新しい猫を迎え入れるとき、すでに猫と暮らしているご家庭にとっては、先住猫の気持ちも考えなければなりません。そこで今回は、雑誌「ねこのきもち」2017年4月号の特集でご紹介した読者の実体験をもとに、多頭飼いを始める前に知っておきたい、新入り猫の円満な迎え入れ方について考えたいと思います。
3匹の先住猫が暮らす家に、保護猫を迎え入れたYさんが実践したこと
神奈川県のYさん宅には、3匹の先住猫がいました。そこへ保護猫だったメス猫(当時0才)を迎え入れたのは、2016年5月のことです。
Yさんが受け入れる前に気を付けたこと
Yさんは、新入り猫が1匹で安心できる専用ケージを用意しました。そして、4匹が一斉に仲よくするのは難しいと考え、まずはボス猫である年長のオス猫(当時15才)と仲よくなることを目標としたといいます。
Yさんが実践した慣れさせ術
新入り猫を迎えたあと、まずは年長のオス猫と対面させ、時間をかけてゆっくり慣れてもらったそうです。1週目は対面させるだけにして、2週間目にご飯を一緒に食べてみるというように段階を踏んでいったところ、2匹はとても仲良しに。おかげで、ほかの猫とも仲よしになったのだとか。
3匹の先住猫がいる家庭で、新入り猫が受け入れられたワケ
猫は縄張り意識の高い動物なので、知らない猫が自分の縄張りに入ることは、ほどんどの猫にとって大きなストレスになります。では、なぜYさん宅の新入り猫は、先住猫に受け入れられたのでしょう。
年長猫の年齢にあったペースで進められたから
本誌の特集を監修した、帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科准教授の加隈良枝先生(以降、加隈先生)は、先住猫の年齢を意識したことがよかったと語っています。
人と同じで、高齢の猫は、新しいことに対する順応性が低くなっているそう。先住猫のなかでも、年長の猫に新しい猫を慣れさせる時間を多くもたせたことが、賢明だったのではないでしょうか。
このほかに実践したい慣れさせアイデア
先住猫が新入り猫を受け入れるためには、新入り猫に対する不満を溜めさせないことが重要です。そのための対策として、加隈先生は、次の3つのアイデアを提案しています。
先住猫が安心できる場所を与えること
新入り猫がくると、自分のテリトリーが狭まることで、先住猫は強い危機感を覚えてしまうことがあります。そこで、先住猫が隠れることができるような、落ち着ける場所を新たにつくるといいでしょう。
先住猫を優先すること
食事や遊び、スキンシップなどの際に新入り猫が優先されるのは、不満のもとになります。新入り猫に対する不満が少ないほうが、先住猫も受け入れやすくなるので、何かをするときは先住猫を優先させましょう。
子猫の遊びたいパワーは飼い主さんが発散させること
子猫を迎え入れたときに、先住猫と年の差があるような場合は、子猫の活発さが先住猫のストレスになることもあります。先住猫がいない部屋で飼い主さんが遊び、子猫のエネルギーを発散させて、先住猫のストレスを軽減させてあげましょう。
新入り猫を迎え入れるとき、先住猫はさまざまな不安を感じています。先住猫の気持ちに寄り添った迎え入れ方をして、新しい家族と過ごす時間を楽しみましょう。
参考/「ねこのきもち」2017年4月号『引っ越しや新入り猫…苦手な「変化」への慣れさせアイデア集 猫の新生活わが家の場合。』(監修:帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科准教授 加隈良枝先生)
文/こさきはな
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。