人でも問題になることが多いメンタルヘルス(心の健康)。 猫にとっても重要で、ときに心のバランスを崩してしまうことも。猫が心のバランスを崩したときには、どのような様子が見られるのでしょうか。いち早く気付くために知っておきましょう。
常同行動――不安を軽減させようと同じ行動を繰り返す
動物が同じ行動を執拗に繰り返すことを、常同行動(常同障害)といいます。その動物にとって自然な行動であっても、同じ行動をひたすら続けている場合は「こうしていないと落ち着かない」と感じ、不安やストレスを軽減させようとしていると考えられます。常同行動には次のような行動があります。
過剰な毛づくろい
おもにお腹や内腿などの特定の部分を、執拗に舐め続けます。また、噛む・毛をむしるなど自傷行為に発展することもあります。
食べ物以外のものを口にする
レジ袋を舐める・噛む、毛布を吸うなど(異食行動、ウールサッキング)。誤食につながる危険があるので環境面での対策が必要。
同じ場所を何度も行き来する
黙々と、同じ場所を何度も行ったり来たりします(ペーシング)。動物園などでよく見られる常同行動ですが、猫に見られることも。
攻撃行動――追い込まれたときや驚いたときにとりやすい
強い恐怖で追い込まれたときなどに、近くの人や猫に噛み付く、引っかくなどの攻撃行動をとることがあります(恐怖性攻撃行動)。また、大きな音などの刺激に驚き、八つ当たりのように攻撃することも(転嫁性攻撃行動)。攻撃の対象は、恐怖や刺激の原因となるものとは限らず、たまたま近くにいた人や猫であることも多いようです。
不適切な場所での排泄――粗相や失禁などさまざまケースが
心の問題が原因で、トイレ以外の場所で排泄をしてしまうことも。慢性的なストレスが原因の「粗相」、突発的な強い恐怖に追い込まれてする「失禁」、縄張りを意識してする「マーキング」など、さまざまなケースがあります。例えば、トイレの汚れなどにストレスを感じている猫が、「毛布の上で排泄したら落ち着いた」という経験をして、以後繰り返すケースもそのひとつです。
いかがでしたか。猫のストレスサインをいち早く見つけて、対処したいですね。
参考/「ねこのきもち」2021年3月号『猫だって気を付けたいメンタルヘルス』(監修/帝京科学大学講師・動物看護師 小野寺 温先生)
イラスト/カトウナミエ
文/犬神マツコ
※この記事で使用しているイラストは、ねこのきもち2021年3月号『猫だって気を付けたいメンタルヘルス』に掲載されているものです。