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重症化すると命にかかわる「尿石症」 かかる猫が冬に激増のワケ
冬の時期は、寒くて体調を崩している飼い主さんも多いと思いますが、猫も気をつける必要があるそうです。なかでも、重症化すると命にかかわる「尿石症」に注意したほうがいいのだそう!
「尿石症」ってどんな病気?
尿石症とは、オシッコの濃度が高まるなどの理由で尿中の成分が結晶化して、腎臓から尿道につながる尿路に結石ができる病気の総称です。
結石ができる部位によって病名が異なる!
正式名は、結石が停滞する部位によって異なり「腎臓結石」「尿管結石」「膀胱結石」「尿道結石」があります。
できる結石のサイズは、砂状の小さなものから、1円玉くらいの大きなものまでさまざまですが、尿路を傷つけたり、詰まらせたりして、排尿障害を引き起こす原因に。
できる結石のサイズは、砂状の小さなものから、1円玉くらいの大きなものまでさまざまですが、尿路を傷つけたり、詰まらせたりして、排尿障害を引き起こす原因に。
尿石症がが冬にかかりやすいワケ
寒さが苦手である猫は、冬に動きが鈍くなります。そのため、のどが渇きにくくなり、水を飲みに行くことすら億劫がって、飲水量が減る傾向に…。結果、もともと量が少なく濃い猫の尿が一段と濃縮されます。
さらに、寒さからトイレへ行き排尿することさえ億劫がると、濃縮された尿が膀胱内に長時間たまり、結石ができやすくなるのです。
さらに、寒さからトイレへ行き排尿することさえ億劫がると、濃縮された尿が膀胱内に長時間たまり、結石ができやすくなるのです。
尿石症にかかったときに見られる症状
尿石症にかかっている場合、猫の行動やしぐさ、オシッコに異変が見られるようです。下記でさらにくわしく見ていきます。
行動やしぐさの異変
□トイレにいる時間が長い
オシッコが出にくかったり、炎症による残尿感から、排尿姿勢のままトイレに長時間いるように。
□トイレで辛そうに鳴く
排尿時の激しい痛みから、辛そうに唸るように鳴くことがあります。鳴きながら震えたり、うずくまってしまう猫も…。
□頻繁にトイレに行く
オシッコが少ししか出ないにもかかわらず、トイレに行く回数が急激に増えます。トイレの周りをうろついたりする行動が目立つように…。
□陰部をしきりになめる
陰部に違和感があることでなめてしまい、その刺激で陰部が腫れてしまうことも…。
オシッコの異変
□にごったり色が濃かったり、キラキラしている
尿結石により炎症が起こるとにごったり、濃縮すると色が濃くなったりします。また、オシッコと一緒に砂状の結晶や結石が出ることも。トイレ砂やシートの表面がキラキラしていないか注意しましょう。
□血が混じる
結石が尿路に詰まり、オシッコが出にくい状況にもかかわらず、無理に力を入れて出そうとすると尿路が傷つくなどして、オシッコに血が混ざることも…。
また、オシッコはニオイもいつもよりきつく、臭くなることもあります。
オシッコは正常でも、行動やしぐさだけに異変が見られる場合も
猫によっては、オシッコは正常で、行動やしぐさだけに異変が見られるケースもあります。上記にあげた異変は、尿石症の典型的な症状といえるので、気にかけてあげましょう。
尿石症の治療法
まずは尿検査をして、尿のpHを調べるなど、結石の種類の特定をします。その後、レントゲン(X線)や超音波、CT検査で結石のできている部位、サイズなどを確認します。
その結果、小さなストルバイト結石なら療法食で溶かし、大きな結石やシュウ酸カルシウム結石なら手術をする場合があります。尿路が炎症を起こしている場合は、抗生剤や消炎止血剤などを投与することも。
その結果、小さなストルバイト結石なら療法食で溶かし、大きな結石やシュウ酸カルシウム結石なら手術をする場合があります。尿路が炎症を起こしている場合は、抗生剤や消炎止血剤などを投与することも。
予防・再発防止のためにできること
無症状でも尿石症の可能性はあるので、半年から1年に一度は健康診断を受けて尿検査をするのが理想的。
また、尿石症は再発しやすい病気です。一度尿石症にかかった猫は、治療後もpHバランスが考慮された療法食を、獣医師に相談しながら与えたほうが安心です。
また、尿石症は再発しやすい病気です。一度尿石症にかかった猫は、治療後もpHバランスが考慮された療法食を、獣医師に相談しながら与えたほうが安心です。
尿が出ない症状があれば「尿道閉塞」の可能性大!
尿が出ない症状があれば、尿道に結石が詰まる「尿道閉塞」の可能性が大です。尿道閉塞は、冬に多発し、場合によっては命を落とす危険性があります。
オスはとくに注意して
メスの尿道が直径約1〜1.5mmなのに対して、オスのペニス内の尿道は約0.5mmと細めです。そのうえ、ペニスの硬さで拡張しにくいため、結石が詰まりやすくなりがち。
尿道に結石が詰まりオシッコを出せない状態のまま放っておくと、急性腎不全で尿毒症を起こし、4日ほどで死に至る恐れも。早急に動物病院で処置してもらう必要があります。
尿石症対策! 冬を健康に過ごすための部屋づくり
尿石症にならないためには、部屋を冬仕様の住環境に整えてあげることが大切に。冬を健康に過ごすための部屋づくりのアイデアを、いくつかご紹介します。
猫トイレ&水飲み容器を追加しよう!
寒くても、猫がトイレや水を飲みに行くのが億劫にならないように、猫トイレと水飲み容器を追加しましょう。
・猫トイレを寝床のそばに追加する
ふだん使用している猫トイレはそのままにして、猫の居場所のそばに1個追加してみましょう。起きてすぐに行ける場所にトイレがあれば、行きやすくなるはずです。
・水飲み容器を複数個置く
猫の居場所のそばに水飲み容器を2個以上置いてみましょう。容器は、ふだん飲んでいる素材でなければ飲まない猫もいるので、陶器なら陶器で統一したほうが◎
あったかシェルターを用意しよう!
猫が「寒い」と思ったら逃げ込めるような、あったかシェルターを用意してあげることも大切です。
・毛布を筒状にして置く
毛布を丸めてトンネルのようにして置いておけば、潜るのが大好きな猫は嬉しいはずです。日が当たる場所に置いておくと、干した毛布のようになって、さらにポカポカします。
・ランドリーバスケットなどを倒して置く
ランドリーバスケットなど、深さがある容器を倒して置き、中に暖かい布をインするだけでできます。仲のよい同居猫がいる場合は、大きめにすると一緒に入れて、さらにぬくぬくになるはずです。
・段ボールハウスを置く
保温性のある段ボール素材で四方が囲まれた空間は、熱のこもりやすさが抜群です。暖かい布をかけたり、中に入れればさらにいいでしょう。暖かい空気がたまる高い場所に置いても◎
これらはどれも自宅にあるものでできますし、電気を使わないのでお留守番のときでも安心です!
もしも「尿石症かも…」という症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診するようにしてくださいね。愛猫が尿石症にかからないようにするためにも、解説にもあった対策をしっかり行うようにしましょう!
参考/「ねこのきもち」2019年1月号『かかりやすく重症化しやすいから…冬こそ注意 猫カゼと尿石症』
(監修:埼玉県日高市のノヤ動物病院院長 野矢雅彦先生)
※一部の写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と一部写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
イラスト/大塚砂織
文/雨宮カイ
(監修:埼玉県日高市のノヤ動物病院院長 野矢雅彦先生)
※一部の写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
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イラスト/大塚砂織
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