猫はしっぽや耳など、体の部位をさまざまに変化させ、しぐさやポーズ、表情などで、そのときの気持ちをあらわしています。そこで今回は、飼い主さんからよせられた「ちょっと気になる猫のしぐさ」を4つ取り上げ、そのとき猫がどのような気持ちでいるのか、獣医師の入交眞巳先生に解説していただきました。
(1)仕事中、デスクの横で愛猫がじーっと見つめてくるのはなぜ?
ベッドにゴロンと転がって、仕事中の私を見つめる愛猫がかわいいです。「早くなでて~」ということなのでしょうか?
(Sさん/愛猫 くろみつくん・オス・3才)
何かを飼い主さんに要求しているのでしょう
猫が飼い主さんを見つめる理由は、何かを訴えていることが多いです。何をしてほしいのかは、猫の性格や状況により異なりますが、もしこのしぐさをしたあとに、飼い主さんが愛猫をなでて、それを受け入れることが多いのならば、推測どおり「なでて~」という気持ちだったのだと思います。
(入交先生)
(2)猫タワーにしっぽを絡めるのはなぜ?
愛猫は猫タワーの上で、よくしっぽをボードに絡ませています。添い寝をしているときも、私の腕にしっぽを絡ませることが……。ほかのシーンでは見たことがないしぐさです。
(Hさん/愛猫 ジャックくん・オス・1才)
バランス感覚とフレンドシップかもしれません
猫タワーにしっぽを絡ませるのは、バランスをとっているのでしょう。バランスをとることも、しっぽの重要な役割のひとつです。
なお、腕にしっぽを絡ませているときは、きっと友好的な気持ちになっているのでしょう。
(入交先生)
(3)しっぽだけ私の足の上に置くのはなぜ?
私が仕事から帰ってくると、愛猫はよくしっぽだけ足の上に置くしぐさをします。「寂しくてすねているのかも」と思い、なでてあげると、そっぽを向いていた顔をこちらに向けてくれます。
(Hさん/愛猫 ゴロくん・オス・9才)
フレンドリーな気持ちであいさつしているのでしょう
猫はフレンドリーなあいさつとして、しっぽを上げてお互いに近づき、しっぽを絡め合わせるような行動をします。飼い主さんへの「おかえり」のあいさつ、もしくは「なでて」と甘えているのかもしれませんね。
(入交先生)
(4)イカ耳なのにふみふみするのはなぜ?
愛猫は昼寝前に必ず鳴いて私を呼び、寝室まで誘導して布団の上でふみふみします。私は少し離れたところで見守るのですが、そのとき、たまにイカ耳になることがあります。
(Aさん/愛猫 あおくん・オス・2才)
リラックスして耳が外に向くことも
前後の状況から推測すると、ふみふみしながらリラックスしていると思われます。通常、耳が外に向くイカ耳は、警戒や不安、不満といった気持ちのあらわれですが、この場合は、愛猫の不思議なクセといえるかもしれません。
(入交先生)
愛猫のしぐさや行動から、そのときの気持ちを正しく理解し、上手に対応してあげられるとよいですね。
お話を伺った先生/入交眞巳先生(獣医師 東京農工大学特任准教授 米国獣医行動学専門医)
参考/「ねこのきもち」2024年7月号『写真がとらえた、その瞬間… しぐさ ポーズ 表情が語る 猫の気持ち』
文/長谷部サチ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性がない場合もあります。