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【獣医師監修】猫をストレスから守る方法とは?症状・原因・対処法

人との暮らしの中で、猫はいろいろなシーンでストレスを感じます。猫がストレスを感じると、それが原因となりさまざまな症状が表れ、場合によっては病気につながることもあります。一時的に感じる「急性ストレス」、継続的に感じ続ける「慢性ストレス」に分けて、その原因や症状、ストレスを軽減する方法などを紹介します。

どうして猫はストレスを感じやすいの?

猫は優れた感覚をもっているので、ストレスを感じやすいといわれています。
狩猟動物である猫の五感は優れていて、あらゆる感覚を駆使して獲物を見つけ出し、狩りを行っていました。
その名残で現代の猫も周囲の変化にとても敏感で、刺激を目・耳・鼻などでキャッチするため、人との暮らしの中で起こる出来事にストレスを感じやすいといえます。また、過去に経験した嫌なことを記憶する能力も高く、同じ出来事が起こりそうなときにストレスを感じることもあります。

猫の鋭い感覚

猫の聴覚

猫の聴覚の可聴域は、人の約3倍以上といわれて、あらゆる音をキャッチすることができます。人によっては些細な音も猫によっては騒音になります。

猫の視覚

猫の視覚は光量を人の7~8倍キャッチします。夜行性でもある猫は暗闇の中でも、ものがはっきり見えているのです。光の強いものなどは猫の視界に入れないように注意しましょう。

猫の嗅覚

猫の嗅覚は人の能力の1万~10万倍です。ニオイに頼って情報を集める猫にとって嗅覚はもっともストレスを感じやすいといえるでしょう。ニオイへの対策は念入りに行いましょう。

猫の触覚

猫の触覚は異変を察知する大事な感覚。体を触れられる、ヒゲが機能しないなど触覚の異変は、猫にとって身の危険を意味します。できるだけ機能を邪魔することをしないようにしましょう。

ストレス対処法の基本

いつでもストレスから逃げられるようにしておく

猫は、身の危険を感じるものや場所に強いストレスを感じるため、「すぐに逃げられる場所」「隠れられる場所」があると安心につながります。安心できる場所が用意されていれば、猫が心を落ち着けられるので、ストレスを緩和できるでしょう。
猫ベッドや高さのある猫タワーを用意する、押し入れの中に扉を開けたキャリーケースを入れておいていつでも入れるようにするなど、工夫してあげましょう。

なるべく回避できるようにしてあげる

できるのであれば、ストレスの要因と考えられるものを取り除いてあげましょう。ただし、飼い主さんの日常生活に差し支えなくできる範囲で行って下さい。

やむを得ないストレスはごほうびを使って慣らす

ストレスを感じるとわかっていても、お手入れなどは不可欠なものです。少しでも進歩した、我慢できたと感じられたらおやつを与えるなど、いいことと結びつけるようにしましょう。
継続的に行えば猫のストレス軽減になります。少しずつ慣れるようにしてあげましょう。
まだ子猫なら、早めに慣れさせるのがベストです。

急性ストレスの症状・原因・対処法

猫のストレスには、「急性ストレス」と「慢性ストレス」があります。この章では、一時的に感じる「急性ストレス」の原因や症状、ストレスを軽減する方法などを紹介します。

急性ストレスとは?

急性ストレスとは「一時的に感じるストレス」です。
例えば、「来客」や「地震」など、猫が苦手なものに一時的に直面して、強い刺激を受けたときに感じるストレスを「急性ストレス」と呼びます。一過性のものなので、ストレスの要因が取り除かれれば、大事に至らないこともあります。
ただし、何度も繰り返されると「慢性ストレス」の症状が見られるようになります。

急性ストレスの症状

・呼吸が速くなる、ハァハァと呼吸をする
・心拍数が上がってドキドキする
・体温が高くなる、肉球が汗ばむ
・その場で固まる、もしくはどこかに身を隠す
・耳を伏せる
・瞳孔が大きく開く
・一時的に食欲が落ちる
・一時的に排泄の回数が減る

急性ストレスの原因と対処法

来客

見なれない人が部屋の中に入ってくると、「縄張りを荒らす怖い存在」だと感じてストレスになります。また、知らない人の声やニオイ、存在自体に怖さを感じます。触られることにも抵抗感があるでしょう。来客が少ない家の猫は、特にその傾向があります。体の大きさや声の低さなどから男性を怖がる猫が多いようです。

