子猫を触っているときにガブリと噛まれた経験はありませんか?小さく尖った歯で噛まれると、痛いばかりでなく、場合によっては感染症の危険も。今回は、子猫が噛む理由から噛まれないための対策やしつけのこと、噛み傷の対処法まで解説していきます。
子猫に噛まれるのはどんなとき?あるあるシーン5選
かわいい子猫を見ると、ついなでてあげたくなるものです。「イイコだね」と触っていると、突然ガブリ!飼い主さんにしてみれば「かわいがっているのに、噛むなんて理不尽!」と不快に思うかもしれません。しかし、子猫には子猫の事情がありました。
1. 歯の生え変わりで歯ぐきがかゆい
猫は生後約2週間で乳歯が生え始め、生後半年ほどで永久歯が生えそろいます。この時期の子猫は口の中に違和感があり、歯ぐきがムズムズしてかゆがります。そのため身近にあるものをかじろうとして、目の前にあった飼い主さんの手を噛んでしまったのかもしれません。
2. なで方が気に入らない?スキンシップ時にいきなり噛む!
人はテレビなどを見ながら子猫をなでていると、無意識に長い時間なで続けてしまうことがあります。そんなとき、子猫は「もう充分!しつこい!」とガブリ。触ってほしくない場所を触られたり、力加減が気に入らなかったりすると「やめて!」と噛むこともあります。
3. 興奮しすぎた?遊んでいたら噛まれた!
好奇心旺盛な子猫は、目の前にある「何か」を捕まえようとしたり追いかけたりと、ハンターの本能を丸出しにして遊びに全力を注ぎます。夢中で遊んでいると力加減が分からなくなり、つい「何か」を噛んでしまうことがあります。遊び相手が飼い主さんの「手」なら、手を獲物だと思って噛んでしまうこともあるでしょう。
4. 獲物に見える?すれ違っただけで噛まれた!
子猫の前を通り過ぎただけで噛まれたときは、子猫が狩りモードに入っていたのかもしれません。本来、猫の獲物となるのは素早い動きをするネズミやヘビ。子猫の生活空間の中で素早く動く飼い主さんが、ターゲットになってしまったのかも。
5. ゴハンの催促?ストレス発散!
子猫は欲求を満たすため、さまざまな手段を使って飼い主さんにアピールします。過去に「お腹が空いたとき、飼い主さんを噛んだらゴハンが出てきた」という経験があれば、お腹が空いたら飼い主さんを噛むようになるでしょう。
同じように、遊びの欲求が満たされないときに「ストレス発散で飼い主さんを噛んだら遊んでくれた」という経験があれば、退屈しのぎに噛んで注目してもらおうとしているのかもしれません。
子猫に噛まれた瞬間、飼い主さんはこうしよう
子猫は、飼い主さんから怒られることに対して「自分に関心が向けられるよい行動」と思ってしまうことがあります。人が噛まれたときに手を払ったりするしぐさも、子猫の狩猟本能をかきたてて、興奮を助長させてしまっているのかも。
犬は「ほめて覚えさせる」といったしつけをすることができますが、基本的に猫にはしつけといった考え方はなく効果が感じられません。猫には、「人がしてほしくないことをしたら楽しいことが終わってしまう」と覚えさせるのが効果的です。
「あっ!」「ダメ!」短い言葉で気をそらす
子猫が人を噛んだ瞬間に「あっ!」「ダメ!」など短い言葉で、子猫をハッと驚かせます。そして気がそれたタイミングで落ち着いて子猫から離れ「噛むと飼い主さんはかまってくれない」ことを分からせます。
子猫がヒートアップしたら中断してクールダウン
遊んでいるときに飼い主さんを噛んでしまうのは、子猫が遊びに熱中しているから。周りが見えなくなり、「飼い主さん=獲物」と認識し始めているのでしょう。その兆候が見られたら、子猫をクールダウンさせる必要があります。
飼い主さんが噛まれたら、遊びはそこでストップ。子猫を無視して部屋を出ましょう。子猫に「攻撃すると楽しいことが終わってしまう」と学習させることが大切です。
なお、噛まれたからといって、罰を与えるのはNGです。噛んだことと罰を与えられたことのつながりを子猫が理解するのは難しく、怒る飼い主さんを嫌いになってしまう可能性もあります。根気強く無視することを続けて「噛むこと=楽しいことが終わる」と覚えさせましょう。
放置は禁物!噛まれる前にふだんから対策を!
歯ぐきがかゆい子猫には柔らかいおもちゃを与えて!
口の中や生えたての歯を傷つけないように、柔らかいおもちゃを与えましょう。人の赤ちゃんに使う「歯固め」のように、口の中の違和感や歯ぐきのかゆみを解消し、フードを噛んで食べることを覚えさせることができます。
なで方を研究!時間や力加減を調整
子猫に限らず、長時間のスキンシップを嫌う成猫もいます。気持ちいいと感じるところでやめないと、飼い主さんになでられることがストレスになってしまうかもしれません。大切なのは、なでると喜ぶ部位を探すこと。猫は一般的に、自分で毛づくろいできない顔周りをなでられるのが好きな傾向があります。指先で軽く、優しいタッチでなでてください。嫌がりだしたときに猫が出すサインも把握しておくといいでしょう。
飼い主さんの手や足で遊ばせると攻撃対象に!
飼い主さんが子猫と遊ぶときに使ってしまいがちなのが、手や足です。飼い主さんの手や足で遊んでいるうちに獲物と認識してしまうと、攻撃対象へと変化します。それを放置していると、飼い主さんだけでなく、他の人にも攻撃が向くかもしれません。
子猫と遊ぶときは、ひもが長いおもちゃで距離をとりながら遊びましょう。勢い余って突撃!といった事態も避けることができます。
猫が近くにいるときはソーッと行動
子猫の近くを通るときは、ゆったりした動きを心がけましょう。ドアの動きにも注意し、ゆっくり開閉して子猫の狩猟本能を刺激しないことが大切です。
1日3回は遊んでストレス解消!
平和な家の中では刺激が足りず、ストレスがたまっている子猫もいます。子猫を退屈させないためには、最低でも1日3回は遊んであげましょう。1回の時間は5~10分ほどでもいいので、回数を増やしてストレスを解消させてください。
子猫に噛まれた!傷が深い場合は病院へ!
猫に噛まれてしまったときは、傷の深さに関係なく流水で傷口をよく洗うことが大切です。傷が深くない場合は石鹸をよく泡立て、傷口に泡をのせて優しく洗いましょう。その後、異変があれば、すぐに病院を受診してください。
傷口が深く出血がある場合は、流水で洗った後に清潔なガーゼやタオルで15分ほど圧迫を。傷の具合によっては、傷内部の処置や縫合が必要な場合があるので、なるべく早く病院で診察を受けてください。
さらに菌が体内に入ってしまうと、リンパ節が腫れる「猫ひっかき病」や、傷が激しく痛む「パスツレラ症」を発症するかもしれません。「子猫に噛まれたぐらい」と楽観視せずに、流水で洗い、異変があれは速やかに病院へ行きましょう。
子猫が噛む行為を「そのうち治まるだろう」と放置するのはNGです。成猫になっても噛み癖として残るおそれがあり、飼い主さん以外の人を噛んでしまうかもしれません。そして成猫はあごの力も強いため、大きなけがにつながることも。噛んでもいいおもちゃを与えたり、ストレスを解消させたりして、人を噛まないようにさせましょう。
参考/「ねこのきもち」2017年3月号『噛む・引っかく される前にできること』(監修:もみの木動物病院 副院長 村田香織先生)
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/HONTAKA
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。