飼い主さんを踏んづけていったり、物陰から片目で見つめてきたり、暑い日にわざわざひなたぼっこしたり……ちょっと不思議な猫の行動には、じつは理由があるのです。そこで今回は、謎多き猫の行動の秘密について、哺乳動物学者の今泉忠明先生にお話を伺いました。
柱の陰から片目だけで覗く
視線を感じると思ったら、柱の陰から愛猫が片目でこちらを覗いていた――なんて経験はありませんか?
猫が片目で対象物を見ているときは、何をしているのか気になって観察しているとき。そのため、覗かれている飼い主さんは、愛猫に“観察されている”状態といえるでしょう。
両目で覗かれていたら“狙われている”かも!?
猫が片目ではなく両目で見ている場合は、右目と左目に映る対象物のズレを脳が計算し、対象物までの距離を測っていると考えられます。もし愛猫が物陰から両目でじいっと見つめてきたら、あなたを“狙っている”のかもしれません。
飼い主さんを飛び越えずに踏んづける
飛び越えられるはずなのに、飼い主さんをあえて踏んづけていく猫の不思議行動。
なんでわざわざ踏んでいくの!? と思う飼い主さんも少なくないと思いますが、じつはこの行動、猫なりの“苦渋の決断”なのです。
飛び越えず踏んづけるのは体力を温存するため
猫は本来、夜中から朝方までの狩りに体力を要するため、日中はできる限り省エネモードで行動します。その名残で、飼い主さんを飛び越えたり遠回りしたりするのも体力を消耗すると本能で感じ、距離が短く楽な踏んづける道を選んだのでしょう。飼い主さんに意地悪をしているわけではないのですよ。
暑そうなのに日なたぼっこする
暑い日に、わざわざ暑い場所でひなたぼっこをする猫の姿を見たことはありませんか?
じつは、猫は暑さに少し鈍感です。また、直射日光にはビタミン補充の役割もあるので、多少暑くても日光に当たり続けてしまう傾向があるのです。
日光浴のしすぎで体調を崩さないよう注意して
冬でも長時間日光浴をすると、体調を崩す可能性があります。皮膚が弱い猫や、紫外線から皮膚を守るメラニン色素が少ない白い猫は、紫外線を浴びすぎると炎症を起こす場合も。ひなたぼっこのしすぎには、くれぐれも注意しましょう。
不思議に見える猫の行動の背景には、猫ならではの生態の秘密が関係しています。猫の不思議行動は、知れば知るほど愛おしい、猫の魅力のひとつですね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 「ねこの博物館」館長 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2019年2月号『知れば知るほどもっと知りたくなる 動物学者・今泉先生に聞いた 愛しき猫のふしぎ』
文/寺井さとこ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。