猫は、よく眠る動物だという印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。その眠る様子を注意深く観察してみると、さまざまなポーズで寝ていたり、突然ピクッと動いたり、ちょっと変わった場所で寝ていたり。猫のちょっと不思議な睡眠の謎について解説します。
猫の睡眠と「時間」の関係
猫は、本当によく眠っていますよね。なんだか、ずーっと寝ているような気がしますが、実際はどうなのでしょう?
猫は1日どれくらい寝ているの?
猫は、1日14〜16時間は寝ています。なぜなら、狩猟動物だった猫は縄張り争いや狩猟に備えて、極力エネルギーを貯めておこうとするから。また、猫は外敵からの攻撃にすぐに気づけるよう、睡眠時間のほとんどが浅い眠りです。深い眠りは1回たったの7分、1日分でも60分程度。ただ、襲われる心配のない飼い猫は、もう少し熟睡する時間も長いんだとか。
子猫・シニア猫はずーっと寝ている?
子猫は1日20時間ほど眠ります。それは、眠っている間に体の成長を促す「成長ホルモン」が分泌されるためです。新しい神経が作られたり、脳内の情報整理がされたりするのも睡眠中であることから、子猫には長い睡眠時間が必要となるのです。
また、加齢により活動量が減ってしまうために、シニア猫も睡眠時間が長くなります。これは眠っているというよりも、うとうとしていたり、浅い睡眠であることが多いよう。早い猫では7才を過ぎた頃から睡眠時間が長くなるそうです。
夜行性のはずなのに、夜中に寝ている?
夜行性の猫が、飼い主さんと同じように夜間に寝ていることがあります。これは、飼い主さんが起きている時間に合わせて活動し、夜も飼い主さんに合わせて寝たほうが「イイことがある」と思っているから。確かに、飼い猫の場合には、飼い主さんと一緒の時間に起きていた方が、たくさん遊んでもらえたりフードがもらえたりと、イイことだらけかもしれませんね。
猫の睡眠と「ポーズ」の関係
猫は、まあるくなったりお腹を見せたり、さまざまなポーズで眠りますよね。それらにも、実は理由がありました。
ほかの猫と「ギュー」と抱き合いながらスヤスヤ、なぜ?
ほかの猫と抱き合いながら眠るのは、互いの体温で暖を取るためといわれています。ただ、それを許し合える関係というのはお互いを信じ合えるからこそ。相手の寝息や心音も心地いいと感じているかもしれませんね。
なぜお腹を見せたり、まあるくなっているの?
暑いときには体を冷やすためにお腹を見せて眠ったり、寒いときにはまあるくなって眠ることがあります。猫は、ポーズを変えて睡眠時の体温調整をしているんですね。
ちなみに、どちらのポーズも安心してリラックスしているからこそできるポーズだそうです。
あごを乗せてスヤスヤするのはなぜ?
ほかの猫や飼い主さんの体、猫ベッドの縁など、高さのある物にあごを乗せて寝ることがあります。これは経験上、その姿勢が楽だと知っているから。気道が確保しやすく、乗せる物の質感などを気に入っているようです。
猫の睡眠と「場所」「動作」の関係
最後に、猫の睡眠と場所・動作に関する不思議をご紹介します。
寝る場所が変わったり、不安定な場所で眠るのはなぜ?
寝る場所がコロコロ変わるのは、快適に眠ることができる場所を選んでいるから。猫は環境の変化に敏感で、心地いい場所を探すのが上手なのです。
また、不安定な高い場所で眠ることがありますが、これは敵に狙われにくく、ほかの猫よりも優位であることをアピールできるから。冬であれば温度も高いので、寝る場所としては好環境だと言えるでしょう。
眠りながら動いたり、話し声に反応するのはなぜ?
猫は、眠っているときにピクッと動いたり小さく鳴いたりすることがありますが、それは夢を見ていて、その夢に反応しているからだと考えられています。
さらに、眠っている猫に名前を呼びかけたとき、しっぽの先が動くこともありますね。このとき、実は猫の耳には飼い主さんの声が届いています。猫は「まだ起きたくないけど、しっぽで返事しようかな」と思っているのかも。
いつ見ても寝ているように感じる猫。安心してのんびり寝ている姿は、見ているだけでこちらもリラックスできますね。
参考/「ねこのきもち」2016年4月号『「寝るのがシゴト」の猫あるあるを解説 とろりん猫のフシギ』(監修:帝京科学大学助教 動物看護師 小野寺温先生)
文/みづかめ
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。