猫は3~7月の換毛期を迎えると、毛の抜ける量が大幅に増える傾向にあります。飼い主さんが抜け毛の量に気づけず除去が不十分だと、病気の原因になってしまう可能性も。抜け毛の放置でリスクが高まる病気とその予防について、くわしく解説します。
抜け毛を飲み込むことで起こる毛球症
猫は体を清潔に保つために毛づくろいを行いますが、その際に抜け毛も一緒に飲み込んでいます。
この飲み込んだ毛が胃の中にたまりすぎると毛玉を形成し、それが胃の粘膜を刺激してしまうことが。これは毛球症(もうきゅうしょう)という病気で、嘔吐や食欲不振といった症状のほか、猫によっては吐きたくても何も出ずに苦しんでしまうケースも。
また、毛玉が腸で詰まってしまうと腸閉塞になる可能性もあります。
毛のもつれが皮膚の炎症を引き起こす皮膚病
抜け毛が猫の体についたままもつれてしまうと、毛の塊ができるケースがあります。それをそのまま放置していると、周辺の皮膚は通気性の悪さから蒸れた状態になり、その結果炎症や細菌の繁殖を起こして皮膚病につながるおそれが。
とくに長毛種の猫は毛の塊ができやすいので注意が必要です。
お手入れで病気を防ごう!ブラッシングのポイントは?
先述したように、とくに長毛種の猫は毛が絡まりやすいため、毎日のブラッシングは必須事項です。換毛期に入ったら、ふだんのお手入れにプラスして、毛の塊ができやすい部位をコームで丁寧にほぐしてあげるようにしましょう。
毛の塊は胸、脇、内股、しっぽにできやすいといわれています。猫が嫌がるようなら1日にすべて行わず、今日は脇、明日は胸など部位別に日を分けて行うのもおすすめです。
短毛種には逆毛ブラッシングがおすすめ
短毛種でも2~3日に1回のブラッシングが必要ですが、換毛期には、やはり毎日行ってあげるようにしましょう。
短毛種の場合は、ラバーブラシを用いた逆毛ブラッシングがおすすめです。猫自身が毛を舐めてしまいやすいお尻から後ろ足にかけて、毛を起こすようにブラッシングし、次いで毛並みに沿ってとかしていきましょう。
ブラシが嫌いな猫の場合は、湿らせた指先でとかしてあげる「手グシ」でもOK。
個体差はありますが、春の換毛期に入った猫の抜け毛は、多い猫だと通常の10倍以上になることも。この時期にスムーズに被毛が整うことは、猫の健康にとっても大切なポイントです。愛猫の変化を見逃さずに、被毛のケアをサポートしてあげてください。
参考/「ねこのきもち」2019年3月号『「やらなきゃ」には理由がある 病気・ケガから愛猫を守るお手入れ』(監修:アニマル・ケアサロンFLORA院長 日本ペットマッサージ協会理事 中桐由貴先生)
文/kagio
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。