猫が好き
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「この子を絶対幸せにする」 空き家で鳴き叫ぶ子猫を保護 お迎えして家族に起こった変化とは?
2023年10月のある日、職場の同僚から「数日前から、近所の空き家に2匹の子猫がいることに気づいたが、昨晩から1匹の鳴き声しかしなくなった」との話を聞きました。心配になった飼い主さんとその同僚、事情を知った他の同僚2人が現場に駆けつけると……。
子猫と@pochibukuro75さんの出会い、そして現在の様子について詳しいお話を伺いました。
■空き家で生まれた2匹の子猫 職場の同僚と力を合わせて保護へ
みかんくんと飼い主さんが出会ったのは、2022年10月12日のことでした。会社の同僚から「数日前から、近所の空き家に子猫が2匹いるようだ。親猫を見かけたので、しばらく様子を見ていたが、昨晩から子猫の鳴き声が1匹しか聞こえなくなった。これから寒くなるから、このままでは子猫の命が危ないかもしれない」と相談を受けました。
飼い主さんは、同僚が撮影した子猫たちの動画を見せてもらうと、そこにはカメラに向かって「ここにいるよ!」と訴えるように鳴く姿が。いてもたってもいられなくなった飼い主さんは、その同僚を含む3名の職場の人とともに終業後、現地へ向かうことになりました。
他の同僚たちから少し遅れて、現地に到着した飼い主さん。すると、1匹の子猫はすでに同僚たちの手で保護されていました。
飼い主さん:
「残念ながら、もう1匹の子猫は見つけることができませんでした。とりあえず、私の家には、日中、両親がいるため、飼い主さんが見つかるまで預かることに。小雨が降る、少し肌寒い日だったのを覚えています。『この子は絶対に幸せにしよう』と思いました」
■2匹の愛犬との悲しい別れを乗り越え迎えたみかんくん
飼い主さん:
「10年ほど前、母が脳内出血で倒れて後遺症が残りました。食事やトイレ、着替えなどはできるものの、歩くときは杖が必要です。家事はできないため、日中は、父がサポートしてくれています。こうした生活状況の変化もあり、犬や猫などを迎えるのは難しいと考えていました」
そのような状況の中、思いがけず、子猫を預かることになった飼い主さん。当初は、「『父を説得してお迎えできたらいいな』が8割、『ダメなら新しい飼い主さんを探そう』が2割」と考えていました。ところが、お父さんの反応は意外なものだったようです。
飼い主さん:
「父は、私の考えていることを察したのか、子猫を連れて帰っても何も言わず……。次の日、職場で子猫を引き取ると申し出てくれる人もいましたが、父に電話をして子猫を迎えられないか相談すると承諾してくれました。みかんは、家に来たその日から膝や背中に乗るなど、人懐こい子だったので、父も『この子なら大丈夫』と思ってくれたようです」
こうして、みかくんは、正式に飼い主さん家族の一員としてお迎えされることになりました。お父さんから承諾を得た後、飼い主さんは買い物へ。帰宅すると、あるサプライズが待ち受けていました。
飼い主さん:
「父が、勝手に名前を付けていました(笑)。母がそばでみかんを食べているのを見て、茶トラの被毛がみかんの色合いとよく似ていたことから『ちょうどいい』と思ったそうです。私は、“シンバ”とか“バロン”にしたかったのですが……。でも、今となっては『みかん』がぴったり合っていると思います。」
■みかんくんとの新生活をスタート お迎え当初、困ったこととは?
飼い主さん:
「先生は『こんなに人懐こく汚れも少ないとなると、遺棄された可能性もあるだろう』と話されていました。また、『この子は良い飼い主さんに会えて幸運だね』と先生から言われた時は、『この子に飼い主で良かったと思われるような飼い主になろう』と思いました」
こうして、みかくんは飼い主さん家族とともに新たな生活をスタート。飼い主さんは、みかんくんのために猫用トイレやベッドなどを買いそろえました。
飼い主さん:
「猫用ベッドはお気に召さなかったようでいまだに使ってくれていません。お迎えした当初、一番、大変だったのは、“トイレトレーニング”です。覚えてくれるまでは、あちこちに粗相をしてしまいました。そのため、しばらくの間は、コタツで一緒に寝るようにして、トイレをしそうになったら抱っこをして連れて行く日々を過ごしたことも。1週間ほど経って、トイレを覚えてくれたときは、とてもうれしかったです」
■お母さんを労るみかんくん 成長とともに変化したこととは?
今は、ベタベタすることもされることも苦手。その一方で、誰もいない部屋に“ひとりぼっち”でいるのは嫌なようで、飼い主さん家族のあとを付いてくる“ツンデレ”なところもあるようです。
飼い主さん:
「“親バカ”かもしれませんが、賢い子だなと思います。家具や壁にイタズラしたことはありませんし、遊んで欲しいとき、人の足にじゃれつくことがありますが、歩くことが不自由な母の足にはじゃれつきません。ときどき、ゆっくりと歩く母のことを見守っているように感じられることも。みかんなりに気を使ってくれているのかなと思います」
みかんくんをお迎えした飼い主さん家族は、以前よりも会話が増えたといいます。少しでもみかんくんの姿が見えないと「みかんは?」と確認し合ったり、みかんくんがくつろいでいるのを目にすると「今日はこんなところで寝ていたよ」と、報告し合ったりするそうですよ。
飼い主さん:
「みかんが、会話のきっかけを作ってくれているように思います。また、母の体の状況を理解しているのか、子猫の頃から、母をおもんばかるようによく膝の上で寝ていました。また、最近は、いつも母と一緒に眠っています。子猫の頃は私と一緒に寝てくれていたのに……(涙)みかんのおかげで、以前よりも母が笑うようになってくれたことがうれしいです。みかんには感謝しています」
■飼い主さんにとって「猫と暮らす魅力」とは?
「とても癒やされるところだと思います。のんびり自由に過ごしている猫を見ているだけで、疲れが飛んでいくように感じられますし、『早く家に帰ろう』と思うようになりました」
苦楽をともにしてきたみかんくんと飼い主さん家族。その強く結ばれた絆は、これからさらに深まっていくことでしょう。飼い主の@pochibukuro75さんのXでは、みかんくんの日常をかいま見ることができますよ。
写真提供・取材協力/@pochibukuro75さん
取材・文/佐東みかん
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