猫はストレスを感じると、体や行動に変化があらわれる!
猫はストレスを感じると、体や行動にさまざまな変化が表れます。一時的なストレスならあまり心配はありませんが、長期的なストレスは猫の健康に影響を与えることも。
今回は猫がストレスを感じたときに起きる体と行動の変化についてご紹介します。
ストレスで体はどう変化する?流れで解説!
① 目・耳・鼻などで刺激をキャッチ
刺激(物、音、猫、人など)を最初にキャッチするのは視覚、聴覚、嗅覚などの感覚器。これらの知覚刺激は脳に伝わります。
② 脳でストレスを感じる
脳の大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)で危険・恐怖を感じ、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が分泌されます。また、視床下部でもストレス反応が起こります。
③ ストレスを感じると、交感神経系が興奮する(緊張する)
交感神経系は興奮すると体が緊張し、心拍数や血圧が上昇します。万一の緊急事態に備え、素早く対応できる体制に入ります。
●瞳孔が開く
●耳を伏せる
●身を縮め、体勢を低くする
●しっぽを隠す、体に巻き付ける
●肉球に汗をかく
●鼻や耳の内側の色が濃くなる
●心拍数、血圧が上がる(ドキドキする)
●呼吸が早くなる。ひどいとハアハアする
●神経過敏になり、「シャー!」と威嚇する
④ ストレスが長く続くと、免疫力が低下する
ストレス刺激は、視床下部から脳下垂体を経て副腎皮質から副腎皮質ホルモンを分泌。これは長期戦に備えて代謝を変化させるためですが、このホルモンが過剰になると免疫系が抑制されます。
ストレスで行動はどう変化する?
ストレスを感じ続けていると、行動にも変化が表れます。猫の様子を日頃から観察し、ひとつでも当てはまる場合は早めに受診しましょう。
トイレに行かない、トイレ以外の場所で排泄する(スプレー行動を含む)
「怖い」「イヤ」などの理由で猫トイレを使えないと、排泄を我慢したり、トイレ以外の場所で排泄します。尿を噴射するスプレー行動をすることも。
同じところをなめ続ける
おもにお腹や太ももをなめ続けます。これは、同じ行動を繰り返して不安を和らげようとする「常同行動」のひとつ。猫のストレス症状として多く見られます。
食欲が低下する
一時的なものなら問題ありませんが、丸一日以上何も口にしなかったり、長期的に食事量が少なくなると健康を損なう原因に。
頻繁に攻撃的になる、何度も激しく走り回る、過度に大声で鳴く
イライラや欲求不満によるストレスを発散する手立てとして、これらの行動をとっている場合も。
※ただし、激しく走り回るだけなら単なる運動のことが多い。
ほかにもこんな行動も…
● 丸一日以上隠れて出てこない
● 食べ物ではないものを食べる。なめる。
猫がストレスを感じると、どんな変化が起きるかわかりましたか?
愛猫のストレスサインに、いち早く気付くには「猫はどんなことにストレスを感じやすいのか」を飼い主さん知っておくことが大切。上記のような変化が見られたら、猫のストレスが軽減するように対策してあげられるといいですね。
参考/「ねこのきもち」2014年7月号『猫が感じやすい3大ストレス』(監修:帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科准教授 加隈 良枝先生)
文/浪坂一
撮影/後藤さくら、中川文作
イラスト/フジサワミカ
※この記事で使用している画像は2014年7月号『猫が感じやすい3大ストレス』に掲載されているものです。