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シニア猫がかかりやすい病気「慢性腎臓病」 初期症状に気づくポイント解説

シニア猫がもっともかかりやすい病気といわれる「慢性腎臓病」。2~3匹に1匹がかかるといわれる一方、適切な治療を受ければ長生きできる猫も!
慢性腎臓病にかかりやすい猫の特徴や初期症状、さまざまな治療法について紹介します。

猫の慢性腎臓病ってどんな病気?

メインクーンの子猫
Nils Jacobi/gettyimages
腎臓はネフロンと呼ばれる組織の集合体です。そのネフロンが壊れて腎臓の働きが低下し、血液中の老廃物を体外に出せなくなるのが「慢性腎臓病」です。

なお、猫に慢性腎臓病が多いのには、以下のような理由があると考えられています。
  • そもそもネフロンの量が少ない(犬の約半分)ため
  • 飲水量が少ないため尿が濃く、腎臓に負担をかけているため
  • 肉食動物である猫はタンパク質を多く摂るので、代謝の過程で多くの老廃物をつくり、腎臓にかける負担が大きいため

かかりやすい猫、キーワードは「8才以上」と「既往症」

散歩中の茶トラ猫
Christopher Freeman/gettyimages
年齢的な部分では、個体差はありますが、8才以上になると腎臓の機能が衰え始める傾向があります。

既往症でいうと、これまでに尿石症にかかったことがある猫は慢性腎臓病になりやすい傾向があります。とくに尿管に結石ができた経験のある猫は注意が必要。
また、急性腎不全にかかったことがある場合は、回復後も後遺症として慢性腎臓病になる危険性が大きいため、若い猫でも要注意です。

ほかにも、高血圧だったり、ウイルス感染症(猫白血病、猫伝染性腹膜炎、トキソプラズマ症など)にかかっていたり、自己免疫疾患をもっていたりすると慢性腎臓病の発症率も高くなる傾向があります。
また、遺伝的に腎臓の発達が悪い猫もかかりやすいとされています。

初期症状に気付くためには、飲み水とオシッコをチェック!

寝転がってみつめるキジ白猫
quantum40/gettyimages
飼い主さんでも気付きやすい症状として、水をよく飲むようになるという変化があります。飲む水の量が急にふだんの1.5倍以上に増えたら、慢性腎臓病などの病気の疑いがあります。

また、オシッコの量や回数がふだんの2倍以上になった場合も要注意。腎臓機能が低下して尿が凝縮できなくなるため、色も水のように薄くなります。

ほかにも、便秘になる、食欲が落ちる、ときどき嘔吐する、貧血になるといった症状がありますが、症状が出るのは腎臓が66%以上機能しなくなってからともいわれるため、少しでも疑いがあれば早めに動物病院を受診したほうがよいでしょう。

食事療法、飲み薬、血液透析……治療法はさまざま

遠くを見つめるサバトラ猫
ramustagram/gettyimages
慢性腎臓病の治療内容は、食事で腎臓への負担を減らし、水分補給をして脱水を防ぐことが基本。低タンパク質かつ低リンの腎臓病の療法食や、効率的にからだに吸収されるペット用補水液を与えます。
脱水症状を緩和し尿毒症を防ぐために、皮下輸液(点滴)治療が行われることもあります。頻度は猫の状態に合わせて月に2回~毎日行うため、獣医師の指導のもと自宅で飼い主さんが行う場合も。

飲み薬としては、高血圧や貧血などの症状の軽減を目的とした薬が処方されるほか、2017年春からは動物用医薬品として初めて「腎機能低下の抑制」の効果・効能が認められた治療薬も発売されました。

また、人の腎臓病治療に用いられる血液透析(機械を使って人工的に血液を浄化し老廃物を除去する治療法)をペットに行うための、動物用血液透析装置を導入する動物病院も近年増えているそう。これにより末期の腎臓病の猫でも救える命が増えることが期待されています。
慢性腎臓病はゆっくり進行する病気です。
適切な治療を受ければ、診断から7年経っても元気でいるコも!
愛猫と長く一緒にいられるために、まずは定期的な健康診断をこころがけたいですね。
参考/「ねこのきもち」2017年11月号『飼い主さんに「できること」が増えている! 慢性腎臓病最前線』(監修:王子ペットクリニック院長 重本仁先生)
文/Ru-Rie
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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