【対策】お客さんに事情を話して、猫に声をかけたり触ったりしてかまうことは控えてもらって、猫にとって「何もせず害はない存在だ」とわかってもらうようにしましょう。隠れ場所をつくって猫が出てくるまで待つのもいいでしょう。

大きな音(掃除機やドライヤー、玄関チャイムの音、花火・雷、バイクや車のエンジン音)

猫は人よりずっと聴力がいいので、人が不快に感じる音をより強く不快に感じます。日常的な生活音には猫もある程度なれますが、突発的なバイクや車のエンジン音、雷や花火の音などには、しばらく身動きがとれないこともあります。また、家電製品の中には音以外にも大きさや形が猫にとっては人が想像する以上に大きく見えて、“敵”と感じられることもあります。掃除機は移動するので、追いかけられるように感じて怖いのでしょう。

【対策】やむを得ず音を出すなら出す前に猫に声をかける、掃除機を使う時には猫を別の場所に移動させる、音が小さいタイプの掃除機に替えるなどをするといいでしょう。
来客が苦手な猫にはチャイム音は「嫌なことが起こる合図」になっているかもしれません。家族が帰宅するときにもチャイムを鳴らすようにすると好きな人が来る音にもなり、チャイム音がいい印象にイメージを改善できます。
予測不能な大きな音への対策としては、やさしく飼い主さんが声をかけたり、押し入れの中や家具の下など、普段から猫の逃げ場をつくっておくといいでしょう。花火や雷は普段にない強い光と大きな音が同時に発生するため恐怖を感じます。猫のいる場所は音も光もさえぎられるように、窓とカーテンを閉めておきましょう。 パニックがきっかけとなり食欲がなくなるようなら早めに獣医師に相談してください。

動物病院

動物病院は環境が変わるうえに、到着前は移動のストレス、到着後は「怖い」「うるさい」「変なニオイ」「痛い」「苦い」「拘束される」など不快なことばかりで、どの猫もストレスを感じます。

【対策】キャリーケースに布をかければ刺激が減らせます。飼い主さんが声をかけるのは、安心する猫もいれば余計に興奮する猫もいるので、猫の様子を見て判断してください。キャリーケースに入れるときや車に入れるときなど、愛猫の好きなおやつを小まめに与えて気を紛らわせるのも手です。暑い時期は脱水症状にもなりやすいので水分補給も忘れないようにしましょう。

乗り物

乗り物は、大きな音、知らないニオイ、揺れなど、猫が苦手なものだらけです。特に、バスや新幹線、地下鉄の車内、航空機の機内は、聴覚が優れた猫にとって苦痛なほど大きな音に感じます。車の場合は、慣れない揺れで車酔いをすることもありますが、家族しか乗らない状態にできるので子猫の頃から乗せていると、平気になることもあります。一方、電車は乗るたびに、ほかの人のニオイや大きな音など新たな刺激を受けるので車よりストレスを感じやすい傾向があります。

【対策】外出時はなるべく乗り物を使わずに済む方法を考えて、どうしても使わざるを得ない場合はなるべく短時間になるルートを考えましょう。

キャリーケース

一般的にキャリーケースは外出時にしか使わないので、猫が使う頻度は低いものです。そのため、猫は過去にキャリーケースの中に入ったあとに連れていかれた動物病院でのことを覚えて、嫌なことが起こると察知して嫌がります。
無理やり中に入れられることや自分のニオイがあまり付いていないことも要因といえます。

【対策】キャリーケースを日常的に部屋に置いておき、中に猫が好きなおやつを入れておくと「いい場所」と印象付けられるでしょう。

シャンプー

猫は雨量の少ないサバンナ地域で生息していた名残から、体が濡れることに慣れていないといわれています。そのため、シャンプーなどで体全体が濡れることにストレスを感じるだけでなく、タオルで拭かれることにもストレスを感じやすいです。
特にしっぽやお尻、足の裏などの部位を拭かれるときに、その感触が嫌でストレスになるようです。

【対策】シャンプーは無理に行わず、猫への負担を減らしてください。また、拭くときには乾いたタオルで優しく拭きましょう。濡らさずにすむシャンプータオルを使うのも手です。

子ども

子ども、特に赤ちゃんは背が低い分、猫との目線の高さが近くなり、視線を強く感じます。凝視は猫にとって敵意を表す行為のため不快に感じます。また、いきなりしっぽを掴んだり、大きな声を上げることもあるため、猫にとっては予測不能で怖い存在のようです。

