愛猫を清潔に保つためによかれと思ってやっているお手入れ。だいたいのものは猫にとっては不快なので、飼い主さんが愛猫を思って「がんばって」やってるのではないでしょうか?
それにもかかわらず、じつは、なかにはやり過ぎるとかえって愛猫の健康を損なったり、飼い主さんとの関係を悪化させる場合があるのです。
せっかくの努力が水の泡、効果がないばかりか逆効果なんて悲しすぎますよね。
そんな悲劇を防げるよう、「やり過ぎると危険」なお手入れをピックアップ。
この機会に、ふだんのお手入れを見直してみてください。
綿棒を使って奥のほうまで耳そうじをするのは「やり過ぎ」
見えない部分までグリグリすると耳の中を傷つける恐れが
通常は、猫の耳を奥のほうまで自宅でケアする必要はありません。むしろ、綿棒を使って見えないところまでグリグリとそうじしていると、耳の中を傷つけ、炎症を起こす恐れも。
もし耳の奥がとても汚れている、臭いが気になるという場合は、通常の耳アカではなく、外耳炎や耳ダニが原因の可能性が高いでしょう。適切な薬を使った治療が必要なので、早めに動物病院で受診して。
汚れていたら、湿らせたコットンなどで見える範囲をやさしく拭いて
耳の中の汚れ具合には、個体差があります。汚れていなければ、とくにケアしなくてOK。汚れている場合は、濡らして絞ったコットンや、ペット用のウエットシートなどを人差し指に巻いて、やさしく拭き取って。市販の猫用イヤークリーナーを使ってもいいでしょう。ただし、拭き取るのはあくまでも見える範囲にとどめましょう。
目ヤニや鼻くそをアルコール消毒綿などで拭くのは「やり過ぎ」
アルコール消毒綿は刺激を感じるので粘膜には不向き
アルコール(エタノールなど)を含む消毒綿は、目や鼻のケアには不向きです。デリケートな粘膜に触れると猫が刺激や痛みを感じたり、目が充血したりする可能性があるからです。人用のウエットティッシュでアルコール成分を含むものも、使用を控えましょう。
汚れのタイプに合わせて、 清潔な指やコットンでやさしく取って
カサカサして簡単に取れそうな目ヤニや鼻くそなら、清潔な指でやさしく取ってOK。粘り気のある目ヤニや鼻くそなら、湿らせたコットンで拭き取りましょう。ふだんとは違う色や大量の目ヤニ、鼻くそが出たら受診を。
短毛猫のブラッシングをラバーブラシで5分以上続けるのは「やり過ぎ」
抜け毛が取れているのではなく、毛が抜けたり切れたりしているかも
ラバーブラシでブラッシングをするとブラシに毛がたくさん付くので、「もっと抜け毛を取ろ
う」とつい熱が入りがち。でもやり過ぎると、抜け毛が取れるだけではなく、生えている毛が
抜けたり、切れたりすることも。薄毛や脱毛の原因になることもあるので注意が必要です。
ブラッシング好きな猫なら「獣毛ブラシ」に変更を
換毛期は毎日でもOKですが、同じ部位ばかりでなく、全身をまんべんなくブラッシングするよう心がけ、5分以内に終わらせて。猫がまだしてほしそうなら、毛を絡め取らない獣毛ブラシ(豚毛など)に変更して。
コロナ禍では家庭でアルコール除菌用グッズを使うことが一般的になり、ついついそれを猫に、なんてこともありそうですね。猫はもともときれい好きで、自分で毛づくろいができるので、飼い主さんがしてあげるお手入れは「ほどほど」がよさそうです。
参考/「ねこのきもち」2017年2月号『やり過ぎると危険なお世話』(監修:聖母坂どうぶつ病院獣医 田草川佳実先生)
文/ハナマサ
※この記事で使用している画像は2017年2月号「やり過ぎると危険なお世話」に掲載しているものです。