1. トップ
  2. 猫と暮らす
  3. 飼い方
  4. 多頭飼い
  5. 【獣医師監修】先住猫がいる場合の猫の迎え入れ 注意点と対面手順を解説

猫と暮らす

UP DATE

【獣医師監修】先住猫がいる場合の猫の迎え入れ 注意点と対面手順を解説

すでに先住猫がいて、新しい子猫を迎える場合、両方の猫へのちょっとした配慮が必要です。ここでは、先住猫がいる場合の猫の迎え入れで知っておきたいこと、注意するべきポイントをお伝えします。

先住猫がいる場合の猫の迎え入れで知っておきたいこと

猫を複数飼いする前に知っておくべきこと、複数飼いに向いている組み合わせについて解説します。

2匹目の迎え入れを考えたら

猫はもともと単独行動をする動物なので、「1匹でさみしいかな?」と心配する必要はありません。また2匹目を迎えることがよい結果につながらないケースもあります。ですから、2匹目を迎えるかどうかは、先住猫の性格や、猫同士の相性を考えて、慎重に検討をしたいものです。もしも迎えると決めたなら、2匹がなるべく幸せに暮らせるよう、できる限り対策をしてあげたいですね。

複数飼いに向いている性格や組み合わせ

性格

複数飼いに向く先住猫の性格は以下の特長があります。
・活発で遊び好き
・来客や目新しいものに自分から近づく
・大胆で物怖じしない

一方、複数飼いに向かない先住猫の性格は以下になります。
・神経質、怖がり
・来客や目新しいものを警戒する
・気が強い

年齢

2匹ともなるべく幼いうちがベター。先住猫がなるべく幼いうちがベター。また新入り猫もなるべく幼い方が仲良くなれる可能性が高いです。幼いうちは縄張り意識が弱く、遊び相手を欲しているからです。もちろん、成猫同士で仲良くなれるケースもありますが、年齢が上がるとともに、その確率は低くなります。

性別

組み合わせによってある程度は傾向があります。
相性には、性別による傾向も見られます。オスは未去勢だとオス特有のホルモンの働きで縄張り意識が強まり、他の猫と敵対しやすくなります。去勢ずみだと子猫っぽさを残し、他の猫と遊びたがる傾向があります。メスも避妊ずみのほうが子猫っぽさを残しますが、オスに比べて神経質で、他の猫を受け入れないことが多いようです。

・「オス×オス」=未去勢なら、お互いをライバルと捉えて、ケンカが絶えなくなることも。去勢ずみなら、遊び相手として仲良くなるケースが多いようです。
・「オス×メス」=比較的仲良くなりやすい組み合わせですが、メスが神経質な場合は、遊びたがるオスを威嚇して寄せ付けないこともあります。
・「メス×メス」=気が合えばつねに一緒にいるほど仲良くなりますが、お互いに神経質な場合は、頑なに相手を受け入れないケースも多いようです。

迎え入れ前に先住猫にしてあげること

新しい猫を迎え入れる前に、先住猫のためにしてあげるべきことをご紹介します。

新しく猫を迎え入れるなら先住猫が12才くらいになるまでに

高齢猫は環境の変化にストレスを感じがちなので、新しい猫を迎えるのは、できれば先住猫が7〜8才くらいまでが理想です。12才くらいまでは問題ないケースもありますが、それは先住猫が健康なことが前提です。新しい猫を迎える前に先住猫の健康診断を受け、何か不安があればできればあきらめたほうがよいでしょう。

新しい猫を迎える2〜3週間前には先住猫の健康診断・ワクチンの接種を

新しい猫との間で病気の感染を防ぐため、先住猫も動物病院で健康診断を受けましょう。1年以内にワクチンを接種していなければ、健康状態のいいときに接種を。免疫力が備わる期間も考えて、2〜3週間前までに接種をすませておくとよいでしょう。

先住猫と新しい猫が隔離できるスペースを決めておく

新しい猫が来ても、しばらくは先住猫と生活空間を分けて慣らす期間が必要です。猫は狭くて暗い空間に安心感を覚えるので、新しい猫用に生活スペースを用意したり、押入れやクローゼットの一部を利用したりしてもよいでしょう。

1週間前から新しい猫用のグッズを出しておく

先住猫にとっては、知らない猫が来たと同時に、見慣れない道具まで置いてあると落ち着きません。猫用のケージやトイレなどは、1週間前から出してニオイに慣らしておいてあげましょう。
猫用のグッズは共用でなく、新入り猫用のものを準備してください。

