猫と暮らす
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「飼い主の前から姿を消す」 猫が死ぬ前に見せる行動の変化とは?
そこで今回は、愛猫の死を経験したことのある飼い主さん380名に、愛猫の死にまつわるアンケート調査を実施してみることに。
愛猫は亡くなる前に、飼い主さんの元から離れようとした?
そのときのエピソードについて、飼い主さんたちから寄せられたエピソードを紹介します。
・「オスの雑種でしたが、そろそろかなというときに突然家からいなくなってしまいました。帰ってくることはありませんでした。当時他に2匹親猫と雌の兄妹猫がいて、メスの2匹は自宅で最期を迎えました」
・「歩くのがやっとだったのに、階段を上がり、2階の寒い部屋(冬だったので)にある娘のベッドにいて驚いたことがあります」
・「病気で体力も落ち、体温も低くなっているので、暗く暖かい所を準備したが、なぜか玄関の下駄箱の下や脱衣所など寒いところへいきたがっていたことがあります」
・「呼吸が辛く、1人になりたい。暗い所でジッとしていたい。そんな感じでした」
・「玄関のドアの前で、出してという行動をして何度ベッドに戻しても、駄目なので最後の瞬間まで玄関で、抱いていた」
・「12歳のペルシャ オスですが癌を患ってました。とにかく薄暗い所、狭くて暗い所に居ました。亡くなるその時はてんかんを起こしてたのでリビングに居ましたが、本当は薄暗い所で最期を望んでたのかもしれません」
・「18才を過ぎたある日、姿が見えず、家中探し回り、物置に使っている部屋の奥の角の隙間に入り眠っているのを見つけた時は、死に場所を探したのだと直感し絶望的な気持ちになりました。まだ逝っちゃダメだよーと泣きながら懇願した事を今でも忘れられません」
・「いつも私のすぐそばにいるコでしたが、亡くなる一年程前から、別の部屋にいるようになって、寝るときもいつも枕元にいたコが足元の私が見える高さの場所にいるようになり寂しかったです」
・「亡くなるまでは思いませんでしたが、いま思えば…というのは、普段は1階のリビングに居る事がほとんどだったコが、亡くなる数週間前からは気付くと2階に居るようになりました。その時はお気に入りの場所が増えたのかな〜位に思っていましたが、亡くなってから、あの時人から離れて一人になりたかったのかな…と思いました」
「死の前兆だ」と思った愛猫の行動の変化は?
いったいどんな変化が見られたのでしょうか?
・「寝たきりになった」
・「老衰だったこともあり、食事も水も摂れなくなってました」
・「ご飯の時間が来ても食べない、食べても苦しそう、まだ幼いのに、顔にイキイキした明るさがなく、グッタリとして、段々と疲れた表情しか見せなくなってきたとき」
・「一人で立てないほど体調崩していたのに、亡くなる前日に急に自力で立ち上がってご飯も食べました。回復したのかと思ったら、その2日後に亡くなってしまいました」
・「普段は抱っこがキライで添い寝もしないコが、側を離れなくなった」
・「普段はあまり甘えない父の膝に乗って寝ていた時に、もしかしてお別れが近いのかなと思いました」
・「既に一年ほど前にお気に入りの場所が変わっていましたが、更にいつもは居ないような場所にいるようになりました。どうしたものかとただただ困惑していました」
・「時間を追って出来ていたことが出来なくなった事です。昇れた所に昇れない。好きな寝床に行けない。トイレ迄間に合わない…」
・「具合が悪くベッドの下に隠れて寝ていたのが、ジャンプできないくらい弱っていたのを最後の力を振り絞るかのようにベッドに上がってきてくれて、一緒に寝てくれた。意識があるのはこの日が最後でした」
・「すごく大きな声で3回ニャオーと鳴いた。まるで、『今までありがとう』とお礼を言っているようだった」
・「亡くなる夜はいつになく、鳴き声が続きました。今思えば、猫なりにお別れを言ってたのかもしれません」
・「食欲が減り、毛繕いが上手にできなくなってきた。点滴に通い、普段も寝てることが多かったが、その日はやけに後をついて来た。かと思えば、突然外に出してと窓で鳴き続け、最後は庭で亡くなっていた」
・「起き上がれないくらい衰弱しているのに、庭を見たがったり、他の猫に(多頭飼いなので)会おうとしたりしました。最後に挨拶して、思い出を持っていきたいのかなと思いました」
・「年内持つかどうかの状態から2週間。ズーと苦しい声で鳴く彼女に添い寝しながら『頑張ろうね。置いて行かないで』って言い続けていましたが、『22年間有難うね。楽しかったよ。寂しいけど有難う』って撫でた。翌朝動かないはずの4本の足を軽快に動かして、楽しげに天に登って逝った 」
また、具体的な変化はわからないけれど、「なんとなくわかる」という飼い主さんの声もありました。ふだんの愛猫を見ているからこそ、些細な変化を感じ取っていたのかもしれません。
【獣医師解説】老衰で亡くなる猫が見せる「旅立ち前の行動」とは?
