参考にしたい。猫同士のコミュニケーション
猫同士でお互いの意思を伝えるときには、いくつか決まった表現方法があります。
そのコミュニケーションを手本にして、猫と人にアレンジする方法を行動学の専門家に教えてもらいました。
猫との接し方にまだ自信のない人は参考にしてください。
飼い猫は、猫同士で意思を伝える方法を、人に応用しています
猫は言葉を使った会話はできませんが、嗅覚・聴覚・視覚・触覚をコミュニケーションツールにして、意思を通わせています。猫にとって食事や安全な居場所を与えてくれる飼い主さんは、“母猫”のような特別な存在。ですから、猫同士のコミュニケーションを応用し、飼い主さんにも気持ちを伝えていると考えられます。愛猫の思いをくみ取り、望まれている対応をする……それが気持ちを通い合わすためのコツといえるでしょう。
猫同士のコミュニケーションは、この3つが基本
1. あいさつするとき
野生の猫は単独生活なので積極的にあいさつをする状況下にありません。しかし、対立関係にない猫同士が社会を形成するために、あいさつすることも。
2. 好きを伝えたい、もっと仲を深めたいとき
野生の猫は子猫と母猫や、仲のよい異性間でのみ“好き”を伝えます。飼い猫同士は血縁関係になくても、相性がよければ積極的にやり取りするでしょう。
3. 心を許していると伝えたいとき
“心を許す”という表現は飼い猫ならではのもの。生死にかかわる食べ物を巡っての争いがない、穏やかな関係性のうえでのみ成り立ちます。
あいさつするときのネコメソッド
仲のよい猫同士は、すれ違いざまなどに聴覚・視覚・嗅覚を活用して、軽くあいさつをします。飼い主さんに近付いてくるなど、あいさつのサインが見られたら軽く相手をして、その気持ちに応えましょう。
【ネコ×ネコ】鳴き声で存在を知らせる
母猫が子猫を呼ぶとき、ゴロゴロ音と声が混じった「ルルル」という小さな鳴き声を発します。これは母猫だけが出せる声で、子猫も鳴いてお返事。また、きょうだい猫などでも鳴いて存在を知らせるケースがあります。ただ、飼い猫同士が鳴き合うシーンを目にすることは少ないですが、猫に聞こえる音域は広く、人には聞こえない声を使っている可能性も。案外、仲のよい猫同士では頻繁に行われているコミュニケーション法かもしれません。
【ネコ×ヒトのとき】声色を似せたトーンでお返事
猫は、猫に対してより、人に向けてよく鳴きます。これは、飼い主さんに何かを伝えたいとき、鳴いてアピールするのが効果的な手段だと、生活の中で学習しているから。猫が飼い主さんの顔を見て鳴いたら、声を真似て返事をしてみましょう。子猫気分で甘えているのかもしれないので、母猫になったつもりで高く小さな声を意識すると〇。
【ネコ×ネコ】しっぽを立てながら近付く
猫同士、しっぽをまっすぐ立てて近付くのは、友好的な気持ちの表れ。ピンと立ったしっぽは多少離れていても相手の目に留まるため、「こっちを見て」とアピールするのに最適なよう。これはもともと、子猫が母猫に自分の存在を知らせながら近付くしぐさの名残です。なお、仲よしではない場合、1匹がしっぽを立てて近付いても相手は応じず、フラットなしっぽのまま立ち去るケースも。
【ネコ×ヒトのとき】近付いてきたら身を低くして待つ
猫が飼い主さんにしっぽを立てて近付くのは、母猫にかまってほしい子猫気分のとき。昼寝から目覚めたときなど、「会いたかった~」と再会を喜んでいるのかもしれません。そんなときは、身を低くして猫が来るまで待ってみましょう。頭の位置を猫に近付けることで、威圧感は薄れます。そして、さらにやさしく名前を呼んでコミュニケーションをとって。
いかがでしたか?
とても簡単に真似できる、猫同士のコミュニケーションを手本にした、愛猫の関係性をよくする方法を紹介しました。
とくに愛猫との付き合い期間がまだ短い人は、ぜひ試してみてくださいね。
参考/「ねこのきもち」2021年4月号『猫同士のコミュニケーションがお手本! 愛猫と気持ちを通わす"ネコメソッド"』(監修:帝京科学大学講師 小野寺 温先生)
文/SAY
撮影/Akimasa Harada、栗林 愛
※この特集で使用している画像はねこのきもち2021年4月号『猫同士のコミュニケーションがお手本! 愛猫と気持ちを通わす"ネコメソッド"』に掲載されているものです。