使っているものに猫が乗ってきて邪魔……という経験をしたことがある飼い主さんは少なくないでしょう。猫は乗る場所によって、何かを飼い主さんにアピールすることがあります。
猫の「乗る」行動の心理について、哺乳動物学者の今泉忠明先生に教えていただきました。
人が使っているものに乗る
パソコンで作業をしているときや、本を読んでいるときなど、使っているものに猫が乗ってきたという経験がある方は多いでしょう。これは、飼い主さんにかまってほしくてアピールをしている行動。
過去に何かに乗って要求が通ったという経験から、猫が自ら学習し、覚えた技と考えられます。
人の上に乗る
猫は本来、警戒心の強い動物です。そんな猫が飼い主さんの体の上に乗ってくるのは、そこが安心できる場所という証拠。信頼関係を示しているともいえるでしょう。
ただし、「好き」の気持ちよりも、やわらかさや温かさを求めて乗る場合もあります。
高い場所に乗る
野生時代の猫は、獲物を探したり敵から身を隠したりするため、多くの時間を高い木の上で過ごしていました。その習性から、猫は現在でも家具などの高い場所を好んで乗りたがります。
また、自分の優位性を示すために、ライバルよりも高いところに乗ろうとすることも。高い場所に乗ることによって、猫は“イイ気分”になっているようです。
薄い紙の上に乗る
新聞や紙袋など薄い紙の上に猫が乗っているのは、よく見る光景ではないでしょうか。これは、冷たい地面よりも落ち葉の上にいるほうが暖かいように、暖を求めて乗っているのかもしれません。
そのほか、単に紙の感触が好きで、“心地よいものの上にいたい”という気持ちから乗っている場合もあるでしょう。
猫は心地よさを求めてさまざまなものに乗ります。また、飼い主さんの近くで何かに乗るのは、アピールの行動であることも。「乗る」という行為には、猫のかわいさが詰まっていますね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 「ねこの博物館」館長 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2018年2月号『よくする行動の謎にせまる! 猫を解き明かす5つのN』
文/小泉美筆
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。