【対策】猫の行動範囲を優先してあげましょう。子どもの行動範囲はベビーゲートなどで制限して、猫が逃げたいときに好きな場所に逃げられるようにしておくと猫のペースで過ごせるようになります。長く続くと慢性ストレスになるので注意しましょう。

体を拘束されるお世話(ブラッシング、爪切り、耳掃除、歯みがきなど)

猫にとって体を拘束されることは、身の危険を感じるのでかなりのストレスになります。また、過去に爪切りで血管や神経が通ったところを切られたなど痛い思いをした経験があると記憶していて嫌がります。

【対策】爪切りをするときには、飼い主さんの太ももの上で猫を後ろ向きにさせて抱っこをしましょう。自分の体を密着させると安定して、猫の不安感を減らせます。少し切ったらごほうびを与えるなどもよいでしょう。抱っこは長時間せず、猫から近づいたときだけにするのがいいでしょう。

歯みがきは、体を拘束されるほかに歯ブラシが目の前に迫ってくるのが怖いようです。飼い主さんに触られるのに慣れている猫であれば、飼い主さんの指先におやつを付けて口にモノが入る練習を行い、徐々に布歯ブラシなどに切り替えるといいでしょう。

ブラッシング自体は毛づくろいと同じ感覚なので、嫌がる猫は少ないはずですが、嫌がるなら時間が長いか、力が強いのかもしれません。またブラッシングもブラシのピンの部分が顔の近くに向かってくるように見えて怖いと感じている可能性があります。ブラシが見えないように背後から行ったり、ブラシより小さい歯ブラシでブラッシングしてみるといいでしょう。

無理にお世話を行うと飼い主さんを怖がるようになるので、難しい場合は動物病院にお願いするといいでしょう。

留守番

留守番に慣れていない猫は、飼い主さんがいない環境に不安になることがあります。行ける部屋が決められるなど自由度が下がることもストレスの原因になっているのでしょう。

【対策】留守番のときだけの特別なおもちゃを用意してみましょう。そうすればそれが楽しみになります。けりけりおもちゃなど、一匹で楽しめるおもちゃなら、留守番の不安を感じにくいでしょう。

ペットホテル

2日以上不在の場合などの場合は、ペットホテルの利用を検討すると思いますが、猫にとって動物病院と同じように、ペットホテルへ行くまでに起こることが不快に感じるほか、ホテルにいる猫や犬のニオイ、鳴き声などもストレスになります。

【対策】できればペットシッターサービスを使いましょう。
ペットホテルなど環境が大きく変わることは、猫にとっては大きな負担です。ペットシッターさんなら慣れた場所で過ごせるので、ストレスの軽減になります。そのほか、身近の知り合いにお願いする方法もあります。

エリザベスカラー

装着されたときの違和感はもちろん、エリザベスカラーをつけるとヒゲが囲まれていてアンテナの働きをするヒゲの機能が使えないことや視野が狭まることで不快に感じます。視野を制限されると、いつも見える部分が見えないとストレスに感じてしまうことがあります。

【対策】顔周りが空くソフトタイプのエリザベスカラーを選んでみましょう。猫が嫌がって自ら外す場合は獣医師に相談しましょう。

カメラやスマホ

カメラやスマホは大きなレンズなど、その見た目から猫が不安になるようです。また、猫の目にはタペタムと呼ばれる細胞層があって、入ってきた光を網膜に反射させることで、光量を人の7~8倍多く取り込みます。つまり、フラッシュのような強い光は猫にとってかなりのストレスになります。
また猫のかわいい表情をおさめようと必死な人にしつこく追い回されるので、嫌がる猫やシャッター音が苦手な猫もいます。

【対策】写真を撮るときは、フラッシュをオフにして、サッと手短に撮るようにしましょう。

香水・芳香剤

猫は優れた嗅覚を頼りに情報収集をしています。香水や芳香剤など強い香りがすると、猫はニオイの嗅ぎ分けができなくなりストレスに感じます。

【対策】芳香剤は、トイレや猫が入らない部屋などに置くようにしましょう。香水もできれば猫のいない場所で控えめに付けるなどの配慮をしましょう。

家族のケンカ

ケンカになるとつい声を荒げてしまい、それが猫のストレスの原因になることも。ちょっとした言い合いでも、声の大きさや飼い主さんの普段と違う雰囲気に、猫は異変を敏感に察知して不安を感じます。

【対策】愛猫のためにも家族仲良く過ごしてください。

スキンシップ

程度は異なりますが、多くの猫は長時間触られるのが苦手です。最初はうれしくても、許容時間を超えると、しっぽをパタパタするなど、「やめて」のサインを出すこともあります。

