もしも愛猫が熱中症になってしまったとき、飼い主さんの素早い適切な対応が、その後の猫の明暗を分けます。
この記事では、「自宅」や「外出先」で猫が熱中症になったときに、飼い主さんがすべき行動について解説します。いざというときに慌てないために、飼い主さんはぜひ覚えておいてください!
猫が熱中症になったら、まず「意識の有無」を確認して
暑さで急上昇した体温が下げられず、突発的に発症する熱中症。猫が万が一、熱中症になってしまった場合は、まず意識の有無を確認してください。
- 意識がある→呼びかけに反応して自力で動けること。
- 意識がない→呼びかけに無反応で自力で動けないこと。
もし意識がなければ、命に関わる危険な状態です。一刻も早く応急処置をする必要があります。
猫が自宅で熱中症になったときの応急処置
まずは、猫が家の中で熱中症になった場合の応急処置の方法について見ていきましょう。
【猫の意識がある場合の応急処置】
①猫がいる場所を涼しくするか、涼しい場所に移動させよう
猫がいる場所が暑い場合は、まず窓を開けて熱気を放ち、エアコンをつけてスピーディーにいつもの温度まで下げましょう。自宅に涼しい場所があれば、猫を移動させてください。
②水で濡らしたタオルなどで猫の体を冷やそう
水で濡らして軽く絞ったタオルを猫の首のまわりや脇の下、内股の付け根など太い血管が通っているところを覆うように掛けてください。できれば扇風機で猫の体に風を当てて、冷却効果を高めましょう。
③猫に水分補給をさせよう
水飲みボウルを猫のそばに置いて、自力で飲めるなら飲ませてあげましょう。スポイトがあれば、少しずつ飲ませるのもいいですね。猫が自力で飲まないようなら、動物病院へ連れて行きましょう。
【猫の意識がない場合の応急処置】
①バケツなどにためた水に猫の体をひたして冷やそう
猫の意識がない場合、一刻も早く猫の体を冷やす必要があります。流水をかけるほうが効率的ですが、バケツや桶にためた水の中に猫を入れて、首から下をひたすほうが簡単です。
②動物病院に電話して指示を受けよう
動物病院に電話をして、熱中症の疑いがあって「意識がない」ことを話し、緊急で受け入れてほしいと伝えましょう。そして、獣医師の指示に従って行動してください。
③猫の体を冷やして動物病院へ連れて行こう
獣医師から「猫をどのように動物病院に連れて行くか」の具体的な指示がなければ、タオルを巻いた保冷剤を入れたキャリーケースに猫を入れて、動物病院へ連れて行きましょう。
猫が外出先で熱中症になったときの応急処置
続いて、猫が外出先で熱中症になってしまった場合の応急処置について見ていきます。
【猫の意識がある場合の応急処置】
①自家用車ならエアコンを涼しくし、外なら涼しい場所を探して移動しよう
もし猫が車内で熱中症になった場合は、まず窓を開けて熱気を放ち、エアコンをつけてスピーディーにいつもの温度まで下げましょう。外にいる場合は、木陰など涼しい場所を見つけて猫を移動させてください。
②冷たい水のペットボトルを購入し、体を冷やそう
そして、太い血管が通っている脇の下や内股の付け根などに冷たいペットボトルを当て、効率的に体を冷やしましょう。もしタオルがあれば、水で濡らして軽く絞り、猫の体を覆うようにして掛けてください。
③猫に水分補給をさせよう
紙コップなど、水飲みボウルの代わりになりそうなものに水を入れて猫のそばに置き、自力で飲めるなら飲ませましょう。自力で飲めない場合は無理をせず、動物病院へ連れて行きましょう。
【猫の意識がない場合の応急処置】
①近くの動物病院をインターネットで探そう
まずは体を冷やしたいところですが、一刻も早く一番近い動物病院を探すことを優先するほうが賢明です。インターネットなどを利用して探しましょう。
②動物病院に電話して指示を受けて、連れて行こう
動物病院に電話をして、熱中症の疑いがあり「意識がない」ことを話し、緊急で受け入れてほしいと伝えてください。獣医師の指示に従って行動し、動物病院に連れて行きましょう。
猫に応急処置をする際の注意点
猫を応急処置する際に、いくつか気をつけたいことがあります。下記の点を覚えておいてください。
猫の体を冷やしすぎない
猫の体を冷やすときは、冷やしすぎてしまうと体温を維持しようとして末梢血管が収縮してしまい、かえって体温が下がりにくくなることがあります。
また、体温が下がりすぎてしまうと低体温症になって命を落とす危険性もあるので、注意しましょう。
水を無理に飲ませると誤嚥性肺炎の危険性も
猫に水分補給をさせるとき、無理に飲ませると肺に水が入ってしまい、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があるので注意してください。
症状が改善されたと思っても、動物病院に連れて行こう!
東京猫医療センター院長・服部幸先生によると、熱中症の症状が改善されたと思っても、内臓がダメージを受けていることもあるそうです。必ず動物病院を受診させましょう。
参考/「ねこのきもち」2018年8月号『読者の体験から知る 熱中症シチュエーション』(監修:東京都江東区の猫専門病院 東京猫医療センター院長 服部幸先生)
イラスト/津田蘭子
文/sorami