猫と暮らす
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【獣医師監修】猫が骨折したら・・・見極め方と注意点、治療費を徹底解説
猫の骨折のリスクは、日常生活のあらゆるシーンに潜んでいます。室内飼いでも例外ではありません。猫の骨折の原因とは?骨折してしまった場合の、治療費や治療内容はどのようなものなのか、獣医師が解説します。

今井 巡 先生
相模原プリモ動物医療センター第2病院院長
日本大学生物資源科学部獣医学科卒業
●資格:獣医師
●所属:日本大学動物病院整形外科専科
手術実施症例:各種骨折症例、頸部椎間板ヘルニア(ベントラルスロット)、腰部椎間板ヘルニア、椎体固定他
●主な診療科目:一般診療(外科・内科)、整形外科、神経外科
猫の骨折の原因
低い段差からの落下
猫の体は柔軟性に優れているので、落下しても大抵は受け身で対処できますが、タイミングや着地条件が悪かったりすると骨折してしまう可能性は高くなります。ソファの上や階段など、家の中にある低い段差からの落下には、十分注意が必要です。
ベランダからの落下
ベランダには猫を出さないなどの工夫をして、落下の原因を少なくすることも大切です。
子猫はケージに注意
そのほか、カーテンによじ登った際の落下や、カーテンレールから足を踏み外して落下する危険性もあります。ケージは網の目の細かいものに切り替えるか、カーテンもよじ登れないよう、工夫をすることが大切です。
猫の骨折を見極めるポイント
骨折時のおもな症状と見極めのポイント
・足が腫れている
・足をかばうように浮かせて歩く
・足を触られると嫌がる
・動かずじっとしている時間が多い
・食欲がない
・触ろうとすると怒る
骨折と言えば、まずは四肢(足)が主です。四肢を骨折すると、骨折した足をかばうようにして歩きます。動画の猫は両後ろ足を骨折したため、完全に引きずって移動しています。足の指の骨折は、地面に足を付かないようにかばう様子が見られます。
落下した際に、顎の骨を骨折することもあります。段差からの落下後に、食欲が落ちたり、よだれが多い場合は、顎の骨折を疑ったほうがよいでしょう。
骨折した部位によって緊急性が変わる
いずれの部位の骨折も、動物病院での診察と治療は必須となります。「猫が落下したら必ず動物病院を受診する」くらいの心持ちでいるほうが、猫の健康を守るためにも賢明です。
治療費はどのくらい?治療方法は?
骨折治療の費用は平均20~30万円
完治までの期間はどのくらい?
そのため、骨折してから最初の2週間のあいだに適切な治療が行われれば、その後の回復も順調になると言われています。
治療方法は手術するケースが大多数
自然治癒や放置はNG!
骨折治療中の猫の過ごし方
基本は安静に
治療用のギプスに関しても、猫の場合は嫌がって外そうとしたり、動き回って外れやすかったりします。エリザベスカラーなどを併用して、骨折した部分に負担がかからないよう過ごすことが大事です。飼い主さんの独断でギプスを外してしまうと、骨が正常にくっつかない危険も出てきます。
もしギプスが外れてしまったら、動物病院へ行ってギプスを再度固定してもらいましょう。
トイレの方法は?
手術やギブスでの治療で、猫も大なり小なりストレスを感じるため、食欲が落ちることもあります。そのため、3~5日くらいはウンチが出ないこともあるようです。その際は療養食やサプリメントで、排便を促してあげるのも効果的です。
段差が低くても猫が落下したら動物病院を受診しよう
もしかしたら骨折かも?と少しでも感じたら、迷わず動物病院を受診しましょう。
文/紺道ゆあん
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