猫にとって、飼い主さんに守られながら生活ができる室内は比較的安全ですが、それでも高いところから転落してケガをするリスクは0ではありません。
そこで今回は、猫が2階などの高所から転落したときの応急処置法や、落下事故を防ぐ方法などを、獣医師の重本仁先生と愛玩動物看護師のいしまるあきこ先生に伺いました。
愛猫が高所から転落したときの応急処置法
猫が高所から落下した際、立ち上がれない、苦しそうに呼吸をしている、元気がなく動こうとしないなど、少しでも異常が見られたら、すぐ動物病院に連絡をして指示を仰ぎましょう。
骨折や内臓に傷がついているおそれがある場合は、息ができるように顔を出して愛猫をバスタオルなどにくるみ、なるべく動かさないことが肝心です。受診の際は、愛猫をキャリーケースに入れて運ぶといいでしょう。
転落や骨折を防ぐ3つの方法
室内に吹き抜けがある場合はパネルを取り付ける
幅のある手すり壁の場合、手すり壁の上に障害物を置くことで猫が上がらなくなることもありますが、吹き抜けの手すり壁から天井まで落下防止のパネルを設置すると、より安全だといえます。パネルを設置する場合、猫が飛びついてパネルごと落下することがないよう、パネルや支柱はしっかりと固定しましょう。
キャットウォークなどは高すぎない位置に設置する
猫はバランス感覚に優れた動物ですが、寝ているうちに猫タワーから落ちたり、同居猫と追いかけっこをしてキャットウォークから落ちたりすることがあります。猫は高所を好むとはいえ、猫タワーやキャットウォークをあまり高い位置に設置するのは考えもの。これらを設置する高さは「人がイスに乗って手が届く範囲」を目安にするといいでしょう。
キャットステップは猫が下りやすい作りにする
キャットステップの奥行きが小さいと、転落の危険が増加します。また、ステップとステップの間が開くと、猫が「上がっても下りられない」というトラブルにつながりがちなので要注意です。
キャットウォーク、キャットステップの奥行きは最低20cm、猫同士がすれ違えるようにするのなら25~30cm、寝床を兼ねるのなら40cmは必要です。また、ステップの段差は35~40cmに。段差部分に垂直の板を取り付けると下りやすくなります。
高いところを好む猫ですが、だからといって「猫だから高い場所でも安全だろう」と思い込むのは早計です。今一度、ご自宅の構造、猫タワーやキャットウォークの設置場所などを見直してみると安心でしょう。
お話を伺った先生/重本仁先生(王子ペットクリニック院長)、いしまるあきこ先生(一級建築士 愛玩動物看護師)
参考/「ねこのきもち」2025年5月号『まずは知ることがリスクや被害を減らす第一歩 図解 猫のいのちの守り方』
文/東里奈
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。