寒くなるとふっくらとした冬毛になるほか、行動にも変化が見られるようになる猫。
そこで今回は、“冬モード”に入った猫の行動に注目し、その行動の理由やお世話のポイントについて、獣医師の山本宗伸先生に教えていただきました。
睡眠時間が長くなる
狩りをしていた野生時代の猫にとって、冬は獲物が少ない季節。その名残で、冬の猫は行動が鈍り、休む時間が長くなりがちです。また、寒い季節は代謝エネルギーを使って体を温めるため、エネルギーの消費を抑え、温存することが大切なのです。
また、寝姿もまんまるとして冬モードに。寒いときにあまり動かずに眠り続けていると、体の表面から熱が奪われて体が冷えてしまいます。そのため外気に触れる面積をなるべく減らし、体温を逃さないよう、体を丸くして眠るのです。
ぬくぬくの寝床を用意して
寝ている間に体温が奪われないよう、保温性の高い寝床を用意して。いつもの猫ベッドにフリースなどの布をしたり、冬仕様のドーム型ベッドを用意したり、猫自身がより快適な寝床を選べるようにするとベストです。
飲水量が減る
冬になると猫の飲水量が減るのは、活動量が減ってのどが渇きにくいことや、冷たい水を飲むことで体が冷えるのを防ぐためなどの理由があります。居場所や水を飲む場所が寒いと、飲みに行くこと自体が億劫になってしまうこともあるでしょう。
ぬるま湯を与えるなどの工夫を
飲み水の温度が10℃以下になると、猫の飲水量が減るというデータも。飲水量の低下は、泌尿器系をはじめとする病気のリスクを高めます。冬場は猫の好みに応じてぬるま湯を与え、暖かい場所に複数の水飲み容器を置くなどして、水分補給を促す工夫をしてあげてください。
食べる量が増える
寒くなると猫が食欲旺盛になりやすいのは、体温を保つために多くのエネルギーが必要になるから。野生の猫は脂肪を燃焼させたエネルギーで体温を保つ必要があったため、冬にかけてたくさん食べて脂肪を蓄えていました。冬の食欲アップはその名残といえるでしょう。
フードやおやつの与えすぎに注意
暖かい室内で暮らす猫の場合、皮下脂肪を蓄えて冬に備える必要はありません。本能的に食欲旺盛になったとしても、ほしがるままにフードやおやつを与えていては肥満になってしまいます。小分けにして与えるなど、量自体は換えずに満足感をアップさせる工夫をしましょう。
トイレの回数が減る
寒い季節の猫は、動かず寝てばかりいる→のどが乾かず飲水量が減る→尿量が減ってトイレに行く回数が減る、という流れに陥りがち。また、猫トイレが寒い場所にあると行くのが億劫になり、ますます頻度が減る場合があります。
「寒いから我慢」がないよう工夫を
室温が適温でも、トイレまわりの床が冷たいなどの理由で、行くのが億劫になっている可能性があります。猫トイレを冷えの影響が少ない場所に設置することはもちろん、トイレ付近の床にマットを敷くなどして、寒いからという理由で猫がトイレを我慢しないよう工夫をしましょう。
猫が“冬モード”になる背景には、さまざまな理由があります。愛猫が寒い季節も快適に過ごせるよう、冬モードに応じたお世話を意識しましょう。
お話を伺った先生/山本宗伸先生(猫専門病院Tokyo Cat Specialists院長 国際猫医学会ISFM所属)
参考/「ねこのきもち」2025年12月号『見た目 行動 場所 変化に合わせたお世話のポイントも 愛猫が、冬モードに入りました!』
文/柏田ゆき
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。