フードだけでなく水も配慮が必要です。匹数分の飲み水を、離して置いてください。
猫同士の関係性によっては、相手のニオイが付いた水を飲むのを嫌がる猫もいます。そのため、猫たちが、自分の水を確保できるよう、最低限でも匹数分の飲み水を用意しましょう。また、苦手な猫が近くにいると飲むのを我慢してしまうこともあるので、器は距離を離して置き器も、それぞれの猫たちが好む素材の器を使うといいでしょう。

それぞれの猫が落ち着ける場所を作る

複数になるとテリトリーが狭まるから、落ち着ける場所があるといいでしょう。ケンカにならないように、それぞれが別々にくつろげる居場所を作りましょう。
猫同士が不仲な場合は部屋を分けましょう。それぞれが過ごす部屋に専用の寝床・トイレ・食事の場所を用意しましょう。
その際にはお互いのニオイを忘れないように、定期的にニオイの交換もしましょう。

先住猫の去勢・不妊手術をしておく

もし先住猫と異性の猫を迎える場合は、繁殖の予定がないなら、先住猫の去勢・不妊手術をしておきましょう。

意識的に先住猫を新入り猫より優先する

食事や遊び、スキンシップなど何をするにも先住猫を優先させましょう。新入り猫に対する不満が減少して、慣れやすくなります。新入り猫が子猫の場合は、飼い主さんが遊ぶようにしましょう。

先住猫と新しい猫をスムーズに対面させる3ステップ

先住猫がいて新しい猫を迎えるとき、いきなり対面させると双方の猫のストレスになります。ここまでお伝えしたことをきちんと準備したうえで、この3ステップを踏んでできるだけスムーズに合流させましょう。

【ステップ1】迎え入れ1〜3日目:新しい猫と先住猫は別の部屋に

新しい猫を連れて帰宅後、あらかじめ決めておいた、先住猫と接触しない部屋の生活スペースに新しい猫を入れます。新しい環境にビクビクしているところに、先住猫と対面させないのはもちろん、飼い主さんも猫の食事やトイレ、部屋を自由に歩かせる時間以外は、極力構わず見守ってあげましょう。
しばらくは、先住猫を別の部屋やケージに入れて新入り猫に探検させてみましょう。

【ステップ2-1】迎え入れ4〜19日目:対面前にニオイの交換をする

対面をスムーズに進めるポイントは対面前の「お互いの猫のニオイを混ぜ合わせること」です。
対面前に、2匹の猫のニオイを交換しておくと相手の情報を知ることができて対面がスムーズに進みます。

1. 猫の顔周りをなでて、手にニオイを付けます。

2. その手を先住猫の体に擦り付けます。この逆も行いましょう。
3. 布で覆ったケージ越しに初対面させると、ニオイを先に交換することで相手の情報を知ることができてお互いに安心できます。猫が嫌がったときには、お互いのニオイ付きの布を交換することから始めるのもおススメです。

【ステップ2-2】迎え入れ4〜19日目:ケージやキャリーケース越しに対面させる

先住猫もふだん通りで、新しい猫も落ち着いて食事や排泄ができるようになったら、ケージやキャリーケース越しに対面させましょう。1日5分から初めて時間を徐々に長くして。先住猫が逃げても無理強いはしないでください。
こうして威嚇などが見られなくなったらステップ3へ。

【ステップ3】迎え入れ20〜34日目:飼い主さん立ち会いのもと直接対面へ

新しい猫のワクチン接種も済んで、2週間以上経ったら、飼い主さん立ち会いのもと、直接対面させましょう。猫同士を無理にはくっ付けずに自然に任せ、威嚇などがなければ対面の時間を徐々に伸ばします。1〜2週間で、「相手を警戒せずにすれ違う」、「相手をなめたり体を擦り付け合ったりする」、「同じ部屋でも安心して眠る」、「遊びを仕掛ける」のうち、どれかひとつでもこのような様子が見られたら、本格的に合流させてもいいでしょう。

相性が悪い場合は生活スペースを分ける

一緒に生活しても相性が悪い場合は、生活スペースを分けてストレスを軽減しましょう。
実際に一緒に生活を始めて、どうしてもうまく行かないケースもあります。2匹のストレスをなるべく減らすために、飼い主さんにできることを知っておきましょう。

ストレスのサインが見られたら、別スペースで生活させて

先住猫と新入り猫を対面させた後、よほど相性がよければすぐに仲良くなれますが、そうではないケースも多いものです。それでも、猫同士がお互いに程よい距離感を保っているなら、ものの取り合いにならないように環境を整えて、見守りましょう。しかし、次のようなストレスのサインがどちらかに見られたら生活スペースを分けましょう。

