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<PR>【セミナーレポ】行動学の視点から学ぶ、子猫の社会性を上手に育むコツとは?動物病院が取り組む「こねこ塾」もご紹介!

「キャリーに入れられるだけで大騒ぎ」「通院がストレスで動物病院に連れて行くのが負担」——そんな悩みを抱える飼い主さんは少なくないでしょう。こうした動物病院嫌いの猫への対応について、獣医療従事者の方々は、環境を整えたり、猫のためにできることを学び実践したりと、日々工夫を重ねています。

その取り組みの一例として、「子猫期にできることを増やす」というアプローチをご紹介します。今後、こうした考え方を取り入れる動物病院がさらに増えていくことも期待されています。

紹介するのは、2025年5月25日に開催された動物病院関係者向けセミナー「こねこ来い来いこねこ塾」(主催:公益社団法人 日本動物病院協会、JSFMねこ医学会)。本セミナーでは、猫の行動学の専門家・入交眞巳先生(東京農工大学・獣医学博士)や、「こねこ塾」を主催する村田香織先生(もみの木動物病院副院長・獣医学博士)による講演が行われ、子猫期に様々なよい経験をすることで社会性を育むことの重要性が語られました。
「こねこ来い来いこねこ塾」会場の様子。司会はくわはら動物病院院長の桑原岳先生
さらに、実際に動物病院で行われている「こねこ塾(※)の取り組みについてもご紹介します。本セミナーは獣医療従事者を対象としたものではありますが、飼い主さんにとっても「なるほど」と思える学びが詰まった内容ですので、ぜひ参考になさってください。

※「こねこ塾」とは、子猫のうちから動物病院の雰囲気や場所そのものに慣れさせるために行われている取り組みです。「子猫教室」などと呼ばれることもあり、動物病院ごとに名称やプログラムの内容・開催頻度は異なります。

発達段階を知れば、子猫期の大切さが見えてくる

獣医学博士 入交眞巳先生(東京農工大学)の講演の様子。猫耳をつけた猫愛あふれる演出で、参加者を笑顔に

🐾見慣れないものに敏感なのは、猫の本能

猫のルーツは、社会行動としては単独性のリビアヤマネコです。しかし、人と暮らすようになった今のイエネコは、“真のなわばりをもつ単独動物”ではなく、食料が集まる場所では社会を作りますので、イエネコは社会性のある動物と言えます。それでも猫にとって生活圏である、いわゆる自分が安心できる場所である「なわばり」は大切なもので、そこに見慣れない人がいるだけで不安を感じることもあります。また、自分が普段いかないような場所、いわゆるなわばりの外、である動物病院のような慣れない場所はなにがあるかわからないので「こわい場所」として認識してしまいます

🐾生まれたての子猫は「できないことだらけ」

入交先生は、発達行動学の視点から、猫の一生を支える子猫期の重要性について解説されました。
生まれたばかりの子猫は、目も見えず、体温調整もできない未熟な状態。約3週齢までは母乳に頼り、7週齢ごろまでに離乳が完了します。徐々に視覚・聴覚・運動能力が発達し、6〜7週齢には成猫と同じように歩くことが可能に。8週齢前後には、動くものを追いかけて捕まえる行動が急速に発達します。こうした「遊び」を通して、きょうだいや母猫、周囲の環境との関わりを学び、社会性が身についていきます

🐾社会化期の子猫の脳は「スポンジ」のよう

「社会化期」とは、子猫が人や環境、音や物など、身のまわりのさまざまな刺激に慣れていくための大切な時期です。この限られた時期は、あらゆる情報を柔軟に吸収できる貴重なタイミングであり、そのコの性格や行動の傾向を左右するとも言われています。

この時期に経験していない刺激には、成猫になってから強い警戒や恐怖心を抱くことがあります。「鎖国時代の日本人が黒船に驚いたように、知らないものには本能的に身構えてしまうのが猫」と先生は例えます。

性格形成には遺伝と生活環境、どちらの要素も大切ですが、12週齢ごろまでに人と触れ合う機会があるかどうかで、友好性が大きく変わってくることも報告されています。(Dennis C. Turner著 「The Domestic Cat」より)
「すべての子猫に完璧な社会化を保証することは難しくても、今この時期に何ができるかを考え、できる限りの経験を積ませてあげることが、そのコの一生を変えるかもしれません。私たちにできる『最善』を子猫にしてあげましょう」(入交先生より)

社会化・通院トレーニングを「楽しい体験」に変えよう

獣医師 村田香織先生(もみの木動物病院)の講演の様子。ご自身の実体験を元に、子猫のエピソードを豊富に紹介
入交先生のお話で、子猫期が“社会性を育む大切な時期”であることが明らかになりました。では、その貴重な時期に、飼い主さんは家庭や動物病院でどんな工夫ができるのでしょうか。
猫は犬よりも社会化の時期が早く終わってしまう動物。村田先生は、「こねこ塾」での取り組みを通じて、子猫期に必要な社会化とその方法について語られました。

