福士蒼汰さんが語る　”猫第一主義”の現場で起こった「奇跡」

映画『旅猫リポート』の撮影で体験した”奇跡の瞬間”とは？

10月26日より全国上映される映画『旅猫リポート』。おおらかで聡明な青年・宮脇悟と、愛猫ナナとの“最後の旅”を描いた本作では、国内の美しい風景をバックに猫と旅路を巡る壮大なロケが敢行されました。

主演の福士蒼汰さんは、愛猫の「ナナ」役を演じた猫・トムくんとの撮影シーンを「奇跡の連続」と振り返ります。大きな舞台で、小さく、そっと包み込まれるようなやさしい関係性を紡ぎ出した、“１人と１匹”の共演。その裏話をお聞きしました。

「猫のしたくないことは一切させない」がルールの撮影現場

自由と安心を望む「猫」という動物に、旅の同行者を “演じて”もらう。そのハードルの高さから実写化が難しいとされていたベストセラー小説『旅猫リポート』。撮影にあたって、原作者であり、今回の映画の脚本にも参加した有川浩さんからは、「とにかく猫さまの都合を第一に！」というお達しがあったそうです。

猫のしたくないことは一切させない。必要であれば、脚本だっていくらでも書き換える。そんなルールが敷かれた撮影現場は、福士さんにとって「他の作品とは全然違う」ものだったそうです。

「ナナ（トムくん）からいい表情を引き出そうということに向けて全員が一つになって、みんなが『ナナのために！』という現場でした。あらゆるシーンがナナの動きに合わせて用意スタートで。本当にナナの気分次第で、シーンも変わっていきました(笑)」

撮影が遅れても、リラックス

猫を中心に物語は進み、猫を中心に撮影は遅れる。結局撮れずに翌日に持ち越しになってしまうことも。しかし福士さんは、それでもいつも以上に気持ちよくお芝居ができたと言います。

「自分が主演の場合は、どうしても責任感やプレッシャーを感じるものですが、今回はナナという絶対的な存在がいたおかげで、逆に自分はリラックスできたんです。自分が真ん中に立つより、支える側が性に合ってるので。役作りというよりも、猫や人との関係性をつくっていこうと考えました」

ナナとのシーンは、「奇跡」の連続！

ナナが悟のもとへ駆け寄ってくるシーンに、美しい景色をいっしょに眺めるシーン。猫好きな人ほど「どうやって撮ったんだろう？」と不思議に感じてしまいそうな場面が続きます。「とくに奇跡的に撮れたのは？」という質問に、返ってきたのは率直な感想。

「全部、奇跡です！　全て何度も撮り直しました。できあがった本編を見ると、ナナがすごくいいコに見えます(笑)」。

しばらく考えてから、「そういえば」と思い出して話してくれたのは、こんな微笑ましいエピソードでした。

「移動するワゴンの車内で、留め具が壊れていたキャリーケースからナナが出てしまうシーンがあったんですが……意外と出てこない(笑)。車を運転するお芝居をしながら、カメラの映らないところでキャリーをぽんぽんと軽くたたいてナナに出てもらい、直後すぐ運転に戻って、出てきちゃったんだというお芝居をして。大忙しです！」

難易度の高い撮影の中で生まれた「奇跡」

猫に気持ちよく“演技”をしてもらえるように配慮しながら、自らも演技を続ける。しかし難易度の高い撮影が続く中でも、リラックス感で満たされていたという撮影現場。作品に終始流れ続ける柔らかい空気も、出演者とスタッフが一体となって、そして人と動物とがそろって、初めて作り上げられたものなのかもしれません。

心を打つ物語の裏にある、そんな「奇跡」を想像しながら鑑賞するのも、一つの楽しみになりそうです。

文／ねこのきもちWeb編集室
撮影／熊谷仁男
協力／ZOO動物プロ

福士蒼汰さん
1993年生まれ。2011年「仮面ライダーフォーゼ」の主人公・如月弦太朗役でテレビ初主演。以降、数々のドラマ・映画で主演を務める。『旅猫リポート』で、初めて猫と共演！

映画『旅猫リポート』
2018年10月26日（金）全国公開
公式サイト：http://tabineko-movie.jp/
Twitter：@tabineko_movie
ナナのInstagram：＠nana_tabineko

映画『旅猫リポート』公式サイト