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ありがちな猫との行為が感染ルート? 猫からうつりやすい病気

愛猫との楽しい生活を満喫している飼い主さんも多いと思いますが、気付かないうちに愛猫から病原菌をもらっている可能性があるかも……。

「人獣共通感染症」って、知っていますか?

人獣共通感染症とは?

猫から間接的にうつりやすい病気
イラスト/深尾竜騎
人獣共通感染症とは、人と猫、またはほかの動物との間でかかる感染症のこと。

病気のタイプはさまざまで、人と猫どちらも発症するものもあれば、一方だけが発症するものもあります。

そのため猫に異変が見られなくても、いつの間にか人が病原菌をもらってしまうことも!

愛猫との触れ合い以外にも、一緒に生活する中でやってしまいがちな行為が、感染ルートになってしまうこともあります。

ここでは「猫から間接的にうつりやすい病気」について解説します!

①猫回虫幼虫移行症

猫から間接的にうつりやすい病気
イラスト/深尾竜騎
■感染すると目などに異常が出やすい■

猫がウンチと一緒に排出した回虫の卵は、温度などの環境が整うと成熟することがあります。そうして孵化直前まで育った卵を、人が口にすることで感染します。

また、猫が肛門周辺を舐めたとき、口や体に卵が付くことも…。そのため、食器や毛を介して感染する場合が!

猫回虫幼虫移行症に見られる症状

感染すると回虫が体内を移動します。行き着く先が目なら斜視や失明、肺なら喘息になることも。

猫回虫幼虫移行症
猫の腸内に寄生した「猫回虫」。ノラ猫の過半数が感染しているというデータも。体長は2〜10cm(写真/佐伯英治先生)

②トキソプラズマ症

■妊婦だと、胎児に感染する危険も■

「トキソプラズマ症」は、同名の原虫が病原体。この原虫の卵がウンチと一緒に排出され、猫トイレの掃除の際などに感染することがあります。

しかし、この原虫をもつ猫は全国で5%程度と少なく、さらに健康な人の5%〜40%は抗体をもっているので、発症率は低いです。

ただし、妊婦が感染すると最悪流産に至るか、胎児が先天性トキソプラズマ症にかかることもあります。

トキソプラズマ症
トキソプラズマの顕微鏡写真。ネコ科の動物に寄生して増えていきます(写真/佐伯英治先生)

③コリネバクテリウム・ウルセランス症

猫から間接的にうつりやすい病気
イラスト/深尾竜騎
■風邪の症状に似ていて、病気の判明が遅れることも■

2009年に、ノラ猫のくしゃみをあびて、その鼻水に含まれた病原菌に感染したという報告があります。

コリネバクテリウム・ウルセランス症に見られる症状

感染すると、のどの痛み、発熱、鼻水が出るなどの症状が見られます。進行すると、のどの周りに白っぽい膜ができたり、首のリンパ節が腫れることも。

④瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)

猫から間接的にうつりやすい病気
幼虫はノミの体内で成長します。寄生した猫の体内でさらに成長すると、60cmを超える長さになることも(写真/佐伯英治先生)
ヒモのように長い瓜実条虫は、通称「サナダムシ」と呼ばれています。瓜実条虫は、ノミを宿主とします。

ノミを飲み込んで感染した猫の排泄物を処理する際、目に見えない卵やノミを体内に取り込んでしまうと感染します。

瓜実条虫症に見られる症状

多くは無症状ですが、まれに(とくに幼児は)下痢や嘔吐をすることが。排泄物に条虫の一部が混じることもあります。

人も気をつけたい! ノミが原因の病気って?

猫から間接的にうつりやすい病気
イラスト/深尾竜騎
猫に寄生するノミも、自ら動いて人に病気をもたらします。しかも厄介なことに、小さいうえに広範囲を移動するので、気付かないうちに刺されたりして病気にかかる可能性も

たとえば、「ノミ刺咬症」もそのひとつ

「ノミ刺咬症」は感染症ではないですが、ノミが吸血時に出す唾液に含まれる物質が原因で、かゆみを起こす病気です。人は膝より下を刺されることが多いよう。

発症すると赤斑や水疱ができますが、猫が発症すると、このほかにも脱毛が見られることも。

ノミ刺咬症
ノミに脚を刺されて水疱ができた様子(写真/丸山総一先生)
ノミ刺咬症
背中が脱毛した例。猫は首の後ろや腰回りを刺されやすいです(写真/若山動物病院)
猫に寄生されないための予防が、なにより大切です。駆除剤で定期的にノミ予防をするようにしましょう!

日頃から心がけたい予防法

最後に、感染を防ぐために日頃から心がけたい5つの予防を紹介します。

①定期的に掃除を行う

猫から間接的にうつりやすい病気
イラスト/深尾竜騎
猫の抜け毛で、真菌が繁殖する可能性も。また、じゅうたんなどにノミやその卵が潜んでいる危険も!

掃除の際は、猫の動線を意識しながら行うといいです◎

②キスなどはしない

猫から間接的にうつりやすい病気
イラスト/深尾竜騎
猫の口の中は常在菌がいるほか、肛門を毛づくろいすることで、排泄物中の病原体が付いてしまっていることもあります。

キスや口周りを舐めさせるなどはやめましょう。

③爪切り・ブラッシングをする

猫から間接的にうつりやすい病気
イラスト/深尾竜騎
爪切りをすれば、猫に引っかかれても軽症ですみ、菌に感染するリスクを下げることができます。

また、日頃からブラッシングをしていれば、ノミの寄生などに気付きやすいです。

④こまめに手を洗う

猫から間接的にうつりやすい病気
イラスト/深尾竜騎
トイレ掃除や猫と遊んだあとはもちろん、ノラ猫に触れた場合や、猫グッズに触れたあとにも、必ず石鹸で手を洗うようにしましょう。

⑤猫が使った食器は消毒する

猫から間接的にうつりやすい病気
イラスト/深尾竜騎
猫用の食器や、使われてしまった人用の食器は、洗剤で洗いましょう。定期的に、キッチン用の塩素系漂白剤でつけおき洗をするといいですね◎


日頃から予防をしっかり心がけ、愛猫と楽しい日々を過ごしてくださいね!


参考/「ねこのきもち」2017年9月号『エッ! 触らなくても感染するの?? 人獣共通感染症 猫から人にうつる病気に気を付けて!』
(監修:日本大学生物資源科学部獣医学科 獣医公衆衛生学研究室教授 丸山総一先生)
イラスト/深尾竜騎
文/雨宮カイ
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