猫と暮らす
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猫も「うつ病」や「パニック障害」になる? 心の病気に関するQ&A
うつ病や五月病、パニック障害、PTSD……このような人の「心の病気」に、猫もなることがあるのでしょうか?
ふだんよく耳にする病気について、獣医師の菊池亜都子先生に教えてもらいました。
①うつ病

うつ病は、人ではこんな病気
うつ病は、憂鬱な気分が毎日のように続く精神的な病気。うつ病になると、喜びや好奇心などを感じられなくなり、倦怠感や食欲不振などの症状が表れます。
最悪の場合、自ら命を絶ってしまうことも。
Q.猫にもうつ病はあるの?
A.あるとは考えられません。
「うつ病は、じつは人でもまだきちんとした定義がなされていないそうです。また、猫に感情を尋ねてみることができないため、あるかどうかわからない、というのが正直なところ。
現状においては、猫に『ある』と明言することは難しそうです」(菊池)
②五月病

五月病は、人ではこんな病気
4月に新年度を迎え、入学や就職などで新しくなった環境に適応できないままでいると、5月のGW明けくらいから「うつ病」に似た症状が出はじめることがあります。
Q.猫も五月病になるの?
A.猫にはないでしょう。
「猫の場合、新たなスタートを切る飼い主さんの影響を受けたり、それに伴い環境が変わったりしたときに心のバランスを崩すことはあるかもしれません。
ですが、人のようなうつ状態にまで陥ることはないでしょう。ですから、五月病はないと考えられます」(菊池)
③パニック障害

パニック障害は、人ではこんな病気
突然、動悸や発汗、呼吸困難、吐き気といった発作を起こす状態。このパニック発作は自分でコントロールできないため、また起きたらどうしようと不安に苛まれることも。
Q.猫もパニック障害になるの?
A.パニック状態になることはあるけれど…
「何かに刺激され、興奮状態からそばにいる人や猫を噛んだり引っかいたりする『転嫁性攻撃行動』は、パニック状態に近く、比較的似ているといえるかもしれません。
ただ、人の『パニック障害』の定義に当てはまるかというと、難しいでしょう」(菊池)
④不眠症

不眠症は、人ではこんな病気
不安などから寝付けない、いったん寝てもしばしば目が覚める、起床時、ぐっすり眠った感じがない、いつもより早く目が覚める。……などの様子がしばしば見られ、続く病気。
Q.猫も不眠症になるの?
A.似た症状はあるかもしれないけれど…
「近所で大きな工事をしていたり、知らない人の話し声が聞こえてきたりすると、物理的に継続して眠れないということは猫にもあるでしょう。
ただし、猫と人の睡眠時間や状態はそもそも異なるので、似た症状でも『不眠症』とはいえないかもしれません」(菊池)
⑤PTSD

PTSDは、人ではこんな病気
災害や事故、性的虐待など、死を意識する危険な目に遭ったことがある場合、トラウマ体験が蘇ったり、感情の麻痺や記憶の喪失、はたまた、精神的な過敏症状などが起こったりします。
Q.猫もPTSDになるの?
A.あると考えていいかもしれません。
「たとえば体罰や地震など、猫にもトラウマ的な体験はあります。過去のトラウマ体験が蘇ったり、その体験を思い出す場所を避けたり、警戒心が異様に強くなり背後の物音にも過敏に反応したりすることはあるので、『PTSD』は『ある』と考えられるでしょう」(菊池)
参考/「ねこのきもち」2019年5月号『猫にも五月病はある? その困った行動、ストレスからくる心の病気かも』
(監修:獣医師、東京大学附属動物医療センター行動診療科にて、犬猫の治療に従事。 菊池亜都子先生)
イラスト/mollydomon
文/sorami
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