猫と一緒に暮らしていると、いろいろな行動を目にしますよね。「きっとこんな理由だろう」「たぶんこういう性格だから」と飼い主さんなりに解釈している行動も、もしかすると意外な理由が隠されているかもしれません。
哺乳動物学者の今泉忠明先生に、猫の行動について教えていただきました。
あまり鳴かない猫は控えめな性格? → 性格以外にも、猫種の違いで鳴く頻度に差がある
鳴く頻度には個体差があり、多くは性格によるとされていますが、猫種も関係しているといわれています。
おしゃべりな猫種で有名なのがシャム。同じく東洋系で短毛のバーミーズやアビシニアンも比較的よく鳴く傾向にあるようです。反対に、「ボイスレスキャット」とも呼ばれるロシアンブルーや、野生の猫に近いとされるベンガルやエジプシャンマウはあまり鳴かないのだそう。
夜行性のはずなのに夜に寝るのはなぜ? → 飼い主さんに都合を合わせて夜寝ることも
飼い猫の場合、ごはんをもらったり遊んでもらったりと“イイコト”があるのは飼い主さんが起きている時間なので、それに合わせて夜に寝る猫も増えてきたのでしょう。ただ、猫は「薄明薄暮性」ともいわれ、明け方と夕方に活発になる傾向があるので、早朝には起きて飼い主さんを起こそうとする猫も多いようです。
猫が乗る人=好きな人? → 人に乗るのが心地いいだけのことも
警戒心の強い猫が乗るのは、“安心できる場所”。そのため、好きな人の上でなければ乗らないのは大前提です。しかし逆にいえば、ある程度の信頼があれば、「好き」の気持ちよりも「やわらかい」「温かい」など心地よさから乗っている場合も多いでしょう。
撫でたところをペロペロするのは嫌がっている証拠? → 毛並みを元に戻したいだけ
キレイ好きな猫は、人の目ではわからない毛の乱れでも違和感を覚えることがあるようです。撫でているときに猫が気持ちよさそうにしていたなら、撫でられたことが嫌だったのではなく、単に毛の乱れが気になったのでしょう。ザラッとした突起がある舌をブラシ代わりにして整えているのです。
新しいベッドにスリスリするのは気に入ったから? → 自分のニオイをつけるため
新しいものは猫にとっては警戒対象。初めてのニオイを嗅いで調べたあと、安心する自分のニオイをつけているのです。たとえば猫ベッドを新調したなら、その猫自身のニオイがたっぷりついたブランケットを入れると、安心しやすく慣れるのも早いでしょう。
今回は勘違いしがちな、ちょっと意外な猫の行動についてご紹介しました。
行動に隠された猫の気持ちや生態を知ることで、愛猫との仲がもっと深まりそうですね!
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 川崎市環境影響評価審議会委員 「ねこの博物館」館長 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2018年2月号『よくする行動の謎にせまる! 猫を解き明かす5つのN』
文/緒方るりこ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。