🐾キャリーケースを「楽しい場所」にすることからスタート

キャリーを「動物病院に行くときだけ使うもの」にしてしまうと、動物病院の通院で痛いことや怖い経験をしたときに、それ自体が嫌な記憶と結びつきます。普段からキャリー越しに遊ぶ・おやつをあげる・中でくつろぐなどの習慣を作ることで、子猫にとって「安心できる小さなテリトリー」になります。

🐾診察室では「いきなり注射」ではなく、楽しい経験から

動物病院では、まずおやつを食べる、スタッフと触れ合うなど、嫌なことが起きない環境を整えることで、子猫の不安を和らげます。通院を重ねることで、診察台でリラックスできるようになるコも。

🐾飼い主さんと一緒にチーム獣医療を目指して

愛猫にとって負担のない診察やケアは、飼い主さんの協力があってこそ成立します。タオルで包まれる練習やキャリーに慣れる練習など、家庭でも取り組めることがたくさんあります。「こねこ塾」ではそのようなアドバイスも行い、子猫と飼い主さんをサポートしています。
「社会化期は、愛猫が家族の一員として幸せに暮らすために与えられた準備期間です。 この時期にいろいろな経験をしておくことで、びっくりしたり、怖がったりする気持ちをためておける心の余裕—いわば「バケツの大きさ」が育っていきます。 このバケツが大きければ大きいほど、少しの変化や刺激ではあふれにくくなり、落ち着いて過ごせるようになるのです」 (村田先生より)

動物病院ごとに工夫された「こねこ塾」の取り組み

今回のセミナーでは、実際に「こねこ塾」の運営に携わっている愛玩動物看護師の方々も登壇し、日々の取り組みや工夫の共有がありました。
そのお話から見えてきたのは、「子猫と飼い主さんが安心して通える場所にする」ための、細やかな気配りやステップの積み重ね。環境やスタッフ体制に合わせて「できる形で無理なく続ける工夫」が見えてきました。
※「こねこ塾」「こねこクラス」など、呼び方は動物病院によって異なります。いずれも、子猫のうちから病院や人、環境に慣れさせることを目的とした取り組みで、名称や内容、実施頻度は各病院ごとに工夫されています。
愛玩動物看護師:鈴木香代子さん(久米川みどり動物病院)
「院内掲示やSNS、LINE案内などで参加を募るほか、スタンプカードなどのツールも導入。おやつ外来も実施し、継続しやすい環境を整えています。「こねこ塾」が飼い主さんにとって、通院を前向きに考えるきっかけになればと思っています。」(鈴木さん)
愛玩動物看護師:堀奈保子さん(そらいろ動物病院)
『やっていてよかった』と飼い主さんが思える「こねこ塾」を目指しています。飼い主さんの話をよく聞き、できたことは先生やスタッフみんなで喜ぶことも忘れません。チェック表を作って、できていることを見えるようにする工夫も。継続したくなるよう宿題を出すようにしているので、参加してくださる飼い主さんが増えています。」(堀さん)
愛玩動物看護師:鈴木理絵さん(アサヒペットクリニック)
「2016年から「こねこクラス」を開催しています。完全個別制で、基本レッスン4回コースに加え、卒業後のフォローも手厚く行なっています。慣れてくると「診察台で寝る」ほどリラックスできるようになるコも。苦手なこと、たいへんなことは動物病院で。その代わり、通院はできるだけ楽しくして、ご家族と子猫の関係性の構築を最優先にしています。そのコとご家族にあった形で、安心した“にゃんライフ”を育てていく教室でありたいと思っています。」(鈴木さん)

このように「こねこ塾」では、子猫と飼い主さんが安心して通える工夫を凝らしています。ぜひお近くの「こねこ塾」を探してみてはいかがでしょうか?
なお「こねこ塾」として実施していなくても、類似の対応が可能な場合があります。かかりつけ医や近隣の動物病院にぜひご相談ください。

子猫期の今、あなたも動物病院と一緒に一歩を踏み出そう

セミナー全体を通して印象的だったのは、「動物病院に行くのが好きなコ」を育てるには、子猫期の過ごし方がカギになるという共通認識をどの獣医師・愛玩動物看護師もお持ちだということでした。今回ご紹介したような動物病院の取り組みは、これからますます広がっていくでしょう。

動物病院に通いやすい環境を整えておくことは、日々のケアやいざという時の受診にとても役立ちます。「こねこ塾」はその第一歩。あなたの子猫育ての頼れるパートナーとして、ぜひ活用してみてください。
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