょう。
環境の変化の場合
たとえば環境の変化に対しては、自分のニオイを付けて、新しい環境に慣れるまで待ってあげましょう。
猫砂やフードを変更した場合
猫砂やフードを変更するときは、猫の様子に注意しながら徐々に変えるようにしてみてください。
新入り猫を迎え入れた場合
新入り猫を迎え入れたら、先住猫が慣れるまで新入り猫をケージに入れたり、別の部屋に移動するなどして、気長に待つようにしましょう。
愛猫がウロウロする原因について、心当たりのあることはありましたか? 原因が特定できれば、上記で解説したような対応をしてみてください。
もし病気だったら…と不安な場合は、かかりつけ医に相談してみるようにしましょう。
(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
取材・文/sorami