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【獣医師が解説】猫はレタスを食べても大丈夫? 猫草の代わりに与えても

レタスは猫に与えても大丈夫です。食べることで水分の補給がはかれるほか、ビタミンC、E、カリウムなどの栄養素も摂取できます。ただし、過剰摂取は下痢や便秘など体調不良の原因になることも。猫がレタスを食べるメリットと、与える際の注意点について紹介します。

佐野 忠士 先生

新鮮なスライスしたレタス
PosiNote/gettyimages
レタスは猫に与えても大丈夫な野菜です。

サラダの定番野菜として親しまれているレタス。キク科の植物で和名は「チシャ」。新鮮なレタスの茎や葉を切ると断面から白い液が滲み出てくることから、日本では古くは「乳草(ちちくさ)」と呼ばれ、そこから現在の和名「チシャ」になったといわれています。
この白い分泌物は、鎮静作用のあるポリフェノールの一種「ラクチュコピクリン」であることがわかっています。そのため、人はレタスを食べるとリラックス効果や安眠効果が期待できるといわれていますが、猫にとって同様の効果が期待できるかどうかは明らかになっていません。

レタスの栄養成分のうち、大半は水分なので栄養価はあまり高くない野菜であるといえますが、食物繊維やカロテン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、鉄分、カリウム、カルシウムなど、各種の栄養素が少しずつバランスよく含まれています。中毒の原因になるような猫の体に害を及ぼす有害物質は含まれていないので、安心して愛猫に与えられるでしょう。

ちなみに、丸く結球している一般的なレタスは淡色野菜ですが、長方形の形で葉先が紫色になるサニーレタスは緑黄色野菜です。含まれる栄養素はほぼ同じですが、可食部の同重量で比較した場合、サニーレタスのほうがカリウムやβカロテン、ビタミンCなどを多く含んでいます。

レタスのおもな栄養素|水分が約96%

絨毯の上に座りまっすぐに上を仰ぎ見ている白いスコティッシュフォールド
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
レタスに含まれるおもな栄養素 ※数値は可食部100gに含まれる成分
エネルギー11kal
水分95.5g
タンパク質0.6g
脂質0.1g
炭水化物2.8g
灰分(無機質)0.5g

文部科学省「食品データベース」https://fooddb.mext.go.jp/index.plより参照

猫がレタスを食べるメリット|脱水・熱中症の予防、病気予防とアンチエイジング

ハンモックに乗って正面をじっと見ている茶色いアメリカンショートヘア
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
猫の体にメリットのあるレタスの栄養素について紹介します。

水分|水分補給で脱水・熱中症の予防

猫は犬と比べると水を飲まない印象の強い動物ですが、とはいえ猫が生きていくうえで水は必要不可欠なものです。水分摂取がとても少ない猫の場合は、食事やおやつの際にレタスを与えて、水分の補給をはかるのもよいかもしれません。レタスは栄養成分の約96%が水分なので、シャリシャリとした食感につられて食べることで、不足しがちな水分を体に取り込むことができます。

ビタミン|強い抗酸化作用のビタミンC・Eで元気をキープ

レタスに含まれるさまざまなビタミンのなかでも、とくに猫に役立つのがビタミンCとビタミンEです。ビタミンCやビタミンEには、体の中に発生した活性酸素を取り除く強い抗酸化作用があることがわかっています。完全栄養食のキャットフードを食べていれば、ビタミンCやビタミンEともに不足することは考えにくいですが、キャットフードを食べたがらない場合や手作りフードを与えている場合などは、レタスからビタミンCやビタミンEを補うことで、病気にならない体の維持や老化防止をはかるのもよいでしょう。

ちなみに、猫や犬はビタミンCを体内でブドウ糖から合成できるので、欠乏症は起こらないと考えられてきましたが、5歳を過ぎるとその能力が急激に落ちてくるといわれています。肝機能が衰えてくるといわれているシニア期には、「体内で作られる量だけでは十分ではない」とする研究結果もあるため、不足分を補うためにビタミンCを含むレタスを与えてもよいかもしれません。

なお、ビタミンEは体内で細胞膜を守るために働いたあと、「ビタミンEラジカル」という体によくない成分に変わってしまいますが、ビタミンCがまた元のビタミンEへ戻してくれます。つまり、ビタミンEとビタミンCの両方が含まれているレタスは、栄養的にバランスのよい食物といえます。

食物繊維|便秘の予防、解消に期待

食物繊維には、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があります。
水溶性食物繊維には、食後の血糖値の急激な上昇を抑える作用やコレステロールを下げる作用、不溶性食物繊維には、腸の中で水分を吸って大きく膨らみ、便のカサを増やして排便を促す作用があります。