ここからは、ねこのきもち獣医師相談室の先生に、「猫の老衰」についてお話を伺いました。老衰の猫が見せる変化や、飼い主さんが愛猫にしてあげられることなど、飼い主さんはぜひ覚えておいてください。
老衰の猫が見せる行動の変化
「考え方は人間と同様です。老衰とは、明らかな病気などは見当たらないものの、加齢に伴い体が徐々に衰えていく状態です」
「飼い主さんが気づくサインは、『このところ、いつもと何か違う』という違和感であることが多いようです。
老衰で亡くなる際には、その少し前から体の衰えが今までよりも早く進んでいるように見える傾向があります。たとえば、身動きが減って寝ている時間が次第に長くなり、内臓の働きも徐々に弱まるため、食事の量や排泄の回数も減っています。
また、その過程の中で、猫自身の不安感が増すこともあるようです」
「不安感を感じた老猫の行動はさまざまです。たとえば、警戒心が高まり人から遠ざかって静かな場所に身を隠そうとすることもあれば、逆に今までにない感じで甘えるようになったり、人を呼ぶように頻繁に鳴くことが増えることもあります。
このような愛猫のさまざまな変化を、飼い主さんが違和感として感じるのではないでしょうか」
老衰の猫に対して、飼い主さんができることは?
「体の衰えがあってほとんど寝ているような状況であっても、猫自身はそれなりに『猫らしく』過ごしたがることも少なくありません。
猫の体調がよいときには、室内飼育の猫にとっての縄張りである部屋の中を見回るそぶりを見せたり、高いところに行って外を眺めようとしたり、あえて日が強く当たる場所に行って日向ぼっこをしようとすることもあります。
このような要求が見られた際には、飼い主さんに無理のない範囲で、なおかつ猫にとって事故がないよう常に見守りながら、その気持ちを都度満たしてあげるとよいでしょう」
「また、かなり体の衰えが進んでいたとしても、寝たままの排泄を好まず、ちゃんとトイレに行って排便・排尿をしようとする猫も多く見られます。
トイレは愛猫の休む場所のすぐ近くにも用意し、足腰が衰えていても使いやすいように、縁の低いトイレ容器にするか、入り口にスロープやステップを設置して出入りしやすくする工夫をするとよいでしょう」
「そうですね。ただ、食事や飲水はあまり熱心に摂取しなくなる傾向があります。食事や飲水の場所に行ってまで摂ろうとしなくなる、ということですね。
愛猫が休む場所の傍にも飲みやすい高さに調節した水入れや食事を用意し、なおかつ、折に触れて口元にもっていって水を飲ませてあげるなどのケアを心がけるとよいでしょう。
そのような対応の中で、もしも飼い主さんが『このところ、いつもと何か違う』という違和感があるようなら、病院への受診も含め、そのときにしてあげられる手厚いケアを心がけながら、愛猫との時間をより大切に過ごしていただくとよいと思います」
ねこのきもちWEB MAGAZINE『猫の行動に関するアンケートvol.01』
取材・文/sorami
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