猫を飼っている飼い主さんが妊娠すると「猫と一緒に赤ちゃんは暮らせるのか?」と不安になるかと思います。今回は、そんな心配なご家族のみなさんに、猫と赤ちゃんが一緒に暮らすために注意することをまとめました。愛猫と一緒に赤ちゃんを育てましょう!
赤ちゃんと愛猫がいる生活
猫の飼い主さんが妊娠すると「赤ちゃんと猫の付き合い方」が気になるかと思います。ときとして「猫は赤ちゃんをケガさせるから危ない」とか「赤ちゃんが病気になる」といったネガティヴな情報を耳にすることもありますよね。そうだとすると、猫と赤ちゃんは仲良く暮らせないのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。猫と赤ちゃんが一緒に暮らす生活を思い描きながら、注意すべきポイントを見ていきましょう。
【赤ちゃんと猫の同居】注意点①:猫と赤ちゃんは仲良くなれる?
猫は赤ちゃんに嫉妬する?
愛猫の気持ちを分かっているはずの飼い主さんも、新しい家族に対する猫の感情は計り知れません。これまで飼い主さんが自分のことをよく構ってくれたのに、「赤ちゃんに付きっきりでつまらない」と嫉妬してしまい、「猫が赤ちゃんを傷つけないか?」という心配も出てくるでしょう。猫は、新しい家族がやってきて、構ってもらえずさみしさを感じると「赤ちゃんがえり」をする傾向にあります。注目してもらいたくて、わざと粗相やイタズラをしたり、赤ちゃんを攻撃してしまうというケースも実際にあるようです。いきなり赤ちゃんと対面させるのはやめたほうが良さそうですね。まずは、予行練習から始めてみましょう。
「あなたのことをちゃんと考えてるよ」ということを行動で示して!
愛猫に嫉妬や赤ちゃんがえりのきざしが見えたら、飼い主さんが「あなたにはちゃんと愛情を持っているよ」「忘れていないよ」ということをきちんと行動で示してあげると良いでしょう。構ってもらえないさみしさが解消されれば、愛猫の気になる行動も少なくなっていきます。そのうえで赤ちゃんがやって来るまでのあいだに、同居するためのトレーニングも進めておけるといいですね。
まずは出産時にそろえるベビー用品を猫に見せたり、新しいタオルにミルクのニオイを付けて猫に嗅がせたり、そのタオルと飼い主さんが過ごす時間をとってみたりしてはいかがでしょうか。猫は嗅いだことが無いミルクのニオイに反応しますが、そのうちミルクのニオイに馴染むようになります。
ミルクのニオイが付いたタオルと飼い主さんで過ごす時間に、録音された赤ちゃんの泣き声を聴かせてみるのもいいでしょう。赤ちゃんの泣き声に猫は驚くかもしれませんが、次第に慣れてきます。赤ちゃんを迎える前にトレーニングさせることで、今までとは違う生活環境に慣れさせておきましょう。また、赤ちゃんが動き回れるようになる前に、猫だけの安心できる場所を用意しておくというのも良い方法です。
【赤ちゃんと猫の同居】注意点②:猫アレルギーと感染症
赤ちゃんを迎える前に、猫アレルギーや感染症について学んでおきましょう。
「猫アレルギー」
猫アレルギーを引き起こす原因物質の代表は「Feld1」というタンパク質です。Feld1は猫の唾液や皮脂腺に含まれており、部屋が乾燥するとそのアレルゲンが空気中を浮遊します。それを人が吸い込んだり触れたりすることで体の免疫系が有害物質だと認識し、体から排除しようとしてアレルギー反応が起きます。
猫アレルギーは、器官ごとに以下のような症状が表れます。
・「目」かゆみ・充血・涙・腫れ
・「鼻」かゆみ・鼻水・くしゃみ・鼻づまり
・「のど」痛み・咳・喘息のような咳込み
・「皮膚」かゆみ・皮膚の赤み
