猫がかかりやすい病気のナンバー1は、泌尿器系の病気といわれています。特に近年は猫の寿命が延びていて、7才以上の猫の6割がなるといわれる「尿路結石」や「慢性腎不全」の症例数が増えているそう。その2つの病気の原因や予防法を見ていきましょう。
尿路結石は尿路に結石ができ、血尿や嘔吐を伴う病気
尿路結石とは、腎臓から尿管、膀胱、尿道の中に結晶や結石ができる病気です。
オシッコの中にマグネシウム、リンなどのミネラル成分が増えることで、結石ができやすくなります。結石は砂粒くらい小さなものから、数センチの塊までさまざま。
最近では、薬や療法食でも溶かすことができない「シュウ酸カルシウム」を成分とする結石が増え、それを摘出する例が多いようです。特になりやすいのは純血種やオスといわれています。
慢性腎不全はオシッコの回数が増えることが多い病気
慢性腎不全とは、尿のろ過を行う「ネフロン」が徐々に壊れ、腎臓の機能が正常にはたらかなくなる状態を指します。オシッコの回数増加、食欲低下などの症状が見られます。
治療としては、タンパク質と塩分量をコントロールした食事療法や、輸液を行います。
腎・泌尿器の病気を防ぐためには定期的な尿検査が大切!
尿路結石はオシッコの成分を調べる「尿検査」で発見されることが多いため、定期的に尿検査を受けるといいでしょう。
また、予防法として水をよく飲ませることも大切に。1日数回、水を取り替え、なるべく新鮮な水を愛猫に与えましょう。
もし愛猫が水をなかなか飲まない場合は、以下の対策も行ってくださいね。
猫が水を飲まないときはこう対策しよう
愛猫があまり水を飲まない場合は、以下のように水を飲みやすい環境を作りましょう。
水を置く場所を増やす
水の容器をいろいろな場所に置き、猫が好きなタイミングでいつでも水を飲めるようにしましょう。猫がよく遊んでいる場所、よく通る場所、休憩するスペースなどに置いてください。
自動給水器で常にきれいな水を与える
水のニオイを気にする猫や、容器に入った水を警戒する猫もいます。この場合は、自動給水器を使ってみるのもいいでしょう。フィルターで不純物をろ過することで水に含まれる「カルキ臭」が減るため、飲んでくれるようになるかもしれません。また、容器にたまった水よりも流れている水を好む猫にもおすすめです。
水が入った容器を変えてみる
中には、水が入った容器を嫌がる猫もいます。容器の大きさ、高さ、色、材質などが猫のこだわりに合わないのかもしれません。また、容器が汚れているなど不衛生な場合は、それが猫のストレスとなることもあります。
愛猫の健康管理は、飼い主さんの大切な役割です。病院で定期的に検査を受ける、日頃から水をこまめに取り替えるといった積み重ねが、愛猫の健康につながるはずですよ。
参考/「ねこのきもち」2016年5月号『各分野のエキスパートが近年の傾向や、かかりやすい年齢、性別、猫種などを解説 獣医師が今、伝えたい病気26』(監修:麻布大学附属動物病院小動物臨床研究室准教授 渡邊俊文先生)
「ねこのきもち」WEB MAGAZINE『【獣医師監修】愛猫が水を飲まない!?対策や水分不足の危険性を解説!』(監修:ねこのきもち相談室獣医師)
文/松本マユ
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。