猫とコミュニケ―トするときにも大切なボディランゲージ。会話せずとも、感情や簡単な指示を伝え合うことができるそうです。
なかでも最近注目されているのが「視線コミュニケーション」。人の手の動きに注目してもらい、気持ちを伝えるということを、多くの飼い主さんが意識せずとも行っているはずです。今回は日本学術振興会特別研究員の高木佐保先生に、手を使った猫とのコミュニケーションについてお話を伺いました。
体験談1.オテ/オイデ
「朝起きたときと夜寝る前にハイタッチやオテをして、ごほうびにドライフードのかけらを与えています」
(神奈川県 I・Oさん)
飼い主さんの手の指示に応えることを猫は学習する
猫も「オテ」や「オイデ」を学習します。「オテ」や「オイデ」のシグナル(手で招く、声に出して呼ぶ)を出したあとに猫が指示通りに行動した場合、おやつなどのご褒美を与えることを繰り返しましょう。シグナルに対して、次第に指示通りの行動をすることが増えていくでしょう。
体験談2.オリテ
「愛猫が調理台に上がってきたときは、床を指さして下りるように伝えています」
(兵庫県 K・Tさん)
鼻先に近づいてきた指先で誘導される
猫は差し出された指先のニオイを嗅ごうとして、鼻先を前に出します。この行動を利用して、短い距離であれば誘導することが可能に。
指先で床に降りるよう誘導したあとにご褒美を与えると、「オリテ」のしぐさと下りることのつながりが強化されます。
体験談3.手で床をこする
「手をクモのようにして床を素早くこすり、シャカシャカっと音を出すと遊びのスイッチが入ることが多く、スイッチが入ったらおもちゃで遊ばせます」
(神奈川県 H・Sさん)
獲物のような動きに猫は興味津々
猫は獲物のような動きをするものに敏感です。手を獲物と見立てて、狩り=遊びのスイッチが入るのでしょう。
遊ぶこと自体が猫にとってご褒美のため、このしぐさが「遊ぼうよ」のサインとしても機能しているケースです。
体験談4.なでる
「ゴハンを食べ終わったら、『よく食べたね』と頭をなでています。通りすがりにしっぽでスリスリしてきたときは、体全体をやさしくなで返しています」
(大阪府 N・Kさん)
なでられるのは猫にとって快感
猫にとってなでられることは、基本的に気持ちがいいことです。もちろん猫がなでてほしそうかどうか見極める必要はあるものの、猫と仲良くなるためには効果的でしょう。
体験談5.顔をわしゃわしゃ
「顔をなでなでされるのが好きな愛猫は、手を広げて待っていると自分から顔を埋めてきます。そうしたら顔をわしゃわしゃとなでています」
(滋賀県 M・Kさん)
頬をなでられるのを好む猫は多い
頬、あごの下、耳まわり、額は猫がなでられるのが好きな部位です。いずれもフェロモンの分泌腺が発達している部位で、こすったりなでられたりすると気持ちがいい場所とされています。
体験談6.お尻トントン
「ウンチをするとたいてい知らせにくるので、処理後、『上手にできたね~』とお尻をトントンしてほめています」
(広島県 Y・Mさん)
猫によって好き嫌いがある
お尻=しっぽの付け根は、触れるのが好きな猫もいれば、刺激が強すぎて嫌がる猫もいる、好みの分かれる部位。
なでなでの強さも強めにトントンされるのが好きな猫や、やさしくなでられるのが好きな猫までさまざまなため、いろいろな強さで試して見極めるといいでしょう。
猫もある程度シグナルを覚えて行動することはできます。しかし性格など個体差があるため、理想通りにいかなくても無理は禁物。愛猫の様子を見ながら、お互いにとって心地いいコミュニケーションを見つけたいですね。
お話を伺った先生/高木佐保先生(日本学術振興会特別研究員(RPD) 麻布大学特別研究員)
参考/「ねこのきもち」2023年4月号『“ネコ心理学”の専門家が解説! 顔と手で愛猫と会話しよう♪』
文/田山郁
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。