人と同じように、猫もメンタルヘルス(心の健康)を保つことは、とても重要とされています。しかし最近は、コロナ禍で飼い主さんの生活スタイルが変化するなどして心のバランスを崩し、「分離不安」になる猫が増えているようなので注意が必要です。
今回は、猫が分離不安になったときに見られる様子や、対処法などについて解説します。
猫の「分離不安」とは?
愛着をもつ相手(=飼い主さん)がいないときに、強い不安を感じることを「分離不安」といいます。
従来、猫は社会性の高い犬に比べて、分離不安になりにくいとされていました。しかし最近では、猫も飼い主さんと親密な関係を築く傾向があり、飼い主さんの在宅が長く続いた後に急に不在がちになるなどすると、分離不安を引き起こすことがあるようです。
猫が「分離不安」になるとどんな様子が見られる?
猫の分離不安では、飼い主さんの不在時に不安な気持ちを落ち着かせようとして、異常行動を取るといった特徴が見られます。このときの行動は猫によって異なりますが、例えば以下のような行動を取ることがあります。
分離不安の猫に見られる行動
- 皮膚炎や脱毛を起こすほど、過剰な毛づくろいをする
- 布団の上など、トイレ以外の場所で排泄する
- 「アーオ、アーオ」などと大きな声で鳴き続ける
- ものをかじったり壊したりする など
なお、飼い主さんが出かける前に甘えるといった様子が見られると、分離不安を疑うかもしれませんが、留守中の様子に問題がなければあまり心配はいらないでしょう。
猫が「分離不安」になったときの対処法は?
愛猫に上記のような様子が見られ、分離不安が疑われる場合は、早めに獣医師や行動治療の専門家に相談しましょう。動物病院を受診するときは、メモや写真、動画など、愛猫の問題となる様子がわかるものを持参すると、治療に役立つことがあります。
動物病院ではどんな治療をするの?
動物病院では、問題となっている行動が分離不安によるものなのか、それともほかのストレスによるものなのかといった原因を見極め、それを取り除く環境改善などの提案が行われます。場合によっては、不安を和らげるために投薬治療を行うこともあるでしょう。
猫を「分離不安」にさせないためにできることとは?
愛猫を分離不安にさせないためには、飼い主さんがいないことに対して漠然とした不安を抱かせないよう、一緒にいるときに信頼関係を築くことが大切です。
例えば、じゃらしおもちゃなどで一緒に遊んだり、ゲーム感覚で1粒ずつフードを与えたりして、しっかりとコミュニケーションを取ってみてください。なでられるのが好きな猫なら、たっぷりとなでてあげるのもいいでしょう。
なお、外出時や帰宅時に飼い主さんが大げさなリアクションをすると、かえって猫が不安になってしまうことがあります。声かけなどは控えめにして、さりげなく振る舞うなどの工夫も必要でしょう。
愛猫がメンタルを健やかに保てるよう、十分に配慮してあげたいですね。
参考/「ねこのきもち」2021年3月号『春はバランスを崩しやすい ステイホームで分離不安に!? 猫だって気を付けたいメンタルヘルス』(監修:帝京科学大学講師 動物看護師 小野寺温先生)
文/ハセベサチコ
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。