「冬は寒さ対策さえしていればOK」というのは大間違い! ときには、よかれと思ってしていたその寒さ対策が、猫のストレスになることも。愛猫と快適な冬を過ごせるよう、この時季特有のストレス要因を知っておきましょう。獣医師の藤井先生に詳しく伺いました。
冬は猫のストレス要因がいっぱい
猫のストレスというと、発情期の春や暑い夏を気にしがちですが、じつは冬も要注意な季節。「猫は『寒さ』と、『ふだんと違う状況』に敏感な動物。冬はその2つが揃うので、意外にストレス要因が多いのです」(藤井先生)。
ストレスになるものを知って、トラブルを防いで
猫は、ストレスを感じても、なかなかSOSを出しません。「診察していると、愛猫が体を壊してやっとストレスを感じていたことに気付く飼い主さんも少なくありません。対策として、日々猫の様子をチェックすることが求められますが、気付きにくいからこそ、猫のストレス要因を知り、事前に取り除いたり、緩和したりする対策が大切なのです」(藤井先生)。
やり過ぎていない? 暖房器具での暖め過ぎは猫の負担に
猫は寒さに弱い動物です。しかし現在の飼い猫(イエネコ)も、もともとは外で暮らしていたので、体を丸めるなど、ある程度は自身で防寒することができます。ですから部屋の暖め過ぎはかえってストレスになり、トラブルをもたらすこともあるのです。皆さんは冬、以下のような寒さ対策、していませんか?
●温度設定が夏と同じ28℃
冷房の温度設定はたしかに28℃が理想です。しかし暖房で28℃に設定すると、部屋が暖まり過ぎて、猫が暑がる可能性があります
●暖房器具を複数使っている
いくつもの器具を併用すると、室内が暖かくなり過ぎて、猫がのぼせてしまう恐れがあります
●猫のためにスポット暖房器具を設置している
カーボンヒーターなど、部分的に暖める暖房器具は速暖性に優れていますが、器具自体も高温になるので、猫が触れると危険な場合が
●全部の部屋で暖房をフル稼働している
「どこにいても寒くないように」とすべての部屋を暖めると、猫が暑いと思ったときに涼める場所がなくなってしまいます
猫のストレスにならない暖房器具の使い方って?
暖房器具を使うときに重視したいのは、猫の「快適さ」です。低温やけどや、器具のオン・オフによる寒暖差での体調不良など、暖房器具で起こり得るトラブルを防ぐためにも、以下の工夫を心がけましょう。
暖房器具を使わない部屋もつくる
暖房が効いている部屋と、少しひんやりした部屋を猫が行き来できるようにすると○。部屋ごとに室温を変えれば、猫が好みの温度の部屋を選ぶことができます。
「点」よりは「面」が暖まる器具を使う
猫に使うなら、暖房やホットカーペット、オイルヒーターなど、部屋全体を暖める器具の方がベター。温度も暖まるまでの時間も「じんわり」なので、猫への負担も少ないでしょう。
室温は基本23℃前後に設定
暖房の設定温度は、猫が快適と感じる22~24℃くらいが目安。とくに夜は冷え込むので、帰宅がふだんより遅くなるときなどは、タイマーを設定してもいいでしょう。
温度だけじゃない!暖房器具を使うときに気を付けたいシチュエーション
暖房器具でのストレスは、温度だけではありません。その特徴や使い方ゆえに起きるトラブルが、猫のストレスになることもあるのです。
コタツの中の猫を蹴ってしまう
コタツの中でまどろんでいるところを邪魔されるのですから、猫もいい気はしません。頻繁に人が出入りするとなれば暖気も逃げますし、バタバタして気も休まらないでしょう。こたつに入る前に中を確認したり、こたつ以外に猫が温まれる場所を作るなどできるといいでしょう。
エアコンの温風が直に当たる
人工的な風を嫌う猫は多いです。また、風で体が乾燥すると、被毛が静電気を帯びやすくなるので、温度にかかわらず、猫のストレスになることがあります。風向きを調整したり、静電気を抑えるよう加湿器を投入するなどできるとベターです。
猫同士で暖房器具を取り合う
とくにスポット用の暖房器具は暖まる範囲が狭いため、猫が暖を取り合うことも。ケンカ自体ストレスですし、負けて寒い場所に追いやられた猫にはさらにストレスがかかります。この場合はホットカーペットなど、温まれ得る場所が広い器具を使えるといいでしょう。
いかがでしたか?
とはいえ、寒さはやっぱり猫にとってストレス。使用法をしっかり考えたうえで、上手に暖房器具で防寒対策をしてあげたいですね。
参考/「ねこのきもち」2018年12月号『じつは多い冬のストレス、大丈夫?』(監修:獣医師 藤井仁美先生)
文/Monika
イラスト/ツキシロクミ
画像/iStock、Getty Images Plus
※この記事で使用しているイラストはねこのきもち2018年12月号『じつは多い冬のストレス、大丈夫?』に掲載されているものです。