愛猫にふと目を向けると、自分を見つめていることがありますよね。何かを言いたげなその瞳。野生の猫も、あんなふうに見つめることがあるのでしょうか? 見つめるしぐさの本来の意味と、飼い猫が見つめるようになったわけを哺乳動物学者の今泉忠明先生に教えてもらいました。
本来は「見つめる = 敵意」の意味だった
野性の猫にとって、相手と目を合わせるしぐさは「敵意」を表していました。そのため本来であれば、猫はほかの猫と目が合ってもすぐに視線をそらすのです。
ただ例外もあって、母猫やきょうだい猫などの血縁関係にある猫は別。親しい間柄の猫には細目で見つめ、親愛の気持ちを伝えることもあるようです。
それがなぜ? 飼い主さんを見つめるようになった訳
飼い猫が飼い主さんを見つめ返す理由は、飼い主さんが願いを叶えてくれることを知っているから。たとえば、ゴハンを用意してくれたり、なでてくれたり、自分に呼びかけてくれたりすることをわかっているのです。
これらの行為が嬉しくて、飼い猫は見つめることを覚え、繰り返すようになったのでしょう。
同じしぐさでも、同居猫を抱っこしてたら理由が違う!
同居猫を抱っこしているときに、愛猫が遠くからじーっと見つめてくることがありますが、この場合は先ほどとは違う気持ちの可能性も。個体差はありますが、飼い猫はやききもちのような気持ちを抱くことがあるといわれています。
猫自身が、積極的に近づいてはいけないけど、自分も抱っこして欲しいと思っているのかもしれません。
本来の意味を外れて、飼い猫が飼い主さんに視線を送るようになったのは、安心できる環境で過ごせていることの影響が大きいでしょう。そう考えると、本来の猫にはないしぐさをするのも悪くありませんね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 川崎市環境影響評価審議会委員 「ねこの博物館」館長 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2018年5月号『「本来の猫」とのギャップがすごい!イマドキ飼い猫の真実』
文/小崎華
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。