猫と暮らす
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「可愛い行動」も不満のサイン!? 飼い主の在宅ワークが猫に与えるストレス2つ
在宅ワークが猫に与えるストレスとはどのようなものなのか、ねこのきもち獣医師相談室の先生が解説します。
飼い主さんの在宅ワークは、愛猫にストレスになる?
「猫の気質によっては、在宅ワークにともなうストレスがかかる場合があります。
猫は元々、生活リズムの変化や生活環境の変化を、あまり好まない傾向があります。一般に、飼い主さんが仕事で決まった時間に不在になるような生活習慣の中で育った猫は、その生活習慣の中で、さらに自分の生活リズムをつくります。
実際の生活リズムの例としては…
- 飼い主さんの出勤時(不在時)には、比較的のんびりと過ごして体力を温存しておく
- 飼い主さんが帰宅した後は、遊んだりコミュニケーションをとったりなど、飼い主さんの不在時よりも活発な行動が増えるなどの様子が見られる
こういった生活リズムで過ごしていた愛猫にとっては、飼い主さんが急に在宅ワークになることは、今まで馴染んだ生活リズムが変化する状況になります。戸惑ったり、ストレスを感じてしまう可能性が考えられます」
「そうですね。また、日頃は仕事で不在の飼い主さんが在宅していることそのものや、電話やWEB会議の音声などの耳慣れない音を、生活環境の不快な変化として感じてしまう可能性もあります。
それとは別に、在宅ワーク中の飼い主さんに対して、愛猫が『飼い主さんが家にいるのに、十分かまってくれない』と感じ、それがストレスになる状況も考えられます」
「そうですね。ただ、猫はそういった人間側の事情は理解できません。むしろ『そばにいるのに、こちらを見てくれない、かまってくれない』という状況として受け止め、時に苛立ってしまうこともあるでしょう。
そういった苛立ちの気持ちが高まりすぎると、それがストレスになってしまう可能性があります」
飼い主さんの在宅ワークで猫が感じるストレス2つ
「感じているストレスの内容によって、実際の行動は変化します。それぞれ見ていきましょう」
①生活リズムや生活環境の変化によるストレス
「生活リズムや生活環境の変化がストレスになっている場合、家の中でも特に静かな場所に移動したり、どこかに隠れてしまったりなど、不安感や緊張感が高まった際にしがちな行動が増える可能性が考えられます」
②気持ちが満たされないストレス
「そばにいるのに十分かまってもらえないなど、気持ちが満たされないストレスを感じている場合は、かまってもらうためにまずは自己主張の行動を積極的にとる可能性が考えられます。
たとえば、積極的に鳴いて自己主張したり、体を擦り付けたり、ひざに乗ったり、時には仕事を遮るように書類やPCの上に寝そべるなどの行動をする場合もあるかもしれません」
「人からするととても愛らしく、微笑ましいしぐさに見えることもあると思いますが、猫からすれば『自分のほうを見て、かまってほしい』と望んでいる気持ちからしている行動です。
かまってもらいたい気持ちが十分満たされないことでのストレスを、強く感じている可能性もあるでしょう」
飼い主さんの在宅ワークでストレスを感じやすい猫の特徴
「生活リズムや生活環境の変化に伴うストレスなどは、細やかで繊細で、時に怖がりな気質の猫だと、より強く感じる可能性があります。
一方、かまってほしい気持ちが満たされないストレスなどは、より活発で遊び好きな若い世代の猫や、甘えん坊でコミュニケーション好きな気質の猫で感じがちな可能性があるでしょう」
在宅ワークをする飼い主さんが愛猫のために心がけたいこと
「生活リズムや生活環境の変化にストレスを感じている場合と、気持ちが満たされないストレスを感じている場合のそれぞれで心がけたいことを解説します」
①生活リズムや生活環境の変化にストレスを感じている猫への対策
「まず、在宅ワークをする場所は、できれば猫が元々過ごしている生活空間とは分けるほうがおすすめです。
もしも家全体が愛猫の生活空間になっている場合は、在宅ワークをする場所(部屋)を一か所に決めて、仕事中にはその場所に愛猫が自由に出入りしないよう扉を閉める、などの工夫をするとよいでしょう。
このように、まずは飼い主さんが仕事をする環境を生活空間とはきちんと分け、姿も愛猫に直接見えないような工夫をすることで、愛猫にとっては生活環境の変化は最小限になります。
また、目の前にいるのに実際にはかまってもらえないストレスなども、いくらか和らげる効果が期待できます」
②気持ちが満たされないストレスを感じている猫への対策
「飼い主さんの姿が直接見えないような在宅ワークの環境を用意したとしても、飼い主さんが家に一緒にいることは、愛猫はちゃんとわかっているはずです。
そこで、在宅ワークの環境の工夫と並行して、在宅ワーク中の愛猫への対応のメリハリをつける工夫もするとよいでしょう。
具体的には…
- 仕事中には、愛猫が鳴いたりアピールしたりしても、かまってあげない対応をしてみる
- 仕事の合間の休憩時間には、仕事している部屋を出て愛猫が過ごしている場所に行き、遊んだりかまったりなどきちんと向き合う時間を持つ対応をする
こういった工夫をすることで、愛猫のためにできるだけストレスをかけにくい環境にすることができ、飼い主さんとしてもより集中して在宅ワークをしやすくなるかと思います」
※写真はアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」にご投稿いただいたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
取材・文/sorami
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