一般的に、猫は警戒心が強く神経質な性格だとされていますが、なかには猫らしからぬ行動で飼い主さんを驚かせることもあります。今回は猫の「雑な行動」の理由について、哺乳動物学者の今泉忠明先生にお話を伺いました。
「雑な行動」をするのは飼い主や環境に安心感があるから
ふだんは慎重な猫でも、長年飼われている環境では警戒心がゼロになることも。絶対に飼い主さんが攻撃してこないと信じているうえ、毎日パトロールして室内の地理は把握済み、いざとなったら逃げ込める場所も考えています。そのため、いわば「雑」で大胆な行動を示すと考えられます。
障害物は避けるのに飼い主を踏んづけるのは気を引きたいから
「わざわざ遠回りしたくない」という気持ちもあるでしょうが、飼い主さんの気を引きたいから踏んづけていくのだと考えられます。パソコンの操作中や新聞を広げて読んでいるときに限って、その上に乗ってくるのも、かまってほしくてやっていることです。あえて飼い主さんを踏んづけて、そのリアクションを楽しんでいるのかもしれませんね。
「雑な行動」は「面倒だから」ではない
猫が面倒だからやっている、というのは人目線の考え方。動物はあくまでも真面目で真剣なので、大ざっぱに見える行動も、決して面倒だからやっているわけではありません。猫が安心感からやっている行動が、たまたま人から見ると大ざっぱに見えるだけ。本当の気持ちは猫のみぞ知る、というところです。
「雑な行動」になりやすい猫の特徴は?
一般的に、短毛の猫よりも長毛の洋猫(海外由来の猫)が、のんびりしているといわれています。そののんびりとした動きが、ときには大胆さや横着そうな印象につながるもの。そのため、ノルウェージャンフォレストキャットなどの、長毛の洋猫は「雑」に見えやすいかもしれませんね。
飼い主さんへの信頼と環境への安心からくる猫の「雑な行動」。なお、通常の行動ではなく、ふだんと違う行動が見られたときは、病気などのトラブルが隠れていることも。気になる行動があれば、獣医師に相談してみてくださいね。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2022年11月号『大雑把・大胆・横着!? うちの猫のその行動、雑につき…』
文/田山郁
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。