猫を飼っている人なら、愛猫が何かのニオイをかいだあとに口を半開きにしてフリーズする姿を一度は見たことがあるのではないでしょうか。これは「フレーメン反応」と呼ばれるもので、猫好きさんのなかで人気のしぐさのひとつです。
そこで今回は、哺乳動物学者の今泉忠明先生に、猫のフレーメン反応を徹底解説していただきました。
フレーメン反応って?
フレーメン反応とは、同じ種類の動物同士で情報を伝達して特有の行動を引き起こすニオイ物質「フェロモン」を確認するときに見せる反応です。
猫のフェロモンは、顔まわりや足先、お尻まわりなどにある臭腺から出されます。ほかの猫のフェロモンなのか気になるニオイを確認したいときに、猫はフレーメン反応をするのです。
フレーメン反応で変顔になる理由
フレーメン反応のときに変顔になるのは、鋤鼻器(じょびき)という器官にニオイを取り込んでいるから。
猫の上あごには穴がふたつあり、鋤鼻器につながっているのですが、猫が気になるニオイを発見して、口を開けて上あごから鋤鼻器にニオイを取り込んで確認しているときの顔が、変顔のように見えるのです。
ちなみに、フェロモンが鋤鼻器に取り込まれると、そのフェロモンの持ち主の性別や発情の有無、年齢といった情報が分析できます。
猫がフレーメン反応を見せるもの
自分のニオイ
たとえば毛づくろいをしているときに、自分のお尻まわりのニオイをかいでフレーメン反応をする猫も多いようです。自分のフェロモンであることはわかっているものの、念のために確認しているのでしょう。
ほかの猫のニオイ
同居猫のお尻まわりや排泄物のニオイ、座っていた場所などをかいでフレーメン反応をするケースも。そのフェロモンが同居猫のものかをチェックしていたり、オスがメスの発情の有無を確認しているのかもしれません。
フェロモンがついていそうなモノ
「フェロモンがついているかも?」と興味を持ったら、猫は何でもオイをかいでフレーメン反応をします。人の汗には猫のフェロモンと似た成分が含まれているため、床や衣類などをかいでフレーメン反応をした場合は、飼い主さんの汗に反応している可能性が高いでしょう。
ハッカ系のニオイ
ハッカ系のニオイが猫のフェロモンに近い成分を含んでいるため、ハッカ系のニオイをかいでフレーメン反応をすることもあります。
ニオイをかいだ猫が変顔になっていると「くさいのかな?」と思ってしまいますよね。でも真剣にニオイを分析しているところなので、フレーメン反応をしたときは優しく見守ってあげましょう。
お話を伺った先生/今泉忠明先生(哺乳動物学者 「ねこの博物館」館長 日本動物科学研究所所長)
参考/「ねこのきもち」2019年11月号『3号連続ねこの摩訶不思議反応企画 第2弾 見られるとうれしい、この変顔 フレーメン♡ファンクラブ通信』
文/江村若奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。