猫は言葉を話せないので、いかに飼い主さんといえども、愛猫の要求を正しく理解するのはなかなか難しいものですよね。
そこで今回は「愛猫がこういう行動をしてきたら、こういう対応をしている」という『ねこのきもち』読者さんの体験をもとに、この対応が本当に合っているのかどうかを、獣医師の藤井仁美先生に伺いました。
愛猫がさみしそうに鳴いたら……?
「私が忙しくて愛猫の相手ができないときに、暗い廊下に出てアオーン!と大きい声で鳴くことがある」という体験をしている飼い主さんがいらっしゃいました。こちらの飼い主さんは、愛猫がさみしそうに鳴いたら、大丈夫だよ、こっちにいるよなど、声をかけているのだそうです。
獣医師の藤井仁美先生の回答
あえて廊下に出てから鳴くことで、飼い主さんの注意を引こうとしているのかもしれません。また、フードやトイレ、廊下の明るさなど、何かしらに不満をもっているのかも。ひとつずつ探っていって、不満が見つかったときは改善してあげるといいでしょう。
愛猫がケージに入って待機していたら……?
「愛猫は甘えたいときに、同居猫が入ってこないケージに入り、ゴロゴロとのどを鳴らしながら待機している」という体験をしている飼い主さんがいらっしゃいました。こちらの飼い主さんは、甘えたい欲求を叶えるために、ケージの中で存分になでてあげるのだそうです。
獣医師の藤井仁美先生の回答
該当のケージが、同居猫に邪魔されない場所だということを学習し、そこで甘えようとしているのでしょう。ただ、不安を感じてその行動をとっているかもしれないため、1匹ずつ別々で遊ぶ時間を設けるなどすると、より安心して過ごせるかもしれません。
おもちゃを見せると、飼い主さんを見ながら爪とぎをしたら……?
「大好きなおもちゃを愛猫に見せると、なぜか爪とぎ器に走っていって、私を見ながら爪をとぐ」という体験をしている飼い主さんがいらっしゃいました。こちらの飼い主さんは、愛猫を変に刺激しないよう、爪とぎが終わるのを見守っているのだそうです。
獣医師の藤井仁美先生の回答
この行動は、大好きなおもちゃで遊ぶ前に爪とぎで気持ちを落ち着かせようとしていると考えられるので、見守る対応はベストといえます。飼い主さんを見つめながら爪とぎをするのは「どこにも行かないよね?」と確認をしているのかも。愛猫はこのあと一緒に遊べる安心感に包まれているはずなので、しっかりと遊んであげましょうね。
イスの周りをグルグルと回り出したら……?
「自分がイスに座りたくなると、イスに座っている私の周りをぐるぐると回り始める」という体験をしている飼い主さんがいらっしゃいました。こちらの飼い主さんは、愛猫がこの行動を始めたら、イスを譲ってあげるのだとか。イスを獲得した愛猫は、満足げにゴロゴロしたりおやつを食べたりしているのだそうです。
獣医師の藤井仁美先生の回答
猫がイスを欲しがるこの行動は、なわばりを主張するために行っていると考えられます。飼い主さんが問題なければ、この対応を続けてあげるといいでしょう。もちろん、席を譲れないときは無理をしなくても大丈夫です。
愛猫の行動を毎日しっかりと観察していれば、きっと何を求めているかがわかってくるはず。日々のコミュニケーションを欠かさずに、愛情を込めてお世話してあげましょうね。
お話を伺った先生/藤井仁美先生(獣医師 獣医行動診療科認定医 ペット行動カウンセラー)
参考/「ねこのきもち」2023年6月号『キーワードは「ほっ♡」と「わくわく♡」 愛猫のハートを射止めるコミュニケーションテク PART1 サインにどう応える? 愛猫を「ほっ♡」と安心させるテク』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。