【対策】スキンシップは短い時間で適度に行いましょう。

トイレが汚いこと

猫はきれい好きなので、トイレが汚いと排泄をすることを我慢することもあります。その結果、尿石症や膀胱炎、便秘につながるケースもあるので注意してください。

【対策】トイレはこまめに掃除してあげましょう。トイレの個数は「匹数+1」個あると安心です。

投薬

薬を持った手がぐいっと目の前に迫ってくることに危機感を持つようです。そのほかにも、薬を口の中に入れるために顔全体を押させられることや、飼い主さんのいつもと違う雰囲気に怖さを感じているようです。

【対策】おやつに薬を入れ込んで与えてみましょう。柔らかいおやつをひと口で飲み込める大きさにちぎり、中に薬を入れ込みます。下から手を出して与えると、手が迫ることなく、顔を押さえられることもないのでいいでしょう。

特定の家族

家族内で接し方が異なるのは当然ですが、歩き方が雑だったり声が大きかったりすると、猫はどうしても苦手と感じてしまうようです。

【対策】意識的に静かに歩いたり、声を小さくして話したりするといいでしょう。

慢性ストレスの症状・原因・対処法

続いて、継続的に感じ続ける「慢性ストレス」の原因や症状、ストレスを軽減する方法などを紹介します。

慢性ストレスとは?

慢性ストレスとは「継続的に感じ続けるストレス」をいいます。例えば、相性が悪い同居猫としばしば顔を合わせるなど、猫が苦手なものを避けられず、継続的に感じているストレスのことです。この「慢性ストレス」は、飼い主さんが気づきにくく、発見も遅くなりがちです。最悪の場合、病気を発症することもあるので、普段から様子を気にかけ、異変があったら獣医師に相談するようにしましょう。

慢性ストレスの症状

・攻撃行動が増えた
・ずっとイライラしている、もしくは神経質になった
・体をしつこくなめる
・体形に変化が見られる
・部分的に脱毛している
・頻繁に嘔吐をする
・下痢が続く

猫が慢性ストレスを長く感じ続けると、病気の原因になってしまうことも。慢性ストレスが原因となり発症しやすい病気を紹介します。心配な病気もあるので知っておきましょう。

皮膚炎

おなかなどを過剰になめることによって、部分的に脱毛します。気を紛らわせようとして、脱毛部をさらになめ続けた結果、さらに炎症を起こすことがあります。なめる部位で特に多いのはおなかです。飼い主さんが気づきにくい部位なので、発見が遅れることもあります。

特発性膀胱炎

ストレスが一因とされている「特発性膀胱炎」は、頻尿感があったり、血尿が出たりします。また、特発性膀胱炎が原因となり、細菌性膀胱炎や尿石症などほかのオシッコの病気を引き起こすこともあります。

胃腸炎

興奮、あるいは、緊張した状態が一定期間続くと、胃や腸など消化器官の働きが低下します。その結果、頻繁に嘔吐や下痢を引き起こすことがあります。下痢が続くと、場合によっては脱水症状になることもあるので注意しましょう。

猫カゼ

ストレスが原因で起こる免疫力の低下は万病のもと、といわれています。免疫低下により「猫カゼ」のウイルスに感染したり、再発のきっかけになったりもします。

慢性ストレスの原因と対処法

飼い主さんにかまってもらえないこと

飼い主さんと遊べないことは狩猟本能が満たせないのでストレスになります。また飼い主さんへの依存度が高い猫は、コミュニケーションが足りないと不安になりがちです。

【対策】猫から近づいてきたときはなるべく応えるようにしてあげましょう。毎日5分でもいいので猫と遊ぶと、狩猟本能が満たされてストレスを感じにくくなります。
また、長期休暇の終わりも注意が必要です。夏休みなど長期休暇中はともに過ごす時間が増えます。しかし、休みが明けて仕事などに復帰した途端、猫が飼い主さんの不在を寂しく思うようになります。休暇の終わりが近づくにつれて、少しずつ距離をとるようにするといいでしょう。
おもちゃも普段はしまっておき、使う時だけ出すようにすると、猫はより刺激を感じてくれるでしょう。おやつがびんに中に入ったおもちゃなど、1匹で遊べる工夫をしてみるのもおすすめです。