レタスには、可食部100gで水溶性食物繊維が0.1g、不溶性食物繊維が1.0g含まれています。野菜のなかではそれほど多い含有量ではありませんが、腸内環境の改善や便秘の解消に穏やかに役立つと考えられます。ただし、不溶性食物繊維のほうが水溶性の10倍と多いので、レタスの過剰摂取は便が大きくなり過ぎ、かえって排便困難を招くことになりかねません。与える量には注意しましょう。

カリウム|高血圧の予防

カリウムには、体内に溜まった余分な塩分を尿と一緒に体外に排出することで、血圧が上がるのを防ぐ作用があります。また、神経の伝達や筋肉の収縮にも深く関わっているので、猫の体を健康に保つためには必要不可欠といえます。
レタスには100gあたり200mgのカリウムが含まれているので、高血圧が心配な猫にはメリットのある栄養が摂れる野菜といえるでしょう。

ただし、加齢や腎臓病などで腎臓の機能が低下している犬の場合は、余分なカリウムを上手に体外に排出できなくなり、血液中のカリウム濃度が上がる「高カリウム血症」になる可能性があります。腎臓病の猫やシニア猫、心機能が低下している猫の場合は、カリウムの過剰摂取にならないよう、与える量には注意が必要です。

猫にレタスを与えるときの注意ポイント|生のまま小さくちぎって与えよう

前に投げ出した足をクロスさせているペルシャの子猫
ねこのきもち投稿写真ギャラリー
人間はサラダの定番野菜として生で食べることの多いレタス。猫に与えるときもやはり生で大丈夫なのでしょうか。猫へのレタスの与え方、注意点などを紹介します。

与えてよい部位

レタスの葉、芯の部分、いずれも猫に与えてOKです。
レタスにはサニーレタス、サラダ菜、グリーンリーフ、フリルレタスなど種類がいろいろありますが、どれも猫に与えて問題ありません。ただし、サニーレタスやサラダ菜、グリーンリーフなどは緑黄色野菜なので、一般的な球状のレタスに比べ、カロテンやカリウムなどを多く含んでいます。それらには過剰摂取によって猫の体によくない栄養を及ぼすものもあるので、同じ適量を与えるのであれば一般的な球状のレタスのほうが安心です。

与えるときの適量

猫にレタスを与える場合は、体重に合わせて以下の量を目安にしてください。ただし、あくまでもカロリー上の算出値なので、主食(総合栄養食)の摂取を阻害しない量にとどめることが大切です。
また、猫の年齢や健康状態によっては、特定栄養素の過剰摂取につながることもあるので注意しましょう。
猫の体重目安1日あたりの摂取可能目安
4~5kg216g~255g(葉7枚~8枚)

※数値は、避妊・去勢済みの猫で体重相応のおやつ(1日の総摂取カロリー目安の1割)として算出
※レタスの内葉1枚30gとして計算

調理方法

猫にレタスを与えるときは、生のままがベターです。なぜなら、ビタミンCカリウムは水溶性なので、長時間水に浸けておいたり、茹でたりすると水の中に栄養分が溶け出してしまうからです。また、ビタミンCは熱にも弱いので、生のまま与えるほうが、レタスの栄養素をあまり損なわずに猫の体に摂り入れることができます。種類や季節によっては葉が硬いものもあるので、猫が食べやすいよう小さくちぎって与えるとよいでしょう。芯の部分も消化しやすいように小さくカットすれば、与えて大丈夫です。

まれにタンパク質に免疫反応が過剰に反応するアレルギーも

レタスにはごく少量ですがタンパク質が含まれています。食物アレルギーは、タンパク質に免疫機能が過剰に反応して起こるものなので、レタスを食べて猫がアレルギーを発症する可能性がゼロではありません。初めてレタスを与えるときは、少しだけ与えてみて、食べたあとに体の痒みや下痢、嘔吐などが起こらないかを観察してみましょう。大丈夫なら、その後もレタスを与えてよいでしょう。

猫はレタスを食べてもとくに問題なし。ただし持病のある猫は獣医師に相談を

水分が豊富でビタミンやミネラルも含まれているレタス。有毒な物質は含まれていないので、猫が食べてもとくに問題はありません。ただし、腎臓病など体に疾患のある猫の場合は、与える前に獣医師に相談したほうが安心です。
ちなみに、レタスの食感が大好きという猫もいるようです。以下の記事もぜひお読みください。
監修/佐野忠士先生(酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 准教授 )
文/村田典子
※一部写真はスマホアプリ「まいにちのねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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