愛猫が困った行動をしたとき、どう対応していますか? 飼い主さんの対応が間違っていると、猫との関係が悪くなったり逆効果になったりすることもあるので注意が必要です。
そこで今回は、帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科准教授・加隈良枝先生に、猫が困った行動をとったときの正しい対応を教えていただきました。
困った行動その1.してはいけない場所での爪とぎ
猫が爪をとぐのは、自分の縄張りにニオイを付けるマーキング行為です。爪をとがれては困る場所の近くに爪とぎ器を置くと、その欲求を満たすことができるでしょう。寝起きにマーキングをする猫も多いため、寝床の近くに爪とぎ器を置くのも効果的。
なお、滑りやすい素材のカバーや保護シートをかけることで、猫が爪とぎをしても傷が付かなくなったり、爪とぎをしなくなったりするかもしれませんが、猫のマーキング欲は満たされないままです。爪とぎをされては困る別の場所で爪とぎをしてしまう可能性があります。
叱るのは逆効果に!
爪とぎをするたびに引き離して「ダメ」と叱ることは逆効果になります。飼い主さんは叱っているつもりでも、猫は「抱っこされて話しかけられている」とうれしく思ってしまうかも。叱り続けると、叱るたびに猫が喜んで困った爪とぎを繰り返す可能性があり、かえって逆効果になることがあります。
困った行動その2.お手入れを嫌がって暴れる
ブラッシングなどのお手入れは、おやつを与えながらするとよいでしょう。猫の苦手意識や嫌な気持ちが和らいで、お手入れの時間を好きになっていくでしょう。
また、お手入れのあとにもおやつを与えると、「お手入れのあとにはご褒美をもらえる」と覚えますよ。
無理やりはNG!
体を押さえつけて無理やりお手入れをすると、猫が抵抗して余計に暴れてしまうかもしれません。この対応では猫や飼い主さんがケガをする危険もあり、猫がもっとお手入れ嫌いになることも。
また、猫が落ち着く場所でお手入れをすることもやめましょう。猫からすると落ち着いていられる場所を乱されるように感じ、ストレスになる可能性があります。
困った行動その3.人の足や手を噛む
愛猫が手や足を噛んだときは、何事もなかったかのような雰囲気を装うとよいでしょう。噛んでもいいことが起こらないと猫が学習して、噛むのをやめるようになります。痛いのは我慢してすぐ静かに離れ、別の部屋にいきましょう。
「痛い」と言って振り払うのは×
思わず「痛い」と言ったり振り払おうとしたりしがちですが、こうした行為は猫が「一緒に遊んでくれている」と勘違いして、噛みグセがエスカレートすることも。噛まれるたびに「ダメ」と言って叱ることも同様です。
困った行動その4.上がってはいけない場所に上がる
猫が上がってはいけない場所に上がったときは、その場所から下りるといいことがあると学習させましょう。「オリテ」と声をかけながらおやつを見せたり指先を近づけたりして、下へ誘導を。猫が下りてから、おやつなどのご褒美を与えます。
大きな声で驚かすのは効果が出る場合も
猫が上がった瞬間に「あ!」と驚かすと、「ここに上がると嫌なことがあるから、もうしない」と猫が思う可能性もあります。ただタイミングがずれると、大きな声を出す飼い主さんに対して悪い印象を持ってしまうかも。
なお、上がるたびに抱っこして下ろすことは、猫が「飼い主さんに相手にされている」と勘違いするのでやめましょう。
お話しを伺った先生/帝京科学大学生命環境学部 アニマルサイエンス学科准教授 加隈良枝先生
参考/「ねこのきもち」2020年6月号『正しい対応できてますか?クイズでチェック 猫の困った行動、そのときどうする?』
文/えむら若奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。