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実際に獣医師が診療した 猫の心の病気と治療のお話4

愛猫の行動は何だって許せてしまうものですが、中には困るのでやめてもらいたいものも。とはいえ、それらには猫なりの理由があったり、病気からの行動の場合も。
猫の行動診療を行っている獣医師・菊池亜都子先生に実際に診療したケースを教えていただきました。

1、レジ袋の音が聞こえると、家族を攻撃するように

イラスト/mollydomon
『飼い主さんの娘さんがクリーニングの袋から服を取り出したところ、そのそばの猫ベッドで寝ていた猫が突然威嚇、攻撃! それ以来、娘さんの姿を見たり、スーパーのレジ袋の音を聞いたりすると娘さんにだけ攻撃するようになってしまいました。』

ケージを利用して警戒を和らげ、 生活音にも配慮することで治療

猫をリビングに置いたケージに入れ、娘さんにはケージの柵越しに遊んだりおやつを与えたりしてもらうように。2カ月後にはケージ越しでの攻撃が見られなくなったので、ケージ外での接触時間を徐々に増やしていきました。
半年ほど経ち、攻撃が見られなくなったので、同時に与えていた不安を和らげる薬も少しずつ減らしながら治療終了へ。引き続き音に気を付けながら暮らしてもらっています。

2、同居猫に突然噛み付き、以来対面すると攻撃的に…

イラスト/mollydomon
『飼い主さんが新しく猫を迎え、半年ほど経った頃のこと。押入れから突然大きな鳴き声が聞こえたと思ったら、新入りの猫が先住猫を攻撃していて……。一度引き離したのち、再び対面させたものの、新入り猫が再び攻撃を始めたので隔離することに。
2週間後に再び対面させたら、お互いに毛を逆立て興奮し始めたので、またすぐ引き離しました。』

治療では、おやつなどを用いてお互いに慣れさせていきました

隔離は継続し、ドアを隔てた状態でそれぞれおやつをもらう状態に慣れさせたのち、ほんの少し、また、ほんの少し……ドアを開けて与えるようにし、お互いの存在に慣れさせました。また、寝床のタオルを交換してお互いのニオイに慣れさせたり、遊び時間を増やしてエネルギーを発散させたりした結果、最近では直接対面もできるように。

3、ふみふみしながら布製品を口にしてしまう

イラスト/mollydomon
『飼い主さん宅に迎えられた頃から眠るときに毛布やラグなどの布製品をふみふみしながらかじるクセがあった猫。数カ月後から徐々に吸いながら食べるようになって飼い主さんと一緒に来院しました。

口にしてしまっても基本的には吐き出すので、動物病院での処置が必要になる事態には至らなかったのですが……。』

布製品は片付け、遊び時間を増やすことで治療

布製品を片付けるのはもちろん、ケージの中でフードを与えてもらい、安心できる居場所づくりも。また、遊びの時間がかなり足りなかったので、毎日一緒に遊び、欲求不満の解消にも努めてもらいました。さらに、不安を和らげる投薬を併用して治療を続けたところ、布製品を口にする頻度がだんだん減っていきました。
 
とはいえ、油断すると食べてしまうので、治療は続けています。

4、布団にのって、しばしば排尿するようになり…

Getty
『引き取られてすぐの頃、布団でオシッコをし続けた猫がいました。トイレ砂を今までのものに戻したら解消されたのですが、数カ月後、留守番の時間が長くなると、また布団でするように。そこに引っ越しが重なり、やはり布団でオシッコを。
よくよく振り返ると、飼い主さんの帰宅後すぐに相手をしてもらえないときにする傾向にあることがわかりました。』

布団のある部屋には入らせず、遊びの時間を増やして治療

布団のある部屋に入れないようにしたほか、一緒に遊ぶ時間を増やしたり、猫タワーを置いたり、ストレス解消に努めてもらいました。さらに、トイレで排泄するように訓練した結果、3日に1回ほどだった布団での排泄が数カ月に2~3回にまで減少しました。
猫の困った行動の多くは、不安やストレスが原因です。猫と人、お互いが心地よく暮らすためにも、今一度、愛猫の様子をじっくり観察してみて。異変があったら、かかりつけ医や行動学の専門家に相談してみるといいでしょう。

参考/「ねこのきもち」2019年5月号『その困った行動、すとれすからくる心の病気かも』(監修:獣医師 菊池亜都子先生)
文/Monika
イラスト/mollydomon
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