猫と暮らす
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愛猫の体にできものが!注意が必要な「できもの」の特徴とは?【動物看護師が徹底解説】
愛猫の体にできものが!注意が必要な「できもの」の特徴とは?【動物看護師が徹底解説】
いつも仕事から帰ってきてからの数時間、撫でるのは基本的に頭と背中だけという人もいるでしょう。
また、家にいる間はずっとひざの上にのせて、全身くまなく触っている人もいるでしょう。
猫を撫でる行為は、猫の飼い主さんの多くは自然に行うものなので、あまり意識していない方も多いのではないでしょうか。
しかし、その何気ないスキンシップタイムは、愛猫の健康を知る重要な時間でもあるのです。
特定の場所しか触れていないと、皮膚になにかできものが出来ていても気づきにくいものです。
今日から普段触らないようなところにも、触れてみませんか?
できものは急に大きくなるわけではない
人間で言うニキビ程の大きさであれば、この時点で腫瘍かもしれないと焦り始める飼い主さんはあまり多くはないでしょう。
しかし、腫瘍かどうかは別として、そこに”何かできものがある”ということを認識しているかどうかが早期発見・早期治療の大事なポイントとなります。
できものがあることを認識していれば、あれどうなったかな?と毎日観察することもできますし、大きくなったときにすぐに気づくこともできます。
米粒のような時点で動物病院へ行くのも間違えではありませんが、検査しようにも組織自体が少ないと正確な結果が出ないことがあるので焦りも禁物です。
どんなできものが危険か
できる部位によって良性なのか悪性なのかが分かれるわけではないので、どの場所にできても悪性でないか早期に検査する必要があります。
良性であることが多いできものは、盛り上がっているできものと皮膚の境界線がはっきりしているもの、色が皮膚の色と同じもの、触ると中に液体が入っているようなもの、芯がなく皮膚と一緒に動かせるようなものと言えます。
ただし、“多い”だけなので、すべて上記に当てはまるからと言って安心するのは禁物です。
反対に、正常な皮膚とできものの境界が不明瞭なもの、色が黒や赤黒い、芯があるように感じるほど硬く、皮膚よりも下へ根を張っているように思えるものは悪性度が高いかもしれません。
急速に大きくなるできものにも注意が必要です。
場所によっては良性でも致命傷となる
猫は口呼吸を普段しないので、咽頭のバリアが少し弱いと言われることもあります。
そのため、鼻腔が閉じたことで、口呼吸での感染や合併症を起こす危険性もあり、鼻腔のできものが良性であっても早期の治療が必要でしょう。
鼻腔以外の場所であっても、生活に支障がでるもの、食事がしづらくなるものなど、QOL(生活の質)が下がるものは良性でも完全切除などの手術が必要になることがあります。
良性だからといって、ホっとできるわけではないということです。
できものを見つけたら?
猫は被毛が密なので、小さいできものだと探し出すことが出来ずに治ったと勘違いすることがあります。
目に見てわかるほど大きくなっていると、悪性の場合は転移することもあるので、なるべくできものが小さいうちに、若干の変化であっても経過を見せにかかりつけの動物病院へ行くと良いでしょう。
自宅でできものを発見したら、大きさ、感触、動くかどうか、境目はどうか、といった点を確認し、その後はそれ以上触るのはやめましょう。
腫瘍ではなく、体液や膿などが溜まっている場合は、触ることによって破裂することもあります。
また、触った摩擦で愛猫が嫌がったり、それが引き金で愛猫がかき壊してしまうこともあるので、出来る限りそっとしておいてください。
良性なのか悪性なのかは動物病院の検査でしかわからないので、「不安だけど暴れる猫を連れて行くか迷っている」という状態であれば思い切って受診してみてください。
悪性腫瘍で手遅れになるよりもずっと良いでしょう。
文/動物看護士 木本 由季
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