ストレスのサイン

・対面すると攻撃する、うなる、威嚇する。
・フードを食べられない。
・排泄を我慢する。
・毛をむしる、毛をなめ過ぎて脱毛する。

交代で同じ場所を使わせることで、少しずつ慣れることも

生活スペースを分ける場合でも、お互いの存在を「許せる」くらいにはしてあげたいものです。そのためには、交代で同じ場所を使わせるのがおススメです。例えば、日中は先住猫がリビングを使い、夜間は新入り猫がリビングを使うという具合です。猫は自分のニオイと混ざったニオイに安心感を覚えやすいので、時間はかかりますが、徐々に相手を受け入れるようになる効果が期待できます。

3匹目を迎える場合にやってあげたいこと

猫が2匹から3匹に増えると、それまで半々だった先住猫たちの縄張りが1/3になります。また、1対1のシンプルな関係が、1対2や1対1対1と複雑に。そのような変化で猫同士の関係がこじれるケースが見られます。
飼い主さんの配慮や工夫で改善できるので、以下を参考にしてみてください。

先住猫を優先させる

猫にとってお世話をしてくれる飼い主さんは母猫のような存在です。飼い主さんが新しい猫のお世話にかかりきりだと、ヤキモチを焼いてほかの猫への攻撃につながる可能性もあります。先住猫がかまってほしくて近づいてきたらスキンシップをしてあげるなど、意識的に先住猫を優先してあげましょう。

元気過ぎる猫は飼い主さんが相手になる

3匹目に子猫や若い猫を迎えた場合、先住猫との年の差が出やすいです。ゆっくり過ごしたい年齢の猫には元気な猫はうっとうしい存在です。遊びに夢中になるとほかの猫を追いかけることもあるので、別室で遊ばせたり、飼い主さんが遊び相手になったりするなどして若い猫のエネルギーを発散させてあげましょう。

それぞれが好むトイレ環境を作ってあげる

トイレの数は「匹数+1個」が理想です。3匹飼いなら4個以上置きたいもの。また複数個用意しているのに使わない場合は、違うタイプのトイレ砂やトイレの形を試し、猫ごとに好みのトイレ環境にしましょう。同居猫の目を気にして落ち着いて排泄できない猫もいるので、トイレは同じ場所に並べるのではなく、リビング・廊下・洗面所など4カ所に分けるのがベターです。

安心して食事ができるようにする

3匹並んで食事をさせると、食欲旺盛な猫が横取りしたり、高齢猫が遠慮したりすることがあります。そのようなことが原因で仲が悪くなるケースもあるので、新しい猫はしばらく別の部屋で食事させると安心です。
部屋を分けるのが難しければ、高低差のある場所で与えるのも手です。相手のフードが目には入らなければ、自分の食事に集中できるでしょう。

落ち着ける場所を作る

相性の悪い猫同士は居心地のいい場所を取り合い、ケンカになることがあります。無駄な争いを避けるために3匹が別々にくつろげる居場所をつくりましょう。猫は高い場所、四方を囲まれた場所を好むので、タンスなど高さのある家具の上や猫タワー、押入れなどがおすすめです。

不仲な猫同士の部屋を分ける

相性が悪い猫がいると落ち着いて食事や排泄ができない猫もいます。劣勢の猫が安心して過ごせるよう、不仲な2匹は部屋を分けて生活させましょう。それぞれが過ごす部屋に専用の寝床・トイレ・食事場所を用意しましょう。
住み分け中の2匹がお互いのニオイを忘れないよう、寝床の敷物などを定期的に入れ替えてニオイの交換をするとよいでしょう。

これらのことを試しても3匹の関係がこじれて手に負えなくなったら、獣医師や問題行動にくわしい専門家に相談してください。
複数飼いをする際は、迎え入れを慎重に行うこと、もし相性がよくない場合でも適切に対処することが大切です。先住猫も新しい猫も幸せな生活を送れるよう、なるべく配慮してあげてくださいね。
監修/長谷川諒先生(きたじま動物病院)
文/ねこのきもちWeb編集室
参考&画像・イラスト出典/「ねこのきもち」本誌、ムックより
CATEGORY   猫と暮らす

UP DATE

関連するキーワード一覧

人気テーマ

あわせて読みたい!
「猫と暮らす」の新着記事

新着記事をもっと見る