愛猫が寄生虫症にかかったことはありますか? 室内飼いをしていると心配ないように思うかもしれませんが、どうやらそうではなさそう。感染すると、体にすみ着き、害を及ぼす恐れがあるため、飼い主さんは日頃から気にかけておきたいものです。そこで今回は猫飼いさんに寄生虫感染に関するアンケートを実施。愛猫が寄生虫に感染したことのある人の回答から、感染リスクのある環境などについて、獣医臨床寄生虫学を研究する獣医師・佐伯英治先生に分析していただきました。
Q1、愛猫が寄生虫症に感染したことがある?
「埼玉県が2008~2016年に行った保護猫の寄生虫感染の調査によると、49%の猫が感染していることがわかりました。このことから、保護猫は現在でもなお寄生虫感染率が高いと推測されます。上のグラフを見ると、43%と高い割合で感染していることから、ひとつには保護猫を迎える人が増えている社会情勢が影響していると考えられます」
Q2、かかったことがある猫の性別は?
「室内飼いをしている家庭が多い現代では感染のしやすさと性別は関係はないでしょう。しかし、外で暮らす猫はオスのほうが狩りなどで活発に活動するため寄生虫に遭遇する機会が増え、感染率は高いかもしれません」
Q3、かかったことがある猫の種類は?
「猫の種類に差が出たのは、Q4とあわせて見るとわかるように、保護猫を飼う人の割合が多いからと考えられます。過去に寄生虫や感染猫が多く生息する環境で過ごしていたため、当然感染率は高くなります。保護猫である割合が多いミックスの感染リスクは、ペットショップなどから迎える純血種よりも高いといえます」
Q4、かかったことがある猫の迎え先は?
Q5、かかったことがある猫は室内飼いしている?
「室内飼いでも寄生虫症にかかる可能性はあります。たとえばフィラリアに感染した犬の血を吸った蚊が窓から侵入し猫を刺せば、猫も犬のフィラリアに感染する可能性が。また、感染猫のウンチを踏んだ靴や、ノミ・ダニが付いた衣服などによって室内に寄生虫が持ち込まれることもあります」
Q6、かかったことがある猫に同居猫はいる?
「複数飼いであることもかかりやすさの要因のひとつになり得ます。たとえば保護猫を迎えた際、その猫の駆虫が終わる前に先住猫が接触すると、ノミやダニなどの外部寄生虫に感染することが。保護猫の感染率は高いため、駆虫が終わるまでは隔離をしましょう」
Q7、かかったことがある猫の感染当時の年齢は?
「子猫の割合が多いのは、たとえば子猫は感染している母猫の乳から猫回虫が感染するリスクがあったりするから。また、しっかり健康管理がされていても駆虫が難しい種類の寄生虫もいます。『迎えたら便検査』という意識のある飼い主さんが回答していると推測すれば、上のような結果になるのも納得です」
いかがでしたか? 半分近い猫が感染したことがあり、そのほとんどは室内飼いという結果は見逃せないですね。そのほかにも、データによって寄生虫症にかかりやすい猫の特徴がわかりました。生まれながらの特徴は変えられないので、あてはまる特徴があったら予防に努めましょう。
参考/「ねこのきもち」2021年8月号『想像以上に身近な病気 寄生虫症の実態』(監修:獣医師 佐伯英治先生)
文/ハナマサ
※この記事で使用している画像は2021年8月号「想像以上に身近な病気 寄生虫症の実態」に掲載しているものです。