新しい猫が家にいること

1匹で過ごしてきた猫にとっては、ほかの猫の存在に慣れていないので、いきなり同じ空間で過ごすと不快に感じるようです。
自分の縄張りに新しい猫が現れると、安心できる場所が減るので、敵に縄張りを荒らされるような恐怖感で大きなストレスにもなります。新しい猫を受け入れるまでは様子をうかがい、ストレスを感じ続けることになります。
その期間が長くなると慢性ストレスの症状が表れ、対策が必要になります。

【対策】新しい猫を迎えるときは対面のさせ方が大切なので、慎重に行いましょう。
新入りの猫をしばらくケージや他の部屋で過ごさせて、先住猫の様子を見つつ、徐々に対面時間を延ばしていきます。対面させるときはまずは先住猫を別の部屋やケージに入れて新入り猫を探検させます。その後、新入り猫をケージに入れて、先住猫と対面させます。
とはいえ、最後まで距離が縮まらない場合もあるので、トライアル期間を経てから迎えるといいでしょう。

ノラ猫や仲が悪い同居猫

ノラ猫に対しては、庭など自分のテリトリー内に入ってくることに何もできない歯がゆさにストレスを感じている場合があります。
同居猫も仲が悪いと、同じ縄張りにいることがストレスになります。
猫は縄張り意識の強い動物なので、気を許していない同居猫が自分の縄張りに侵入してくると相性が悪くなりストレスになります。その結果、ちょっと鉢合わせしただけで威嚇するようになることもあります。

【対策】ノラ猫の場合は、窓ガラスにノラ猫が見えないような目隠しシートを貼るといいでしょう。目が合わないのでストレス軽減になります。
仲の悪い同居猫同士は、仲をいきなり改善することは難しいもの。まずは2匹が鉢合わせしないように気を使いましょう。猫たちの仲の悪さにもよりますが、時間を区切ってケージを利用したり、部屋を分けたりすることで、改善される可能性も少なくありません。
また猫にとって生きていく上で、食事や排泄は大事なことです。その時間だけでもストレスフリーに過ごせるように、フードを順番に与えたり、トイレを離れた場所に置いたりするなど、スペースを分ける工夫をしましょう。

新しい家族が増えること

結婚や出産で同居する人が増えることも、猫には大きな環境の変化です。特に、大声を出したり、激しい動きをする子どもを怖がりがちです。猫が慣れるまで、無理に対面させないようにしましょう。

【対策】猫は大きな声を出すので子どもが苦手なことも。無理に対面させず、生活スペースを分けるといいでしょう。

引っ越し

引っ越しは住み慣れた環境を離れることや、新しい部屋のニオイや見慣れない雰囲気に非常に大きなストレスを感じるようです。さらに、飼い主さんもバタバタと忙しそうに動き回るので、猫はより不安になり落ち着けないようです。

【対策】居住環境が変わるのはやむを得ませんが、それ以外のところはできるだけ変化がないようにしたいものです。猫のグッズは使い慣れたものを持って行きましょう。猫ベッドやトイレなど猫のニオイが付いて、使い慣れたグッズを新しい部屋でも使うと安心します。
引っ越し後も変に気を使ったりせず、前の家でしていた通り、放っておいて気のすむまで探検させてください。安全だとわかれば、新居を徐々に自分の縄張りだと思うようになります。
可能なら、引っ越し前に何度か猫を連れて行って探検させたり、引っ越し先で一段落したあとに呼び寄せたりなど、猫の移動のタイミングも工夫するといいでしょう。

部屋の模様替え

部屋の模様替えは引っ越しほどのストレスではないですが、特に神経質な猫などはストレスの要因になりやすいもの。トイレや爪とぎ器などの猫グッズをちょっと動かしただけでも、猫はいつもの場所にないと感じてとても不安になります。

【対策】猫には一大事の模様替えでも、部屋を自由に行き来できるようにしておけば、自分で勝手に安心できる場所を見つけて心を落ち着けるでしょう。多くの猫はしばらくすると新しい環境になれてきます。ですから、飼い主さんも神経質になり過ぎないように気をつけましょう。
猫が新しい環境に慣れようとしているときに、大きな音がするなどさらに苦手なことが起こると、新しい空間を怖いと認識するようになります。怖がりな猫の場合は、大きな音を出さないように特に注意しましょう。
最も大切なのは、猫がなるべくストレスを感じない環境をつくることです。そして、もしも愛猫がなんらかのストレスを感じているようであれば、飼い主さんがすぐに気づいて対応してあげましょう。
監修/長谷川諒先生(きたじま動物病院)
文/ねこのきもちWeb編集室
参考&画像・イラスト出典/「ねこのきもち」本誌、ムックより
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