猫がちょっと気になる行動やしぐさをしていた場合、実は猫が心の葛藤をしているサインかもしれません。葛藤の結果として出てくる「転位行動」と「転嫁行動」について、注意が必要かどうかという観点も含め、くわしく解説します。
これは大丈夫!猫の気分転換「転位行動」
びっくりしたあとに自分の体をなめる、高いところで足を滑らせたあとに顔を洗うなど、どうして今それを?と思うような行動をする猫たち。実はこれは「転位行動」といって、猫にとっての気分転換のようなものなのです。
転位行動ってなに?
転位行動とは、緊張や恐怖などの感情が入り交じり「葛藤」する状態になったときに、その感情の原因と一切関係のない行動をとることで、気を紛らわせて気持ちを落ち着かせること。
人の場合はストレスからのやけ食いや、ミスしたときに頭をかく、などがあげられるでしょう。
その場で受けたストレスをうまく対処しているので、これらのしぐさが見られてもそれほど心配はいりません。
注意が必要!いわゆる八つ当たり「転嫁行動」
一方で「転嫁行動」には注意が必要です。
たとえばお気に入りの場所を同居猫に奪われて飼い主さんに噛み付く、ノラ猫の声に興奮して同居猫にパンチする、環境が大きく変わったことで性格が攻撃的になるなど、いわゆる「八つ当たり」のような行動が見られたら対処が必要になる場合も。
転嫁行動ってなに?
転嫁行動とは、緊張や恐怖などの感情が入り交じり「葛藤」する状態になったときに、その感情の原因と一切関係のない相手を対象に行動することを指します。
飼い猫の転嫁行動は同居猫や飼い主さんに向けられることが多く、猫が人を引っかいたり噛んだりする理由の半数近くは、この転嫁行動によるものだという説も。
転嫁行動をよく見かけるようになったらどうすればいいの?
転嫁行動が数日間続いている、よくするようになったと感じるようなら、それは猫が持続的にストレスを受けているというサイン。その状態が続くと、粗相やモノの破壊など、さまざまなトラブルにつながる可能性もあります。
愛猫のストレスの原因を探し、取り除いてあげることが重要になってきます。
具体的にどう対処したらいいの?
複数飼いであるなら、快適な居場所や食事の場所、トイレなどはそれぞれの猫に用意してあげましょう。それぞれが満足できるようにして、同居猫同士が争う理由を減らすことが大切です。
気分転換の要にもなる爪とぎは、できるだけ複数箇所に設置してあげてください。愛猫の好みの素材や角度なども把握しておくとよいでしょう。
また、窓の外にノラ猫の姿が見えたら、愛猫の視界に入らないようにカーテンをひくのもおすすめです。
猫の葛藤がどういった形でどこに向けられているかによって、注意の必要性は変わってきます。これらの変化は、日ごろから愛猫を観察することで気づきやすくなるはず。こまめに愛猫の様子を見守り、愛猫からのサインを見逃さないようにしてくださいね。
参考/「ねこのきもち」2015年11月号『猫が抱える心の葛藤…』(監修:獣医学博士 麻布大学獣医学部動物応用科学科介在動物学研究室講師 大谷伸代先生)
文/kagio
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。