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長生きする猫が増えている今知っておきたい! 猫の「認知症」の予兆や症状

高齢になるほど、さまざまな病気について不安になってくるものですよね。それは、猫も同じです。

長生きする猫が増えている昨今、飼い主さんは猫の認知症について知っておく必要があるでしょう。今回、ねこのきもち獣医師相談室の先生がくわしく解説します。

猫の認知症の予兆とは?

見つめる猫
getty
猫にいつもと違う様子が見られて、それがほかの病気でもたらされるものではないと診断されたとき、認知症を疑うことになるでしょう。

症状によっては認知症と区別がつきにくいものもあるので、かかりつけの獣医師とよく相談して見極める必要があります。

猫の認知症の典型的な症状とは?

見上げる猫
getty
では、「いつもと違う様子」とはどのような症状をいうのか、具体的に見ていきましょう。認知症の典型的な症状は、英語の頭文字をとって「DISHA」と呼ぶことがあります。

  • 『D』は Disorientation(見当識障害): 家の中で迷う、つまずいたりぶつかったりする、飼い主さんのことがわからない。
  • 『I』はInteraction(接し方の変化): 飼い主、同居動物などへのつきまとい、無関心、あるいは攻撃性が出る。
  • 『S』はSleep-wake cycle(睡眠覚醒周期):不眠と過眠、夜中の徘徊、日中寝ている。
  • 『H』はHouse soiling(トイレの粗相):排泄場所の変化、排便排尿コントロールがきかない。
  • 『A』はActivity(活動の変化):異常に舐め続ける、異常食欲、うろつき、よく鳴く。
このように、ふだんでは見られなかった行動をするようになります。

ただし、「飼い主さんが呼んでも反応しない、動きがぎこちない」などの様子は、「耳がよく聞こえていない、体に異常がある」という場合もあり、判断が難しいです。もし不安な症状があれば、かかりつけの獣医師に相談してみましょう。

猫が認知症になったときの治療法は?

診察を受ける猫
getty
現在のところ、認知症は脳の経年性変化と考えられています。そのため、治療法は現在の病状をなるべく維持するような薬物療法や食餌療法が主体となります。

具体的には…

  • 脳内のドーパミンを生成させる物質、また脳を活性化させるような物質(DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸)やそのほかの抗酸化物質を食事にとりいれる。
  • 環境からストレスを減らすことで酸化物質の生成を抑える。

などです。

認知症になりやすい猫の特徴は?

眠そうな猫
getty
猫の認知症についていわれるようになったのは、昨今、猫がワクチン接種や不妊手術、完全室内飼いなどによって寿命が延びた結果、認識されるようになったためです。

そのため、どのような猫が認知症になりやすいかや、人間の認知症との違いなど、さまざまなことがまだわかっていないのが現状です。

認知症になる前に寿命を迎える猫も多い

また、猫の認知症は18才を過ぎた頃から症状が見られるようになりますが、猫の寿命は16才前後なので、認知症の症状が現れる前にほかの病気で亡くなるコが多いのだと思われます。

ちなみに、野生の猫の平均寿命は5才程度なので、野生の猫では認知症は見られません。

猫の認知症を予防するために、飼い主さんができること

撫でてもらう猫
getty
猫の認知症の原因がはっきりわかっていないので、くわしい予防法については現状なんとも言えませんが、下記のような対策をしてみるといいかもしれません。

  • 脳の健康に良いと言われているオメガ3脂肪酸類、たとえばDHAやEPAを積極的にとる。
  • 脳を活性化させるために、愛猫に積極的に呼びかけたり遊びに誘ったりしてみる。

オメガ3脂肪酸は、シニア用の総合栄養食に豊富に含まれています。愛猫の年齢にあった良質のフードを与えることも、飼い主さんの大切な役割です。

愛猫が認知症になったときに大切なこと

見上げる猫
getty
認知症は完治させられるものではありません。目指すところは、「進行をゆっくりにして猫と人とのQOLの向上をさせること」であることを忘れないようにしましょう。

そのうえで、認知症であっても猫本来の行動を発揮させてあげるために、猫がやりたいことはやらせてあげてください。

たとえば、飼い主さんは下記のような環境の整備をしてあげることができると思います。
  • トイレに行きづらくてお漏らしをしてしまうなら、トイレに行きやすくしてあげる。
  • 足が弱いコであれば、足場を滑らないようにしてあげる。
  • おもちゃ(知育トイ)をつかって遊んであげる。
また、認知症にはサプリメントを使用したり、必要があれば獣医師と相談して薬を使ったりなどもできます。もし愛猫に認知症が疑われたら、「年だから仕方ないね」と考えるのではなく、まずはかかりつけの獣医師に相談しましょう。


(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
取材・文/雨宮カイ
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