猫アレルギーは、アレルゲンとの接触を最小限にとどめることが、予防・対策になります。空気清浄機を用いて部屋の空気を清潔に保ち、常に掃除をしてアレルゲンを部屋に留めないようにしましょう。
「トキソプラズマ症」
「トキソプラズマ症」は、猫が「トキソプラズマ」に感染した動物の生肉や加熱不十分の肉、外猫であれば鳥やネズミを食べることで感染します。また、愛猫が初めてトキソプラズマに感染した際は、そこから数週間は便にトキソプラズマを排泄し、人への感染も起こり得るため、猫は完全室内飼いにする、肉は十分加熱して与える、猫のトイレを掃除したら必ず手を洗うなどの注意が必要です。
ほとんどの猫には症状は現れませんが、子猫や病後などの抵抗力・免疫力が低下している猫が感染した場合は下痢が長く続きます。さらに血便、黄疸、発熱、咳といった症状にくわえて、食欲の低下や嘔吐、咳なども見られ、重篤な場合は命に危険が及ぶこともあります。
猫が感染しているかどうかは血液検査で抗体検査、場合によっては糞便検査を実施して調べます。しかし1回の検査では検出できないことも多々あるため、獣医師には猫の症状をくわしく説明してください。下痢や発熱などがある場合はそれぞれに応じた治療を行い、トキソプラズマに効果のある抗菌剤を投与し治療を行います。
【赤ちゃんと猫の同居】注意点③:生活環境をととのえる
赤ちゃんは目についたものを手に取り、口へ運びます。赤ちゃんの周りには、危険なものが無い状態にしておきたいですよね。衛生面に気を付けることで「猫アレルギー」の予防にもなるので、注意するポイントをあげていきます。
1. 赤ちゃんと猫の活動スペースを分ける
しばらくは、赤ちゃんと猫を別の部屋で生活させましょう。そうすることで「赤ちゃんから目を離した隙に、猫がちょっかいを出す」なんて事態を防げます。猫のエサ・水皿やトイレ、爪とぎなど、猫のスペースに赤ちゃんを寄せ付けることがないよう気をつけましょう。
2. 愛猫を清潔にする
猫を清潔にしておくことは大切です。フケや排せつ物などの不衛生なものを、家にまき散らさないよう心がけましょう。こまめなブラッシングや可能ならお風呂に入れられると良いですね。
3. 掃除のポイント
掃除機をかけるのもいいのですが、おすすめは水拭きです。床に積もったハウスダストや花粉、猫の毛は掃除機をかけると空気中に舞い上がります。水拭きは定期的に行い、時間が無いときはフローリング用の掃除用具などでササっと掃除しましょう。空気清浄機を使用すると、かなりの効果が期待できます。
【赤ちゃんと猫の同居】注意点④:猫のストレス解消法
前述したとおり、猫がさみしさを感じたりストレスがたまると、赤ちゃんに対して攻撃的な姿勢になることがあります。そうなる前にストレス解消をさせてあげましょう。みなさんの愛猫が好きなことは何ですか?おいしいおやつや猫じゃらしなどのおもちゃ、ブラッシングが好きな猫もいるでしょう。猫が好きなことをしてあげるために、飼い主さんも時間を割いてあげてください。そして徐々に赤ちゃんと猫が一緒の時間をつくり、お互いに慣れさせていきましょう。
愛猫とともに赤ちゃんを育もう
愛猫も、飼い主さんも、赤ちゃんも同じ家族です。家族同士、素敵な生活を送ることができるようにコミュニケーションをとりながら「愛猫と一緒に」赤ちゃんを育てていきましょう。
参考/『ねこのきもち』WEB MAGAZINE「病気・症状データベース」
『ねこのきもち』WEB MAGAZINE「猫アレルギーだと、猫は飼えないの?」「赤ちゃんを警戒する猫。でも、仲良くなりたい姿に胸キュン♥」
監修/荒木陽一先生(プリモ動物病院 練馬院長)
文/HONTAKA
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。